「矛盾が多すぎて全然腑に落ちない。整合性がない」俺ではない炎上 サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)
矛盾が多すぎて全然腑に落ちない。整合性がない
試写会勢の事前評価が高かったので
楽しみにしていましたが、
ハッキリ言ってなかなか酷い映画でした。
まずなにより話に矛盾点や理解不能な点が多すぎます。
ザックリ箇条書きにすると
・何があっても警察には絶対に頼らないという
物語を成立させるためだけにある謎信念
・位置追跡をされてる訳でもないのになぜかスマホを捨てる
(もちろん話を成立させるため)
・バーの息子が逃亡犯がきたことを警察に通報したが、
そもそも息子は逃亡犯と顔を合わせていない
・親しい部下に刑事を付けているのに
主人公が訪ねる部下には見張りを付けていない
(これも話を成立させるため)
・部下がなぜか自分のではなく、嫁のスマホを差し出す
・あと予告編で↑の部下を訪ねるシーンがあり、
単純にネタバレしてる
・座標を調べたいからスマホを手に入れたのに
一向に座標を調べない主人公
・寒いのに服をロープ代わりにしてパンツ一丁になる主人公
・もう死体を見ても驚きもしなくなる主人公
・ガス爆発を直撃しても無事なタフな主人公親子
(明らかに人がきたと気付いてから着火するのも意味不明)
・意外性もなにもない真犯人、狂人アピールの薄い動機
・最初は主人公を殺す事にこだわり、
父をかばう娘は突き飛ばしたのに
一分後には娘に刃を突き立てようとする真犯人
・犯人の『俺は正義だ』『俺は悪くない』を
ネットの無責任な私刑文化になぞらえたいのはわかるが
『SNSは悪だ』という製作意図が前にですぎていて
ただの頭のおかしいヤツに成り下がっている
ネットやSNSを悪だと言いたいなら
『こんな普通のやつでも知らず知らず考えを歪めている』
ということをもっと表した方が怖いし、
真犯人が歪んだ理由をネットやSNSにした方が納得できる。
・家族が『俺が悪い』『私が悪い』と延々言い合うの
正直見ててキツかった
これがこの映画で散々説教を垂れた挙げ句の
『人としての正解』なのだろうか。
・ラストの『僕が悪いかもしれない』の一文、
あの流れなら『僕が悪い』でいいのに
映画を見ている人にこれまたお説教をするために
『かもしれない』という余計な言葉をつけている
軽く思い出しただけでもこのくらいはあります。
どれもこれもが見てて腑に落ちません。
この映画は、とにもかくにも終始お説教です。
ネット民をはじめ、中高年、若者、親、子、警察にいたるまで
全方位にお説教をするのが見てて相当キツかったです。
特に子供がネットを見て
『僕はこんな大人にならない』と言いだす、
まさかのこどもにまでお説教させる始末。
なによりその説教の内容が
『ネットに不確定な情報を拡散するな』
『SNSの情報は嘘だらけだ』
『おっさんはもっと嫌われてる事を自覚しろ』
『警察は無能だ』
と、ありきたりで薄すぎる。
散々他作品で擦り倒されてる事を説教してる。
どうせ説教を入れるなら
もっと気付かされるような新しい事を言ってほしい。
阿部寛さんと芦田愛菜さんをはじめ、
豪華俳優陣の無駄遣いです。特に阿部寛さんは
『ショウタイムセブン』『キャンドルスティック』と
今年公開の映画がことごとく酷いので
本当に不憫としか言いようがありません。
事が起こる前に届いていた“手紙”の内容が警察を頼らない一因なのですが…
アップにもならないし、きっちり音読もされないので伝わらないだろうな、と思いました。
また、ご指摘の点のほとんどは原作では説明されてるか、そもそも改変されてたり…
そのままやるのに何の支障もなさそうなのに、意味が分かりませんでした。



