「「忌避される空間に商機あり:事故物件とフードロスの共通点」」事故物件ゾク 恐い間取り 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)
「忌避される空間に商機あり:事故物件とフードロスの共通点」
映画『事故物件 恐い間取り』は、芸人・松原タニシの実体験を基にしたホラー作品でありながら、経営者としても多くの気づきを与えてくれる一作だった。主人公が事故物件に住み続けるという狂気とも言える行動は、ある意味で“需要のない空間に価値を見出す”挑戦でもあり、不動産の再定義に近い。その点で、近年注目されているフードロス問題と通ずるところがある。誰もが敬遠する“使われないもの”を、いかにして価値に転換するか。まさに経営の本質が問われるテーマである。
本作で印象的なのは、「見えないもの」に立ち向かう姿勢だ。事故物件に住むことで、目に見えない恐怖と格闘しながら、結果としてメディア露出が増え、主人公はビジネスとしての成功を掴んでいく。これもまた、時代のニッチを突いたマーケティングの一種であり、私たち経営者が持つべき“問題解決の感性”を刺激される。
たとえば、飲食業界で賞味期限間近の食品を再活用する「ロス削減プラン」は、見方を変えれば“事故物件”に価値を与える試みにも似ている。つまり、フードロスも恐怖も、捉え方次第で価値の源泉となりうるのだ。私自身、美容や飲食領域で新規事業を検討しているが、この映画を通して「社会的に避けられるものにこそ、未来がある」という視点を再確認できた。
『事故物件 恐い間取り』は単なるホラー映画にとどまらず、“忌避されるものをどう扱うか”という、経営にも通じる重要な問いを投げかけてくる。
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