「無自覚な人々によって無自覚な人々が騒動に巻き込まれるオハナシ」俺ではない炎上 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
無自覚な人々によって無自覚な人々が騒動に巻き込まれるオハナシ
オチが読めない面白さは原作の力なのだが、脚本の構成が巧みだと感じた。
原作の持つリアリティの部分よりも滑稽な部分に力点を置きつつ、〝巻き込まれ型〟のサスペンスをスリリングに組み立てている。
そういえば、林民夫が脚色した『ゴールデンスランバー』(’10)も巻き込まれ型の佳作だった…。
その脚本をオーソドックスではあるが、堅実でテンポのよい演出が意図どおりに物語をみせていく。
加えて、SNSのコメントを画面に映し出すCGの映像効果が面白くて、画面にメリハリが効いている。
山田篤宏監督作品は本作で初めて観た。
あまり期待せず劇場へ行ったので、これはラッキーだった。
125分という尺も、ヨロシイ。
ネット上での拡散・炎上という、もはや最近起き始めたわけではない現象の理不尽さや恐ろしさというモチーフよりも、誰からも好かれていると思い込んでいた自分が実は嫌われ者だったと知らされる男の哀れが、可笑しいやら、身につまされるやら…。
そっちの面で、これは他人事ではないのだ。
阿部寛と夏川結衣が何度目かの夫婦役だというのが話題になっていた本作。だが、やはり見どころは芦田愛菜だった。
PR映像で流れていた芦田愛菜が悪態をつくシーンは、意外なシチュエーションで出てくる。事前に阿部寛の娘役だと発表されていたのでネタバレなんじゃないかと気になったが、PR映像の切り取り方が上手くミスリードしてくれて、気にならなかった。
芦田愛菜としてはミステリアスな役が新鮮で、しかも一気に大団円に流れこむ展開に違和感を持たせないのも、芦田愛菜が放つ雰囲気の所以だと思う。
荒唐無稽なのだが、部分的には起こり得る事象が混ぜ込まれているから、全くありえなくもない…と思わせるところがミソだ。
各キャラクターも極端に誇張されてはいるが、いそうだから面白い。
バイオニック・ジェミーこと田島令子がコミックリリーフ的に笑わせる。
「僕は悪くない」(真犯人)
「俺たちは悪くない」(刑事)
「悪いのは私」(娘)
「私が悪かったのよ」(妻)
「いや、悪いのは俺の方だ」(オレ)
♪悪いのは〜僕のほうさ〜、君じゃな〜い〜♫
と唄ったのは堺正章だった…「さらば恋人」
こんばんは
共感ありがとうございます。
阿部寛のコミカル演技と、芦田愛菜ちゃんの
大人の演技が良かったですね。
そういえば、
忘れてましたけど、確かに2人は親子役って宣伝してましたね。
すごいネタバレですよね。

