「唐田さんの最初の本読み」Page30 やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
唐田さんの最初の本読み
ほとんどが稽古のシーンなので、台詞の多くが劇中劇の台詞になっているんですよね。
そのせいなのか、とてもテンポ良く感じられ、しっかり引き込まれて夢中で観ちゃいました。
そして、狂気的なシーンも有るんだけど、最近『セッション』を観た影響か、すんなり受け入れられたの、芸術には狂気が付き物だなと。
それから、クライマックスシーンが舞台と映像作品のいいとこ取りした感じで、良いの。
大袈裟なくらいに役者さんの息づかいが感じられて。
演劇観たくなりましたもの。
ところで、私がこの作品で一番気になったのが、唐田さん演じる琴李の最初の本読み。
才能有りそうな役者の設定の割に、台詞が棒読みに感じたんですね。
それで、感情を込めない読み合わせというと、濱口竜介監督が思い浮かびます。
『ドライブ・マイ・カー』の劇中でも、そんな感じの読み合わせシーンが有りました。
そして、唐田えりかさんの代表作と言えば、やっぱり『寝ても覚めても』だと思うのだけど、そう濱口監督の作品なんですよね。
今回の作品のあのシーンが誰の思惑でそうなったのかは分からないけど、唐田さんの意思であの様に演じたのなら、役者として濱口監督の影響をかなり受けているのかもしれません。
この映画、パンフレットの販売が無かったので、その辺の事は分からないんですけど・・・。
こんにちは。
琴李の芝居については、咲良に「ずっと大袈裟だと飽きる」と言ってたのでわざとに思えます。
シーンが進むと感情も出てきてましたし。
また、あの長く難しい台詞を早口で読むだけで凄みが十分に出てしまいます。
そこに感情までしっかり乗せてしまうと琴李が“正解”に見えてしまうので、個人的には上手いバランスと感じました。