劇場公開日 2025年4月11日

「木を植えています」プロフェッショナル うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0木を植えています

2025年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

第二次世界大戦の戦場帰りで戦後は田舎町で殺し屋をしている男・フィンバーが、引退を見据えた矢先によそ者が町の平穏を乱しているのを知り、秘かに危機を排除しようとする物語。

舞台となるアイルランド北西部の町は、やらかして都会から逃亡した者の潜伏先としてメジャーなのか、殺し屋と仲介人が常駐済という設定が面白い。
テロに失敗して逃亡してきたIRAメンバーと闘うフィンバーの姿は、相手に負けず劣らず身内に優しく他人に厳しいスタイルなので、ヒーローとは言い切れない。西部劇やハードボイルド映画のような、業を背負って戦い抜く彼の姿を見守る作品だと感じた。

タイトルは『プロフェッショナル』だが、フィンバーの行動は鮮やかなプロの手際からはかけ離れている。普段相手を弱らせてから始末するせいで格闘は得意ではなく、交渉には失敗し、相手の行動予測もよく外す。多分「リーアム・ニーソンのアクションもの」ということで作られた邦題なのだろう。英題『In the Land of Saints and Sinners』の方が、この無情な争いを表現できていたと思う。
「リーアム・ニーソンのアクションもの」という売り方に一定の集客効果があるのはわかるが、そのフレームと内容のズレが目立つ作品が続いている気がして心配である。

断崖の町の景観とハードボイルドな世界観がマッチしており、曇天続きの空もいい味を出していた。
戦地から帰還して空っぽになったフィンバーはどういう心境で30年の殺し屋稼業を生きてきたのか、想像が刺激されるキャラクターである。海沿いの途切れない道が、予定外に老境を手探りで生きることになる彼のこれからを想像させる作品だった。

コメントする
うぐいす
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。