配信開始日 2025年5月1日

「総合エンタメ」アナザー・シンプル・フェイバー R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5総合エンタメ

2025年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

やはり「続編」だった。
先の作品を見ていないことで若干わかりにくい場面があった。
当然それを超えてくるように設計された作品だったのだろう。
視聴者を騙す上で効果的なのがやはりLGBT
それを対立するマフィアのボス同士の間柄として仕込んだことは効果的だったが、やり過ぎというライン上にもあるように思えた。
この二人の秘密を知るエミリーは、ダンテとの偽装結婚によってマフィア同士の争いを止め平和をもたらすことに寄与するつもりだったが、エミリー自身の生い立ちとその後の家族がそこに漬け込み事件を起こす。
それをママインフルエンサーであるステファニーによって探偵するという複雑な構造となっている。
また登場人物の名前にもトリックを仕掛けることで、真実がとても想像できないほどややこしく作ってある。
冒頭のオープニングには、これまた007並みに凝った作りで、最後もまた007ぽく謎めいた作り方となっている。
しかしステファニーの探偵は探偵ごっこに近く、FBI捜査官のアイリーンはど素人同然だ。
ベンという捜査官は先の事件でステファニーと懇意になったようだが、一般人が捜査官に個人的捜査を依頼する設定にはコメディ要素で、つまりこの作品は総合エンタメを狙った作品なのだろう。
ただ、
主人公はあくまでステファニーだが、物語の主人公はエミリー つまりホープだ。
この三つ子という設定も先の物語の一部なのだろう。
更にそれがこじれてしまったのがこの作品ということだろうか?
先の物語にそこまで依存している作品がこれであるならば、やはり先の作品を超えられなかったのではないかと想像する。
さて、
物語は飽きが来ないし見ていて面白かった。
伏線と予定調和のラインがぎりぎりではあったが、変な違和感をコメディタッチで包んでいたことがよかったのかもしれない。
エミリーを裏切るような本の出版から始まったミステリータッチもなかなかよかった。
ステファニーが置かれた否応なしの状況を作ったのもいい。
彼女が思惑することこそが、問題点だというのもわかりやすかった。
そして最後に親友であるステファニーとエミリーが仕込んだ事実工作。
サイコのチャリティと叔母リンダの「計画」を逆手に取って作り上げた「事実」という工作があることも、この世界のある種の在り方を象徴しているように感じた。
そこに来てからの、義母ポーシャによる「シンプルなお願い」
これがタイトルへとつながっているのは、さらに次作があるのを感じさせる。
ポーシャはエミリーに「ホープ」と言ったことで、マフィアのネットワークによってエミリーのすべてが知られたということだろう。
これが弱みになるのだろうか?
エミリーはポーシャの「シンプルなお願い」つまりアナザーシンプルフェイバーを受けるしかなくなった。
これはステファニーがエミリーの言うことを聞かざるを得なかった状況と同じだ。
こういうのが面白さなのだろう。
物語を上手く作りこんでいる。
この総合エンタメでありながら、その内容は至ってシリアスで、他のコメディなどの要素を必要最低限に留めている。
特に役に立たないアイリーン捜査官とベンの立ち位置は面白い。
ここが焦点の絞り込みで、意外にボーっと見ていても内容がわかるように作られている。
総合エンタメとしたことで視聴者の裾幅を広げている。
わかりやすくて単純に面白かった。

R41