「どん底で一縷の希望の光が見出せるか」ナイトフラワー Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
どん底で一縷の希望の光が見出せるか
監督は『ミッドナイトスワン』の内田英治。立場が誰よりも弱い人々の心情に寄り添った描写を今回もしっかりと行なっている。
それが犯罪行為であっても生きていくためには仕方がないと思い込むまで追い詰められた人々の物語という意味で、今秋公開された 『愚か者の身分』 とも通じる部分がある。こんなテーマの作品が次々と作られているのは、当然ながら、経済的に困窮した人々が増え続けているにも関わらず、自己責任に帰せられている現代日本社会の有り様の左証に他ならないであろう。
元夫が作った借金に追われて関西から二人の子供を連れて逃げ出してきたシングルマザーのナツキは昼夜問わず幾つもの仕事を掛け持ちしているにも関わらず食っていくことさえままならない。そんな様子を丹念に描き、設定のために犯罪の蟻地獄にすぐに足を取られることがないのが却ってリアリティを感じさせる。
弱いものが自分よりも弱いものを見つけて攻撃するというのは今に始まったことではないかも知れないが、それによって社会の分断が広がっているのも確かだ。作中の公的補助を子どもと高齢者が取り合っている姿が象徴的だ。
だが、弱き者たちは社会の最下層にのみ存在するわけではなく、一見上流に見える家庭の中においてもヒエラルキーの下で虐げられている者、そこから逃げ出そうとしてもっと状況が悪くなる者もいる。
ナツキを助けるタマエも夢を持って新しい世界に一歩を踏み出そうとしているにも関わらず、社会的足かせを外すことができずにのたうちまわることになる。
ただ、本作に逃げ場のないどうしようもない閉塞感の中で一縷の希望の光がわずかながら見えるとするならば、ひょっとすると世代を超えた再生産を断ち切る可能性が残されていることだろう。
いずれにせよ、北川景子と森田望智の演技が光っている作品だ。
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