「Help」プレゼンス 存在 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Help
幽霊の視点でお送りする探索型ゲーム的な作品。
色々な事象は人からしたらホラーになるんだけど、幽霊からだとなんでもない日常のシーンという不思議さがありました。
幽霊視点を通して引っ越してきた一家の過ごし方や関係性なんかを知っていくのですが、母親がグレーな仕事をしていそうだったり、父親はこき使われてそうだし、タイラーは自由だし、クロエは大人しめだったりと、早い段階でスッと設定が入ってくるのが良きでした。
家族自体は完璧には不仲では無いけれど、どこか距離が離れているという感じから起こる不和が妙にリアルで、それについて絡んでいく幽霊の行動がフフッてなるようなものになっているのも面白かったです。
霊感がある人には速攻で察されるみたいで、幽霊視点でも誰かにじっと見つめられるとギョッとするもんなんだなと人間視点と幽霊視点を同時に味わえたのは収穫でした。
途中から入ってくるタイラーの友人が中々にヤバいやつだったのも印象的で、何言ってるんだお前は?となるくらい口が達者でよく回るからこそ気色悪さが際立っていたなと思いました。
終盤の展開は怒涛かつクロエを救うために懸命に動いたという幽霊なりの正義というのがあって良かったと思います。
そこまではわずかに揺れる程度だったカメラワークがぐわんぐわん動いて窓パリーンなんかしちゃったりしてドッタバタでした。
しっかりと人怖なところを体現していて宣伝文にほぼ偽りなしってやつでした。
どうしても予算の関係とかでうまいこと映像化できなかったんだろうなぁという場面がちらほらあったのはご愛嬌かなと勝手に思っております。
幽霊ならその行動ができるのでは?だったりが多くありましたが、こればっかりは仕方ないんだろうなーとなりました。
一家が家を去るシーンでの鏡越しに写った幽霊の姿を見て阿鼻叫喚しているシーンから成仏までの流れがとってもコンパクトなオシャレが詰まっており、ホラー映画を観終わったとは思えないくらいおぉ…ってなりながらエンドロールに突入しました。
起伏が激しくないのでゆったりした感じはどうしても好みが分かれるとは思いますが、実験的な作品を映画館で観れるのは健康にとてもいいのでたくさん輸入してきてください。
ジャンル的にジャンプスケアが無かったのも安心して観れた要因だったかもです。
鑑賞日 3/13
鑑賞時間 19:25〜20:50
座席 B-4