劇場公開日 2025年10月24日

「ピノキオの幸せ」フランケンシュタイン hotakiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ピノキオの幸せ

2025年10月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

まず驚いたのは 本作品のフランケンシュタインの怪物は紛う方なき 人間であること。
大柄で全身に無数の手術痕を刻むが 嫌悪どころか美しく感じる人影がスクリーンにあった。
もはやデザインが固定された彼の容姿を デルトロはどうリファインするかと楽しみにしていただけに 意外だった。
彼を怪物、創造物というレッテルのないピュアな命として提示してきた。
デルトロらしいアプローチだと思う。
これにより 彼が世界から受けるいわれなき不幸とささやかながら限りない優しさが より顕著に描写される。
彼の切なる願い想いが 観る側に痛いほど届く。
とりわけフランケンシュタインのクソっぷりたるや 救いがない。
終盤 散々不実であったフランケンシュタインがある言葉を彼に送る。
それは彼に主体性をあたえる。
デルトロの虐げられし異形のものへの愛情 ここに極まる。

しかし偏屈な小生は思うのです。
フランケンシュタインの言葉は パンドラの箱に残ったものと同じだ。弱き者への福音。
だが真逆の 人類にもたらされた最たる悪とする見方もある。
ピュアな命の彼に てらい無く父親を名乗る(如何なる方法であれ 彼を産みだしたのだから相違ないが)フランケンシュタインは実を持って この言葉を送っただろうか?
彼の行く末が 良しと切に願う。

コメントする
hotaki