劇場公開日 2025年10月24日

フランケンシュタインのレビュー・感想・評価

全122件中、121~122件目を表示

4.52部作を一本に

2025年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

デル・トロの十八番(おはこ)な「異形の命の美しさ」をこれでもかと描き、同時に優れた才能や金を持っているはずの人間のあさましさも描き、「真の怪物」を克明に映し出す。

ほぼ2部構成(船長への説明を加えて3幕)で、前半第1部は創造主であるヴィクター・フランケンシュタイン博士の狂気を描く。

後半第2部は、クリーチャー(怪物)の悲しみと孤独、そして知性と慈悲深さを描く。
それに加えて、親子の愛憎。
作られた存在である怪物は「子ども」であり、創造主は「親」であると気づく。
親を超える、というよりは「親に認めてもらう」ではあるが、そんな究極の「父殺し」の話でもあったり。
かなり原作小説に近づけつつ、また同時に、「人でないもの」が伴侶を欲しがったり、人になることを望んだりというのは、過去の映画『フランケンシュタイン』(1931)およびとケネス・ブラナー&コッポラ版『フランケンシュタイン』(1994)、『フランケンシュタインの花嫁』(1935)へのリスペクトも込めつつ、過去の『妖怪人間ベム』や『ブレードランナー』にも近いものを感じさせてくれました。

そんな物語に、いつもの映像美を添えて、たっぷりねっとり。
劇場で観てよかったと思えた、衣装と美術とセットに惚れ惚れ。
配信を待ちきれず、劇場に足を運んだ甲斐はありました。

ただ、ちょっと尺(時間)が長すぎたかも。
劇場で、腰が痛くなった。

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コージィ日本犬

4.5人は神を超えられるのか

2025年9月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

凄かった。
この感動をどこから伝えれば良いのかわからん。
エンドロールでこんなに余韻を噛み締めたのは初めてかもしれない。

衣装、セットの美しさで目が幸せな中、創造物である彼だけが怪しい存在を放つ。
望まぬ過酷な生を強いられながらも、心の美しさを損なわれる事なく、日々生き延びる彼。

その創造主であるヴィクターは、大事な人を失わない為に考えた策で、大事なものを壊し続けてしまうという矛盾を生み出してしまった。
誰もが等しく1人に一つのはずの命を、技術を極めて永遠の生を得た事の罪深さを学んだわよ。
彼とて自分の不幸から学んだ事を科学で解決したかっただけで、誰かの不幸を呼びたかった訳ではないのに。
でも、その中混沌の中にも、この物語にはどの場面にも必ず救いがあった。何より全体が隅々まで美しくて、彼の心を表しているようだったわ。眼福だった。

創造物の彼は、体は大きいんだけど、目がすごく澄み切っていて赤ちゃんを存分に表現してたと思う。
しかし、人は生まれ落ちてから育つまでの間に、誰から何を学んだかでどこがどう育つかが全く変わってくる生き物なんだなと再認識した。
でも私は彼がモンスターには見えなかった。むしろ天使に見えたよ。
人は神を超えられるのか。
いや、あの彼を見る限り、私にはやはり神の息がかかっていたとしか思えない。

是非大画面でご覧ください。

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icco