ボゴタ 彷徨いの地のレビュー・感想・評価
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でも僕が欲しかったのは君だけなんだ
「ボゴタ 彷徨いの地」通貨危機で韓国を追われて家族とコロンビアに移住した主人公の物語。ヒューマン系かなと思ったら、ゴキブリと呼ばれ差別を受けながらも密輸業でのし上がった男と彼を慕う主人公の愛憎関係が中心の韓国ノワール系でした。イ・ヒジュン、クオン・ヘヒョら脇を固めるメンツが素敵で満足。ただ、ラストはちょっとどうかなと。
コロンビアで撮影!
撮影の安全面における配慮が強く表れた作品であり、
そのためにリアルさや熱量が犠牲になってしまった部分が見受けらる。
リスク管理と映画の魅力をどう調和させるか、
その難しさを感じさせる一作だ。
わたくし事になるが、
海外の国でのべ20ほどの都市で撮影の経験をさせてもらった。
その準備を進めていくうえで、
候補の国、都市を視察、シナハン、ロケハンを、繰り返していく。
特に危険地域での撮影は、事前の入念な準備が不可欠だ。
外務省と危険レベルの実相を確認しながら、
現地コーディネーターと、
候補地を絞り込んでいく作業というのが、
常識的な進め方だろう。
危険度レベル1の国でも、
予想外の事態が起こりうる。
現地と我々の危険認識の常識の違いから、
撮影のgo/stopの判断が難しい。
セキュリティチームに判断全てを委ねるわけにもいかない。
コロンビアはレベル2~3、
ボゴダは日本大使館もあり、
比較的安全らしいが、
外務省はレベル2と公表しているが、
現地感覚としては、
パブロ・エスコバルの映画やドラマを見ると、
レベル4だろう(苦笑)。
なので、本作はコロンビアを舞台にしているだけで驚く。
劇中の見える範囲だけで類推すると、
コロンビアでのロケは、全体の5%くらいではないだろうか、
ガチガチにセキュリティに守られた閉鎖空間、
または誰もいない砂漠、草原での撮影を含めてだ。
その窮屈さが絵に現れてしまっているのは、韓国映画らしくない。
制作側のリスクヘッジや予算管理、
エンタメとしてのバランスを取るためのVFX合成、
ライティングの工夫が随所に見られるが、
その結果としてカラフルな色彩は強調しているものの、
「作られ過ぎた感」が強調され、
自然な映画の魅力が損なわれてしまっている。
安全策を講じながらも、
いかにしてリアリティを追求するか、
観客にどれだけの感情移入を促せるかが、
この作品の最大の課題であったと言えるだろう。
ソマリアを舞台にした、
「モガディシュ 脱出までの14日」
アフガニスタン、
「極限境界線 救出までの18日間」
などの、傑作もあるだけに残念さは否めない。
生き残るために
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