劇場公開日 2025年4月11日

「人間模様に魅了される」プロフェッショナル おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間模様に魅了される

2025年4月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

興奮

予告を目にすることがなかったので、内容はよく知りませんが、リーアム兄さん主演ということで鑑賞決定!公開初日に行ってきました。

ストーリーは、長年の殺し屋稼業から足を洗い、北アイルランドの海辺の町で穏やかに暮らそうとしていたフィンバー・マーフィーが、最近この町に現れ、知り合いの少女を虐待していた男を葬るが、その男がベルファストで爆破テロを起こしたIRA(アイルランド共和軍)の4人組の一人だったことから、フィンバーは、残りのテロリストたちと対峙していくことになるというもの。

ストーリーそのものはいたってシンプルなのですが、その過程で見せるフィンバーの交友関係が物語に奥行きを与えています。近所で庭づくりに精を出すリタ、親友の警察官ビンセント、パブの店主シニードと娘のモヤ、行きつけの店の無愛想な店主、殺しの依頼人ロバート、同業の若者ケビンなど、フィンバーの表の顔と裏の顔で繋がる人々が、彼の人柄を浮き彫りしていきます。

もちろんフィンバー自身についても、裏稼業に就くまでの経緯が語られたり、殺めた死体の処理の様子が描かれたりして、彼の人柄が感じられます。死体を埋葬した場所への植樹は、罪滅ぼしのようでもあり、死者への手向のようでもあり、自責の念の表れにも見え、彼の心の内が垣間見えるようです。

こうした描写から、小さな町で暮らす人々の息づかいが感じられ、フィンバーの行動にも、それを見守る人々の言動にも説得力が生まれているように感じます。おかげで、ラストはじーんと沁みるものがあり、思わず目頭が熱くなってしまいます。

また、話運びも巧みで、フィンバーが最近読んでいる本、壊された路傍の案内板、モヤの持っていた銃弾、フィンバーが始めようとした家庭菜園など、終盤で次々に伏線回収していくのも心地よいです。

舞台として北アイルランド紛争を背景にしてはいますが、その知識が全くない私でも、ストーリーからおいていかれることはなく、最後まで楽しく観ることができました。それでも、知識があれば、テロリストたちの心情にもう少し寄り添えたかもしれないと思うと、そこだけはちょっと残念です。

主演はリーアム・ニーソンで、年齢ゆえ激しいアクションは少なめですが、それでも存在感と佇まいと生きざまで魅了します。脇を固めるのは、ケリー・コンドン、ジャック・グリーソン、キアラン・ハインズ、コルム・ミーニーら。

おじゃる
seiyoさんのコメント
2025年4月13日

こんにちは〜。
いつも共感ありがとうございます。

おじゃるさんのレビュー
全く仰る通りです。
予告は私も観ていません。

周りを取り巻く人々が優しく、ケビンも少しずつ変化していくのも頷けます

アニキは、唯一無二の存在だと思います

seiyo