「日本語が不自由でも狡猾」俺ではない炎上 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
日本語が不自由でも狡猾
2025年映画館鑑賞96作品目
10月12日(日)イオンシネマ北上
ハッピーナイト1400円
原作未読
原作は『六人の嘘つきな大学生』の浅倉秋成
監督は『スカジャン・カンフー』『AWAKE』の山田篤宏
脚本は『藁の楯』『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』『空飛ぶタイヤ』『糸』『太陽は動かない』『護られなかった者たちへ』『ラーゲリより愛を込めて』『ディア・ファミリー』『少年と犬』の林民夫
ロケ地
静岡県浜松市
春華堂
可美公園
浜松アリーナ
浜松城公園
フラワーショップINAGAKI
静岡県湖西市
大橋屋つり具センター
真犯人の策略によってネット社会で殺人犯に仕立て上げられるサラリーマンの話
舞台は架空の地方自治体大善市
林民夫が脚本を担当した映画は少なくともそこそこは楽しめる確実性がある
小学生夏実と女子大生砂倉
夏実の友達「えばたん」とシーケン社員青江
彼らがそれぞれ別人だと思わせるところが心憎い
『イニシエーションラブ』や『さよならドビュッシー』は同一人物と思わせて別人だったけどこれは同一人物
芦田愛菜の役が砂倉だとますます紗倉まなに近づく気がするがそんな思いを巡らしているのは世の中で自分だけだろう
因みに紗倉は意外にも実在しない苗字でジャイ子のような気配りを感じることできこれもまた心憎い
自分では誰からも好かれていると思い込んでいるが本当は誰からも嫌われている主人公の設定もポイントだ
疲労骨折したとはいえほぼフルマラソンな距離も走ってしまう体力もなかなか
芦田愛菜演じる山縣夏実のスーパーウーマンぶりが凄い
自分よりずっと長身で体格が良い父親を火事の家から助け出す姿はまさしく火事場の馬鹿力
住吉に対する怒りの訴えもスッと受け入れることができる
全盛期のキョンキョン以上の発信力
やはりコミュニケーションは表情や声のトーンが重要で文字だけのやり取りではまともな議論なんて出来るわけがない
事件解決後の見事な手のひら返しもお約束といえる
「私は悪くない」という世間と「私が悪い」と言い合う山縣家とは対照的
犯人の暴走するモンスター化した正義感は少年時代尊敬していた父親の不祥事に対する深い心の傷が生み出したものなのか
言葉遣いの違いが山縣泰介犯人説の完全否定となる
僕も「敷居が高い」の誤用は気になる
間違いを指摘され謝罪もせず開き直る態度も印象が悪い
自分を棚に上げて心苦しいがバカなくせに背伸びして慣用句なんか使うんじゃないよと生意気だから
日常会話ならともかくキャッチコピーなら絶対にダメだぞと
和製英語なら誤魔化せても慣用句は無理
この映画には関係ないけどついでに書くなら「風の噂」も気になる
「風の便り」が正しくそっちは響き的にも素敵な慣用句だが「風の噂」ではバカっぽい
横浜国立大卒で教員免許もあるB'zの稲葉浩志が『ロンリースターズ』って曲で歌詞に「風のうわさ」とあるが物凄いガッカリ感
自分は映画鑑賞くらいネットから離れたい気分だがこういう内容の現代劇だから仕方がない
インターネットの草創期はユーザーの殆どがインテリだった
それ故に精神的に余裕があり「すまんな」「ええんやで」の精神があったらしい
しかしスマホの登場で猫も杓子もネットに書き込むようになり全体的にインテリとは真逆の様相に成り果てたみたいだ
そういう意見は見かける
まあそうかもしれない
リアルだと僕はすぐに「すみません」と「ごめんなさい」と言ってしまう性分だがヘタレネット番長はなぜ生まれるのか自分はインテリじゃないのでわからない
やっぱりわりと楽しめた
さすが林民夫
強いて苦言を呈するなら尋ねてきた泰介を塩見が暖かく迎え入れるシーンはいらない
考えがあってのことだろうがやっぱりあれはいらない
配役
自分はみんなから好かれていると思い込んでいるがじつは周囲からの評判は元々悪い大帝ハウスの営業部長の山縣泰介に阿部寛
泰介の娘で事件を追う女子大生の砂倉紗英(山縣夏実)に芦田愛菜
山縣夏実の小学生時代に丸山明紗
最初のリツイートで山縣泰介の冤罪による逃亡劇の発端となった大学生の住吉初羽馬に藤原大祐
大帝ハウスの依頼でリゾート用のコンテナハウスを建設したシーケンLIVEの社員で父親は警察官だった青江拓哉に長尾謙杜
夏実の同級生の「えばたん」こと青江拓哉の小学生時代に味元耀大
事件を追う刑事で真犯人は山縣泰介と疑う無責任な一面を持つ堀健比古に三宅弘城
堀とコンビを組む刑事で山縣泰介犯人説には当初から懐疑的だった六浦信也に橋本淳
大帝ハウスの社員で山岡の部下の野井大輔に板倉俊之
大帝ハウスの社員でかつて山岡に仲人をしてもらった塩見亮に浜野謙太
インターネットは普段見ておらず最近の若い子は酒を飲まないと愚痴をこぼすスナック「しずく」のマチ子に美保純
夫は殺人犯ではないと確信している泰介の妻の山縣芙由子に夏川結衣
元々泰介を快く思っておらず結婚には反対し娘にも批判的な茉由子の母の山下静子に田島令子
大帝ハウスの所長かつ泰介の上司に信太昌之
取り調べの刑事に川瀬陽太
住吉の友人の瀬野に大岩世奈
住吉のサークル仲間にKaito
住吉のサークル仲間に一ツ松勇宇吏
カメラを向ける運転手に浅見静江
ファミレスの若者に安部夏音
ファミレスの若者に今野太貴
自宅に押しかける若者に天野旭陽
自宅に押しかける若者に山下一翔
通報を受けて自宅に駆けつけた巡査に片山幸人
通報を受けて自宅に駆けつけた巡査に安福毅
レポーターに上村愛香
県警本部長に画大
車を発見する警官に渡辺郁也
SNSの発信者に大塚玲央奈
迷惑系Youtuberのドンキンに義江和也
走ってくる車も全く気にせずシルバーカーを押して道路を渡る老婆に仲野元子
声の出演に田中あいみ
被害者(写真)に神保佳乃
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。