「もうちょっと情緒があれば」TOKYOタクシー かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
もうちょっと情緒があれば
映画が終わって周囲を見渡したら、年配の方々ばかり。カップルが数組。
盆と正月の寅さんで育った世代ですかね。
ご夫婦らしいみなさんゆったり小声で会話したりして、この映画はそうやって観るのが合っているなと思いました。
TokyoというかYokohamaタクシーかも。風景がきれい。
元になったパリタクシーを日本と日本人にそのまま焼き直したような映画なので、「良かったねえ」で終われていいんですが、ちょっと惜しい。もうちょっと情緒がほしかった。
浩二もすみれさんも、人物に深みがないような。
セリフが硬いせいというのがあると思う。
普通の会話ならこんな言葉使いはないだろう、こんな言い回しはしない、さらには全部説明してしまういかにもセリフな会話が多くて、演技してます感が出てしまった。
息子はどうしているか聞かれて、すみれさんは「あんまり言いたくないのよ、死んでしまって」みたいなことをすらすら言葉にするが、ここは表情と態度と間で「言いたくない感」を醸しだしたらよかったのに。だまって言いよどんで、「そうね、実はね、死んじゃったの」浩二が驚いて「すいません、言いたくないことでしたか?」その方が人の情感に訴えるものがあるような気がする。私見ですが。
そして、すみれさんの過去のエピソードの数々が重い話なのに薄い。
なので浩二がすみれさんに感情移入するほどのことに感じない。
私は倍賞千恵子さんの映画をほとんど見たことがないので普段どういうお芝居するのか知らないが、酸いも甘いも嚙分けた人生の達人のような懐の深い役は合わないのではないか。単に年齢と山田洋二チョイスで配役されたような気がする。松竹だと山田洋二で倍賞千恵子、とすらすらなってしまうんでしょうが違う映画会社だったら違う監督違う配役で、その方がよかったかも。ってか松竹だからのリメイクな気もする。
キムタクは、当初の仏頂面でつっけんどんな表情が、いつのまにかすみれさんに魅かれて劇的に柔和になるような、オリジナルでは見せ場だった運転手さんの感情の動きが感じられない。最初から最後まであまり変わらない。
(但し、夫や父親としてはいい感じだった。ごく普通の家庭の、家族思いのお父さんで夫。朝ごはんは白いごはんに納豆派なのね)
パリタクシーとストーリーはほぼ同じだが、情緒が大分違う。
元町を歩きながら、すみれさんの方から浩二に「腕を組んでも良い?」と聞くのはどうでしょうか。すみれさんのほうからそんな申し出をさせるのか。ここは浩二の方から肘を差し出して、すみれさんにお手をどうぞ、とエスコートするところじゃないですか。そのほうがスマートだし、浩二からの、すみれさんへの敬意と親しみの気持ちが表わせると思う。すみれさんは驚き、照れながら喜び、恥じらいながらも堂々と腕を組むでしょう。日本の男はそんなことしないかもだが、浩二もマダムのチャーミングな気品に、ぎこちないがそんな気持ちになった感じで良いのでは。
ホテルのディナーも浩二が自分の気持ちでごちそうする。すみれさんはお礼に浩二娘リクエストの元町の名店のシュークリームをたくさん買う。そのほうが良くないか。
そういう、ちょっとした人間の機微を拾って心動くような場面が、tokyoタクシーにはほぼなかった気がする。
すみれさんが自分より大分若い男性(ちょっと前のイケメンの代名詞キムタク!)侍らせて、ふたりきりで遊べて浮かれてはしゃいでいる金持ちマダム、な感じに見えてしまうときがある。
ホテルに行きたい、にはちょっとギョッとした、そんなわけ無いんですが。
昭和の日本人男性である山田洋二は、日本の下町や炭鉱での人情を描くのは名人だが、女性の微妙な気持ちとか大人の男のセンスあるふるまいには疎いのかもと思ってしまった。
浩二の奥さん役の優香が良かった。
良い家庭なので安心して見ていられる。
パリの運転手さんほど切羽詰まって困窮してはいないようです。
長年さくらだったけど、今度はすみれ。
山田洋二監督のちょっとしたシャレなんでしょうね。
それにしても「1億」は大きすぎる。贈与税でかなり取られるにしても。
宝くじで高額当選して、急に大金が手に入ったばかりに人生狂わせる人が多いようだが、この良き一家は大丈夫か、余計な心配をしました。
いくらネイルサロンで大成功した設定だからってお礼で1億は多すぎですよね、庶民はお金の使い方を知らないから人生が狂ってしまいます。1千万円だったら良かったのに。あとはどこかに寄付とかでも。
個人的にはキムタクがメインではなくサブの主役(変な言い回し笑)だったというのが貴重でした。存在感のあるバイプレイヤーとしてはなかなか魅力的かと。
共感ありがとうございます!
帝釈天がスタート地点なんて、山田洋次節が炸裂した作品ですよね。自分的にはゴール地点は金沢八景の太田屋近くにして、釣りバカ日誌要素も取り入れて欲しかったです。関東学院大学の校舎ならお金持ちの老人ホームに見えなくもないし、室内は本当の施設で撮れば良いじゃん、なんて妄想したりしていました。
浜っ子なんで、子供の頃家族で買い物に行った元町が綺麗に描かれていて、そこだけでも大満足でした。パリタク未鑑賞なんで比べることが出来ないんですが、日本オリジナルとして鑑賞できたので、それはそれで良かったと思います。
こんにちは😃
今作というか、「パリタクシー」のストーリー自体があまり情緒に訴えるストーリーでは無いですよね。老婦人の衝撃の告白、運転手は衝撃を受け自分の人生を見つめ直し、老婦人は感謝の気持ちとして遺産を渡す。着地点は「お金もらえてヨカッタね」‼️いいストーリーではあるんですけど、情緒はあまりないし、「忘れられない感動」とは程遠い気がします。
こんにちは。コメントありがとうございます。
寅さんファンの映画評論家が、懐かしんで、いつもは毒舌なのに
ベタ褒めしてました。
葛飾柴又の帝釈天というだけで興奮していました。
私はやはり「パリタクシー」とは別ものだと思います。
監督も年齢を重ねて、みんなが平和になる映画を撮ってくれたの
かな?
シルバーの方々(自分もですけど、)
とても楽しんで観ていて雰囲気最高でした。
日本人の男は騎士道教育受けてないから無理ですよ、最近は武士道教育もされてないので野伏みたいな輩ばかり。
キムタク家は中流そのものでしたけどねー元ネタ程困窮してる感じ無し、日本だからですかね。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。








