「若者も巻き込んで躍動する推理好き老人たちの元気」木曜殺人クラブ 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
若者も巻き込んで躍動する推理好き老人たちの元気
推理好きなら平日の夜か週末の夜、酒でも飲みながら一緒に推理して、笑える芳醇なエンタテインメントとなるはずだ。ストリーミング・リストで視聴し忘れていたことが少し悔やまれる。そんな作品だ。
イギリスのケント州にある老人施設で暮らす4人組が、過去の未解決事件を推理し、さらに、施設の存亡に関わる身近な殺人事件の捜査に着手する。それだけで楽しくなるではないか。景色的には『ダウントン・アビー』でストーリー的にはアガサ・クリスティの『ミス・マープル』シリーズ。でも、4人組は彼らの推理遊び、転じて決死の捜査に仕事に退屈している若い女性警視を巻き込んで、世代ミックスで躍動していく。そこが新鮮だ。
登場人物は高齢者だが、意外に展開は早くて、今そこにある事件が最後、過去の事件に繋がるまで、カウチでうとうとしている暇はない。だからこそ、観てよかったと思えるのだ。
実年齢をメイクで覆い隠そうしせず、役をとことん楽しんでいる風なヘレン・ミレンとセリア・イムリーに、人としての質の良さが伝わってくるようなピアース・ブロスナンとベン・キングズレーのコンビネーションがいい。この調子でシリーズ5作まで発売されている(最新作は今年出たばかり)をできるだけ映画化して欲しいとは思うのだが、世の中そんなに甘くはないか?
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