劇場公開日 2025年7月25日

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「映画そのものが事故物件。入居(鑑賞)は自己責任で。」事故物件ゾク 恐い間取り 日本年金機構さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 映画そのものが事故物件。入居(鑑賞)は自己責任で。

2025年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

「事故物件×実話」という題材は最高に魅力的で、前作のことは忘れ、期待して映画館に足を運びました。しかし、ふたを開けると、怖さよりも構造的な弱さばかりが目につく作品でした。

エピソードは多いのに、ひとつひとつがつながらず、感情移入する前に次の怪異へと飛んでしまいます。物語の軸が弱く、恐怖が積み上がらないまま終盤を迎えるため、観ていて緊張感が続きません。

演出も揺れていて、「本格ホラー」なのか「ホラーコメディ」なのか定まらず、笑いも怖さも中途半端。幽霊や驚かせ方は既視感が強く、ホラーに慣れた人なら展開を予想できてしまうでしょう。

題材のポテンシャルは高いのに、活かしきれずに終わってしまったのが残念です。恐怖は音や映像の派手さだけでなく、人物の心情や生活の匂いからも生まれるはず。そうした部分を丁寧に描けば、もっと“住みたくなる”作品になったのではないでしょうか。

観終わって思ったのは、「これは映画そのものが事故物件」ということ。次作があるなら、まずは地盤(物語)を固めてほしいと、切に願います。

こひくき