「怪物の目に哀しみ。」フランケンシュタイン リュウジさんの映画レビュー(感想・評価)
怪物の目に哀しみ。
ちょうど今年の3月に原作読了。
SF小説の祖といわれるこの物語が約200年前の20歳女性の作品とは思いもよらず。
SFというより漱石の「こころ」を読んだ時に近い読後感と余韻。
この映像作品はその小説を上手に解釈し直した作品だった。
(小説の方はもっと俯瞰的に人類を捉えていた。
また2世紀も前なのに現代にも通じる文明批判と科学への依存に対する警告、
今と変わらぬ人間どもの善と悪と偏見に満ち溢れていた)。
映像作品の方はもっと個人(フランケンシュタインと怪物)にインサイト。
フランケンシュタインがわかりやすぎるくらい(≒ステロタイプ)の
嫌な奴的な描き方だったのはこっちに置いてておいて
(小説のほうは当時の常識人で当時の科学者として真っすぐに前向き。)、
なんといっても目を見張ったのは怪物の捉え方。
「おれは誰だ」というのは小説にも映画にもあったが、ちょっと角度が違った。
フランケンシュタインに対する「憎しみ」は共通だが、
小説は「おれは誰だ」と自分がわからないことへの「怒り」に対して、
映像作品に感じたのは「おれは誰だ」がわからないことに対する「哀しみ」。
その「哀しみ」の裏側にはあるのは、
友達もいず、連れ合いもいず、人とも交わることもできず、
永遠に不死であり続ける怪物の今後の長い時間。
(小説はそれほど不死の強調はなかったような)
それがいちばん感じた作品かな。
小説と映像作品で2度おいしいフランケンシュタインでした。
追記>
小説と違い、フランケンシュタイン自身が抱える苦悩はそれほど深く描かれず。
描かれたのは怪物が主。
でいうと、「フランケンシュタイン」というタイトルではないような…。
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