「邦題のせいで損してる。」プロフェッショナル TSアラヨットさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題のせいで損してる。
最初は、リーアム・ニーソン主演で「プロフェッショナル」というタイトルだけ聞いて、「また同じようなアクションものかあ。もう本人もどれがどれやらわからんくらい出てるやん。」という印象で、全く観るつもりなかったのですが、よくよく解説や口コミに目を通すと、1970年代のアイルランドが舞台とのこと。大のアイルランド好きの私としては「これは観なければ」と一転。最近では「コット はじまりの夏」「イニシェリン島の精霊」等が良作でした。
こんなタイトルやからすぐ上映終わってしまうに違いないと思い、他にいろいろ観たいのを済ませて、なんとか上映2週目に間に合いました。たまたま、「アマチュア」「ベテラン」と同じタイミングの上映になって少し話題になったのがラッキーだったのかも。
観た感想としては、まずやはり荒涼とした海岸線やゴツゴツした大自然の風景が美しくて、それだけで評価2割増し。あと、本当にアイルランドらしいメンツの俳優さんばかりなのが良かった。中でもロバート役のコルム・ミーニーは、「アイルランドが舞台の映画と言えば」って感じで本当によく出てくる印象があるし、この人昔からおじさんで見た目がずっと変わらない。
お話としては、全体的にこじんまりしていて、めちゃ極悪なヤツは出てこない。敵味方とも使う武器はクラシカルなものばかりで、アクションやドンパチ(古!)がメインではなく、人情ものの色合いが濃い。イーストウッドの弟子みたいな監督ということで「許されざる者」を彷彿とさせるストーリーで、好きなタイプの作品でした。ただ、最終的にフィンバーは死んで、ケビンが仇撃ちするような展開のほうが良かったのではないかという気もしました。
とにかく原題の「聖者と罪人の地で」が深みのあるタイトルで内容を的確に表現しており、何も考えずにつけた(ような)邦題が腹立たしい。もったいない。