「ファンタジーの中のリアル」TOKYOタクシー マロンさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジーの中のリアル
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「ハウルの動く城」の組合せ、往年の可憐さを持つ賠償千恵子さんと久し振りに見る木村拓哉さんの演技、山田洋次監督による「パリタクシー」、色々楽しみで見に行きました。
一番違和感無く見ていられたのは賠償さん、作り物めいたキャラも自分のものにしてしまう。
木村さんはどうしても疲れた個人タクシーの運転手には見えない。演技がどうというより、地味なジャンパーやズボンを履いていても絵的に宇佐美<木村拓哉なのは私の世代によるものか。
すみれさんのエスコート役としては完璧です。
宇佐美の妻や娘のリアクション、散りばめられたディテールで山田洋次監督作品そのものであることを実感。
夫が妻に暴力を振るっても離婚理由にはならない、すみれさんの人生に乗せて語られる戦後の日本社会はリアリティがありました。
最終手段としてすみれさんが夫に取った行動も、全体のファンタジー感に平手を食らわすようなかなりな衝撃です。
誰にでも徐々に、でも確実に迫る人生の終わり。
あらゆることに怖気づかなくなったと自負しても尚、華やかな思い出や後悔、孤独、恐怖が押し寄せてしまう。すみれさんは宇佐美との偶然の出会いで、そんな波立ちを半分ぐらい減らせたのかも知れません。
人生を折り返した層には、やけにリアルに響くテーマです。
すみれさんが若い女の子の様にはしゃいで宇佐美と腕を組んで歩く元町のシーン、一番のハイライトでした。
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