「生と死の境界を哲学的に味わう怪奇譚」フランケンシュタイン ひみあさんの映画レビュー(感想・評価)
生と死の境界を哲学的に味わう怪奇譚
1994年版の衝撃が強く記憶に残っていたため、どうしても比較しながら鑑賞する形に。
ケネス・ブラナー版のヴィクターは、もっと苦労しながら色んな実験を試みる“苦闘の科学者”だったが、今回のヴィクターは怪物を創造するモチベーションがややあっさり。キャラ的にも魅力薄め。
デニーロ版の怪物は追跡の執念がめちゃくちゃ怖かったけど、今回のジェイコブ・エロルディ版はイケメンすぎて恐怖感がなく、あっという間に感情移入してしまった。
良かったのは怪物のピュアさの描き方。盲目の老人とのやり取りのシーンは言葉の一つひとつが美しすぎて心を洗われた。オレオレ詐欺をやってる人に観てほしい。
エリザベス役のミア・ゴスの魅力にも圧倒された。ヴィクターとの知的な会話、怪物との心の触れ合い…、もっと観ていたかった。衣装の美しさも溜め息もの。
前作のヘレナ・ボナムカーターも良かったけど…(彼女は怪物にされて、絶望感は圧倒的でしたね)。
残念なのは、怪物を創る動機や過程が薄いこと。せっかく頑張って創ったのにもう要らないの⁈って。
あとヴィクターと父親の確執などのドラマが端折られ、怪物がヴィクターを追う道のりもあっさり。
怪物は「絶対に死ねない苦しみ」を抱え、やっと人間としての想いを持つ。現代の延命措置のような死にゆくことのない存在として、死生観を深く問う作品。
ゴシックホラーの映像美に浸りながらも、死と生の境界を哲学的に味わえる幻想的な怪奇譚と言える。
ネトフリで配信されるとのことだけど、映画館で是非!
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