「 北川景子の上手さと、脇役の充実がよりドラマチックに心を打つ。」ナイトフラワー masa.kさんの映画レビュー(感想・評価)
北川景子の上手さと、脇役の充実がよりドラマチックに心を打つ。
子ども二人のを持つシングルマザー、北川景子扮するナツキ、貧困の末に選んだ道は、麻薬売買。総合格闘技のチャンピオンに夢を描くタマキ、そのためにデリヘルまでしていた彼女がナツキと組んでヤバい麻薬売買の組織に入る。
格差社会を浮き彫りにして、懸命に生きる人間模様を描いています。
徐々に破綻に向かっていくナツキと二人の子ども。もしかして「愚か者の身分」のようなラストに一直線と思いきや、そうではないラストが用意されています。
北川景子さん、初のおばちゃん役、貧困にくるしみながらも、子どもへの確かな愛情を失わない母親の心情を見事に演じています。売人なりたてのオドオド感が覚悟を決めた貫禄売人への変化が見事です。
格闘女子タマキ役の森田望智さん、格闘女子役が身についていて迫真の演技が素晴らしいですね。今後ブレイクの予感です。
子ども二人の自然体の演技が胸を打ちます。貧困の家庭を描くものは、母親が身勝手な愛、ネグレクトな場合も多いのですが、このシングルマザー一家は、互いを思いやる優しさの絆があり、愛を知らずに育った格闘女子が、この家族の中に入っていく展開は暖かさがあり、心打ちます。
非常な麻薬組織の若きボス、「自分の子どもの幸せのためなら、他人の子供は不幸にしてもいい」そんな母に自分の母を見る、人の心を感じます。
「ブラックスワン」よりも娯楽性があり、見終わった感も暖かさを感じる素晴らしい作品でした。
ありがとうございます。観た人で、いろいろ解釈が違ったり、発見があったり、ここのレビューを読ませていただき、この作品の奥の深さに感動しています。「餃子弁当」「バイオリン」「関西弁」「母親像」色々な要素が散りばめられていながらも一本筋が通っているあたりの監督の手腕に敬服しています。
共感ありがとうございました。
自分の子供のためなら犯罪に手を染める母親。人の不幸で金を稼ぐ悪党なんだけど性根は優しい。でも貧困ゆえにこんな生き方しか出来ない。その象徴が親子で「餃子弁当を食べる」シーンだったのかなと感じました。
多摩恵もまた愛を知らずに育ち、愛を信じようとしない。だからこそ死んでも構わない覚悟で格闘技に命を賭けた。ところが夏希と知り合い、一家と深く結びつくことで家庭の温もりを初めて知り、彼女は変わり始める。でも時すでに遅しだった。そう思うとこれまた切ない。小春がイジメられた時にやり返しに行こうとする多摩恵を小春が泣きながら止める。そんな小春に多摩恵は「お前は強いなあ」と呟くシーンも強く心に残りました。
売人のボス(サトウ)も大悪党なのに「母の強さ」を認めたり、手下に「お前、母ちゃんは?」と聞いたりする。彼もまた心のどこかでは母親を大切に思っているのが伝わる。
長くなってすみません。まだ余韻に浸ってます(笑)
それにしても切ない作品でしたね。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。

