「【”人生のボレロ。そして生き別れだった兄弟の絆の芽生え。”今作は白血病になった世界的指揮者が、生き分かれになっていた弟と出会い、兄弟が夫々の人生のボレロを歩む姿を描いたムネアツな物語である。】」ファンファーレ!ふたつの音 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人生のボレロ。そして生き別れだった兄弟の絆の芽生え。”今作は白血病になった世界的指揮者が、生き分かれになっていた弟と出会い、兄弟が夫々の人生のボレロを歩む姿を描いたムネアツな物語である。】
ー ラヴェルの世界的名曲”ボレロ”は劇中でも触れられるが、彼が工場を見学に行った際に、その機械的でリズムの乱れなき所にヒントを得て作られた曲である。この過程は「ボレロ 永遠の旋律」で詳細に描かれている。-
■世界的指揮者のティボ(バンジャマン・ラベルネ)は、オーケストラの指揮をしている際に倒れ、白血病と診断される。
妹に骨髄提供をして貰うが、血縁関係が無い事を知り、ドナーを探す過程で自分が幼い時に生母と別れた養子であり、生き別れた実の弟ジミー(ピエール・ロタン)が居る事を知り、彼に会いに行く。
ジミーは寂れた炭鉱の町で、給食の配膳係をしつつ、炭坑会社の仲間達とおんぼろオーケストラでトロンボーンを担当していたのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・オーケストラの映画に外れなし、と私は思っているが、今作もそうであった。但し、オンボロオーケストラが陽の光を浴びる「ブラス!」(この映画も炭鉱夫たちのオーケストラの話であった。)とは、ラストが異なるが粋なラストであり、且つムネアツであった。
・ティボとジミーが、環境は違えど音楽を愛し、その交流の過程でティボがジミーが”絶対音感”を持つ男と見抜いて、ジミーに新しいトロンボーンを贈り、ジミーも立派なオーケストラの一員になろうと、懸命に練習をするシーンからの、厳しい現実にぶち当たるジミーが荒れるシーン。
それでも、ティボは忙しい中、素っ気ない態度を取るジミーの所により、運河の川べりでビールを飲みながら語り合い、最後は二人ともベロベロに酔っ払うシーンなど、楽しい。
・ティボはジミーに、空席になった指揮者の指導をするが、上手くいかない。だが、その過程でジミーはティボの苦労と偉大さを知るのである。
・ジミーに思いを寄せる楽団の女性エリーゼとの恋や、ジミーがティボに自分が育ったアパートに連れて行き、別れた妻との娘と会わせるシーンなども良いのだな。
若い頃から音楽漬けだったティボが、初めて実の弟とゆっくりと話しをする時の、リラックスした嬉しそうな顔。
■ティボは斜陽の炭坑会社のオーケストラを立て直すために、自ら吹奏楽と合唱を組み合わせたボレロを編曲し、炭坑会社のオーケストラの仲間達も、最初は半信半疑だが最後は彼に付いて行こうとする。
だが、実はティボの骨髄移植は上手くは行ってはおらず、彼の体調は良くない。
病を抱えたティボがオーケストラを指揮し、見事に演奏を終えた時に万雷の拍手が起こり、深々と客席に頭を下げる疲労困憊のティボの姿。
だが、その時に、客席からボレロの”トン、トトトン”のリズムが起こるがのである。まるで、ティボを勇気づけるように・・。
ティボが驚いて振り返ると、客席にはジミーが指揮を執る炭坑会社のオーケストラの面々が正装をして、ボレロを合唱しているのである。
それに合わせて、ティボが指揮を執るオーケストラは、管弦楽でボレロを演奏するのである。正にティボが編曲した吹奏楽と合唱を組み合わせたボレロが、大観衆の中で奏でられ、観客たちも席を立ち、ボレロを口ずさんで行くのである。
その姿を見たティボは目に涙を浮かべながらその風景を見渡すのである。勿論その視線の先にはジミーが指揮を執る姿があるのである。
<今作は白血病になった世界的指揮者が、生き分かれになっていた弟と出会い、兄弟が夫々の人生のボレロを歩むムネアツな物語なのである。>
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