「Boléro」ファンファーレ!ふたつの音 ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
Boléro
見逃しに見逃し続けていたのでなんとか滑り込みで鑑賞。
痛快明快な人間ドラマで分かりやすい展開が続くものの、役者陣のパワー込みでしっかり観れる作品に仕上がっていました。
白血病になってしまったティボのドナー探しの中で、血のつながっている弟のジミーが見つかり、そこからドナーを依頼するが…という話で、病状はそこそこに音楽に焦点が当たっていく作品で、プロの指揮者であるティボと地域の楽団でトロンボーンを吹いているジミーがそれぞれの音楽の価値観で近づいていく兄弟ものとしてもなかなか面白かったです。
最初はウザがっていたジミーが徐々に心を開いていく様子はなんだか愛おしく、照れながらも兄弟であることを受け入れていくところだったり、ツンデレ気味なところだったり、ティボと一緒にレコードを聞くところなんかもめっちゃ良かったです。
指揮の練習や鍵盤の練習なんかもとても良かったですし、音楽の芯にどんどん近づいて仲が良くなっていく王道展開、めっちゃ好きでした。
ティボの病状自体は治ったかと思っていましたが、まさかの病状が悪化していたという展開は、そこまで重くする必要性はあるのかな?とは思ってしまいました。
骨髄移植が成功した時点でてっきり良い方向に向かっていると思っていたもんですから、唐突に死の匂いがやってきてしまったのが惜しいなと思いました。
その後の展開のためと思うとやむなしとは思いつつも、死に頼らなくてもなんとかなったのではとも思ってしまいます。
ジミーの働いてる工場の取り壊しが決まったニュースなんかも、なぜ良い方向に進んでいるものを悲劇的な方に捻じ曲げてしまうのだろう?と思い不思議で仕方がなかったです。
ラストシーンは壮大なボレロが披露され、演奏を終えたばかりのティボにジミーが指揮をし、歌が始まり、ティボのチームも演奏に加わり、観客も音を奏でていくというホールが一体になってのボレロは圧巻でした。
病状は深刻で、頬も痩せこけているティボに向けたプレゼントで笑顔が戻っていくのが素敵でした。
それだけに悲劇的な展開の数々がお膳立てにしかなっていなかったなと思いました。
要所要所に惜しいポイントがあって傑作にはなりきれなかったなという印象ですが、音楽映画や兄弟映画としてはかなり見応えのあった作品だったので、合う人には抜群に合うんじゃないのかなと思いました。
鑑賞日 11/5
鑑賞時間 9:30〜11:15
