劇場公開日 2025年9月26日

「社会派ながらもクスッと笑えるエンタメ的良作」俺ではない炎上 トビーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 社会派ながらもクスッと笑えるエンタメ的良作

2025年9月29日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

建設会社で働いている阿部寛が、あるSNSアカウントの投稿を元に突如殺人犯に仕立てあげられてしまった。顔写真や住所など、ありとあらゆる個人情報を晒しあげられ、逃亡を余儀なくされた彼は自力で真犯人を見つけ出そうとするが…というお話。やはり、阿部寛は少し可哀想な目に遭う役が似合いますね。

現代では欠かせないSNSは気軽に多くの人と交流することが出来る便利なツールですが、時には強大な影響力を持つ兵器でもあり、本作ではその恐ろしさが最大限に描かれていました。さすがにここまでの冤罪騒動は余程のことがなければ起こらないでしょうが、21世紀の社会を描く物語としては十分に説得力があります。

多くの人々が「正しいことをしたい」という善意から取る行動は、ときに正義感の暴走となって他者を追い詰め、集団の中で冷静さを失わせてしまう。この映画は現代における人々の善性や心理の暴走を誇張しつつもリアルに映し出しており、観ていて考えさせられる場面がありました。

また、主人公とその周辺の若者とのジェネレーションギャップを描いた興味深い作品でもあり、主人公が現代っ子の価値観に戸惑い、苛立ち、理解しようと奮闘する姿は、現代社会における世代間の摩擦を不快な気持ちにさせずコミカルに描いていました。

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トビー