「よかったが少し惜しい」プロフェッショナル たけはちさんの映画レビュー(感想・評価)
よかったが少し惜しい
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まずはじめに書きます。批評家などの高評価に違わず、アイルランドの美しい風景、建造物に囲まれた景勝豊かな、しかしひどく寂しく荒涼とした土地の中で繰り広げられる、年老いた殺し屋の最後の仕事を堪能できます!その意味で北方謙三原作の角川映画「友よ、静かに眠れ」を彷彿とさせる、正統なハードボイルド映画だったし、リーアム・ニーソンの魅力も発揮されてた。
残念だったのは、リーダー格の女性ケリー・コンドンは好演してるものの、せっかくIRAテロリスト設定なのに、ニーソン演じる主人公への復讐動機が弟の殺害ということ。また部下2人のキャラも弱すぎていただけない。あんなリーダーには従いたくないのではないかと思う。またクライマックスを強調するためか、中盤の牧歌的展開にも、少々中だるみを感じた。警官役のキアラン・ハインズは結構よかったが、勘の良さを発揮するのが遅すぎる。
監督ロバート・ロレンツが目指したろう、イーストウッド版「許されざる者」と比較して、演出力の違いはいなめなかった。同様のハードボイルドとしては「友よ、静かに眠れ」のが優れている。
とはいえ、はじめに述べたように、美しいアイルランドの風景(「イニシェリン島の精霊」を思い出す)の中で描かれる最後の仕事に臨む殺し屋の哀愁は素晴らしく、久々に骨太のハードボイルドを観た気はした。最後、不覚にも目に涙が浮かんでしまった。
また、初めは人殺しを愉しむサイコな若者に見えたが次第に心を開き、ニーソンの良き相棒となる殺し屋仲間を演じたジャック・グリーソンはとても魅力的でした。
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