爆弾のレビュー・感想・評価
全220件中、161~180件目を表示
原作を読んだ方でも楽しめると思います
※原作のネタバレを含みます。
映画化として非常にうまく纏められていると感じました。
大学生のエピソードや鶴久課長の娘などのサイドストーリーがカットされ、スズキの冗長な独白も最小限に。原作で好きだった「警察の勝利とは、犯人をルールの内側に引き戻すこと」といった清宮の台詞も省かれているのは残念でしたが、スズキの事件にフォーカスした濃密な実写化 になっています。
映画の構成として、「取調室の張り詰めた尋問」「外で進む爆弾捜査とタイムリミットの緊張感」を交互に見せていくスタイルとなっています。
スズキ・清宮・類家による取調室のやりとりは緊迫感があり、特に会話の応酬は見応えがありました。ただ、舞台が一室に固定されるため画面のバリエーションには限界があり、カメラワークで工夫をしているものの、映像的にはやや単調 に感じる部分も。音楽もメリハリが効いているのですが、一方で静かなシーンが多く、劇場では寝息が聞こえる瞬間もありました…。
閉鎖空間の心理戦が好きな方には刺さると思います。
爆発シーンは迫力がありましたが、引きの画が多いのが気になりました。3回戦の爆破では被害者が100人超という規模なので、瓦礫や負傷者の描写をもう少し寄りで見たかった所です(センシティブな表現になるため、あえて避けたのかもしれません)。
※ここから原作終盤に関する言及あり
明日香が警察署に入ってからの展開は、少し急ぎ足で収束してしまった印象です。(ここも正面から入ってくるので違和感がありますね)
特に惜しかったのは以下のシーンが削られていたこと:
・等々力と対立している課長が「明日香が殺人に関わっている」という等々力の判断を受け入れる場面
・明日香侵入後、等々力が後輩を押し留め、一人で爆弾(明日香)を探しに向かう覚悟のシーン(最終的には二人で向かうのですが)
・倖田が明日香を命懸けで説得するシーン(シーン自体はあるのですが、短すぎて重みが薄い印象です)
スズキが「もういいや」と全てを巻き込んだ爆弾事件を肯定した一方で、刑事たちはほんの少し見知った程度の関係でも、命を懸けて人を救おうとするという感情の対比が上記のシーンを通して描かれます。そのアンチテーゼが弱まってしまったのが残念でした。
2時間超の映画なので尺に余裕が無いのは理解していますが、現場にいる刑事たちが、行動でスズキに抗うシーンが残っていれば、ラストの感動がさらに強くなったと思います。
終盤に気になる点はあるものの、全体として満足度の高い実写化 でした。
原作既読者でもしっかり楽しめると思います。
もう、いいやあといつかの焼肉の間
作品は、とても見応えありよかったと思います。
作中のスズキ以外のマイノリティーの描き方は、現代のやるせなさを感じてやり場のない気持ちになりました。
また、作中感じたのはそのやり場のない気持ちをある時、スズキは「もう、いいやあ」と思いこの計画に加担した。
一方で、類家やその他は同じ黒い感情に覆われながれも「ポークステーキ丼」や「いつか高い焼肉を」と思いながら留まっている。
その間には何があるのだろうか
国内外での切りつけ事件は、そのいつかの何かがなくなったからではないか。
佐藤二郎の演技に全て喰われる
【原作未読】
一にも二にも佐藤二郎の演技に尽きる。。 怪演過ぎて鑑賞後はそれしか残らないとも言える。別の言い方をすれば、その演技だけを見る為にこの作品を観るのも有りだ!
原作未読なので何とも言えないが、今回の事件の大元となった警察官のスキャンダルが…えっ⁉︎ それっ⁉︎ って感じ。これでは観客は納得しない。逆に観ている者は⁇が増えるばかりである。
また他のレビュアーさんも言っているようにこのストーリーならもっと警察組織に向けて犠牲(大爆発)が発生してもよい筈である。というか警察がNo.1ターゲットの筈。(最後には少しあったが未遂で終わる訳だし…)(また警官1名の負傷はあったが…)
しかしテンポは良かったし他の俳優さん達の演技も良かった。VFX(CG)がやはり日本レベル(テレビレベル)であったが…。ここはやはり映画なのでもっとお金を出して世界レベルに近付けて欲しい。そうすれば日本映画は世界で売れると思う。このまま"邦画"(国内だけでOK)ではダメなのです。アニメだけでは無く実写でも世界を見据えてお金を掛けて制作して欲しい所。
この手の映画は映画は演技力に左右されると思える作品
佐藤二郎が演じるスズキタゴサクの人柄や世界観が最高に表現されていて、この映画を面白くしてます。
佐藤二郎のコメディタッチな演技もコメディではない、ギリギリの演技が素晴らしくいいと思います。天才です。
少し残念なのは、山田裕貴さん演じる類家ですね。キャラがイマイチ定まってない感じがあります。そういったキャラなのかも知れませんけど、正統派のキレものなのか、ぼんやりタイプだが実はキレもの?どっち?って感じがしました。そのあたりから、演技がブレブレのような印象があります。
全体的なストーリーは凄く面白いのですが、類家に代わってからの方が爆発が防げてない感じに違和感はあります。
あと、駅のホームに押し寄せる群衆、警戒を解除する警察と駅側の判断、それに乗っかる群衆。いや絶対電車使わないだろ!とツッコミは入れたくなりますが、、、まあ、そこはご愛嬌で。
同時に色々なストーリーが動くのも面白いですね。等々力さんがもっと存在感(第3ステージぐらいで)を出してくるのかと思いました。
印象的なのは、タゴサクが類家の事をずっと「刑事さん」と言って「類家だ」と訂正された続けてのが、最後に「類家」と言ったところですね。この一言でタゴサクが類家以上であると思わせてる感に震えました。
最後に第3ステージの爆弾は映画館にして欲しかったですね。
原作未読。
最初から、佐藤二郎の演技に惹き込まれたのは確か。ラストまで緊迫感もあった。だけど…(ここからネタバレ)
そもそもの発端となった長谷部の行為に至る背景をもっと深堀りすればもっとストーリーの重厚感増したのに、いうなればただの性癖で済まされてしまってるのが残念。
なんだかんだ世の中に居場所をなくした息子が癇癪起こして爆弾魔になって、母親は手に負えなくなってタゴサクに助けを求めた?
タゴサクなんで助けたの?
あと長ったらしくなりそうだから気になった点。
・渡部さん、途中から威厳どこいった?
・秋葉原、画面上から伝わってくる爆弾威力の割に死傷者少なくない?
あと声を大にして言いたい。
警察関係者、被害無さすぎだろ?坂東さんぐらいは、セオリー的にお涙頂戴殉職すらなく、ラスト見舞いシーンいる?息子は警察には恨みないんかな。あっても良さげだけど。
スッキリしない
原作もすっきりしないが。
ミステリーは映画に向いていない。結局、内容が謎解説になりがちだからだ。
延々と言葉遊びを続けるだけで、なるほどと思わせる内容がない。爆弾犯の動機もこじつけっぽいし、刑事の息子や母親の動機もこじつけっぽい。こねくるための設定にしか思えない。そもそも爆弾犯の正体がただのホームレスというのが苦しい。頭脳的な駆け引きをするのだから、正体不明だが何か過去を匂わすエピソードなり欲しい。
結局、爆弾犯が勝って大量に人死が出るオチはあたりまえだがエンタメとしてはスカッとしない。それはそうで客は最後に爆弾犯をやり込めるのを期待して映画を見るのだから。しかしそれを狙いとしないのであれば、刑事VS爆弾魔の対決として盛り上げるのはインチキっぽい。せめて何か別のカタルシスを用意してほしいところだ。
阿佐ヶ谷駅に爆弾が仕掛けられてるのに、封鎖解除というのもありえない。その時点で秋葉原を皮切りに大事件になってるはずだ。
キャストの演技が緊迫感がありまだ見れるが、一見緻密なようでご都合で構成された内容はいただけない。
まあ、原作がそうだからなんだけど。
消化不良
天才的推理力を持った刑事とIQバカ高の犯罪者が織り成す心理戦を期待しとったので残念。もっと山田裕貴役と佐藤二朗役のパーソナリティを描写して欲しかった。2人とも頭はええのやろうけどその根拠が薄い。
結局山田裕貴君勝てへんかったし事件もちゃんと解決してへんし。
渡部篤郎の役は居らんでもええやろと思う。
どっちゃにしても何やもっと振り切って欲しかった
完璧な配役
もうこれに尽きる。
配役が完璧すぎて感動。そのおかげか、話に入り込めました。
佐藤二郎は不気味なところと感情を出すところのギャップが凄く、山田裕貴の淡々としつつ、癖のある演技がよく、染谷将太のあまり感情出さない感じも良いし、渡部篤郎の取り調べシーンの感情爆発するシーンも良いし…
いやー、凄かった。
話も良いですね。徐々に背景が見えてくるのが良く、複数キャラの視点から進むのも話の流れをより分かりやすくしてる。
テンポも良く、バランスが良いですね。
山田裕貴と佐藤二郎の会話をもっと見たいなぁ…
気持ち良く終わるわけではないが、満足度は高い作品でした。
久しぶりにツボに入った良作でした。
どうしても腑に落ちない点
開始早々スズキタゴサクを演じる
佐藤二郎さんの怪演に
一気に引き込まれました。
爆破シーンもどうやって撮影しているのか
想像出来ないくらい
リアルで迫力があり驚きました。
本作の面白さは山田裕貴さん演じる
交渉人の刑事類家とタゴサクの
息を呑む頭脳戦と心理戦です。
類家の頭脳明晰さは容易に理解出来ます。
しかしその彼を翻弄するタゴサク
流石に頭良すぎませんか?
ここがどうしても腑に落ちない点です。
頭の良すぎる人が世の中に幻滅し
虚しさからドロップアウトするのは
理解出来ます。
タゴサクが終盤、
類家に投げかける言葉は
自身の拭いきれない厭世観に対する
共感の確認に思えました。
そんなタゴサクと
夏川結衣さん演じる明日香が出会い
共犯関係になる可能性。
無くはないです。
もしかしたら原作には
納得出来るバックボーンが
描かれているのかもしません。
しかし映画に関しては
個人的にタゴサクの頭の良すぎる点が
どうしても腑に落ちませんでした。
清宮のベテランらしくない
振る舞い以上に。
そして伊藤沙莉さんの感情芝居は
やはり素晴らしいと再確認。
ネタバレ厳禁
原作未読で鑑賞。純粋に謎解きミステリー映画として面白いストーリー。序盤からつかみどころ無い佐藤二朗の演技にグイグイ引き込まれた。佐藤二朗は好きな俳優。でもたまに彼が目立ちすぎて他の役者食ってるときある。本作は対峙する渡部篤郎や山田裕貴が素晴らしくバランス取れてた。予想外のオチで中だるみもなし。阿佐ヶ谷と山手線の爆発被害を止められず警察側が失敗に終わった最後も良かった。事件現場で性的に興奮する描写は女性は嫌悪感ある人も居るかもしれないし、子どもに説明するの難しいと思うため、同伴ご注意を。でも是非多くの邦画ファンに見てほしい秀作です。佐藤二朗は改めてすごい俳優だ。
容疑者Xの…【渇望と欲求】
佐藤二朗さんは!凄いんでス!…福〇〇一監督にイイ様に道化装置に使われるタマじゃないんです!本来は!💣️💥
日本の“レクター”になれるかもしれない…私は、割りと真面目に思ってます。
自らをスズキ・タゴサクと名乗る正体不明の男。
とある10月初旬…都内の酒屋で諍いを起こし暴行の容疑で逮捕された男。
所轄署内で取り調べ中、スズキは嘯き始める…自分には霊感があり、これから都内で起きる事件を予見して進ぜようと。
当然、取り合わない刑事。
のらりくらりと刑事からの尋問を躱し、くだらない世間話の中に、所轄署内・あるいは警察でしか知り得ないキーワードをまるで伏線の様に忍ばせるスズキ。
スズキが予言した午後10時…確かにソレは起きた。
秋葉原で爆発事件が起こる。
そして、スズキは更に嘯く。私の霊感が…あと三回起きると云っていると。
こうして、、日本は、文字通り…独りの男の【爆弾発言】により、戦々恐々とした永い二日間を迎える事になる。
世の中には、、アタマが周りよりも頗(すこぶ)る良過ぎる余り…
自身を理解出来ない世の中に落胆し、
自分を理解出来ない世の中を、理解出来ない自らに絶望し、
自分を愛さない世界を、自分が愛するよりも、世界に自分を憎ませる事で、
自身が産まれてきた意味を、そして生きている意義を問おうとする…傲慢不遜なヤツがいる。
スズキは自分への強烈な拒絶や苛烈な悪意や殺意ですら、
自身への【愛】として、昇華出来てしまう異端。
好きの反対は…嫌い、じゃない。…無!関!心!って真顔で謂うタイプ。
相当頭が良いクセに、ソレを他者の為どころか、自己の為にも使えない。
周りをバカだと見下しながら、虚無な日々を無為に生きるだけの屍な日常、、そんな虚ろな目の奥に…一筋の光りが射す、、絶好の退屈凌ぎが出来る!と。
ソレが今回の事件だったんじゃないかって。
誰かに好かれたいとか【愛】なんて陳腐なモノじゃない。
未来永劫…少なくとも自分の死後20年は、誰かの心の片隅にでも忍び込めれば御の字😁😁
そんなヒトの形を借りたナニカを、佐藤二朗さんが怪演。
脇を固める俳優・女優も豪華豪華😆
そして、私は言いたい。
一部の悪徳刑事や不良警官に負けじと、毎日頑張る大多数の善良な警察官さん、本当にお疲れ様です🙇♂️と。
佐藤二朗は“和製ジョーカー”か?圧巻のクライム・ミステリー
【イントロダクション】
山田裕貴主演、佐藤二朗共演。身元不明の謎の男が匂わせる、都内に仕掛けられた数々の爆弾の行方を追って繰り広げられる警察と犯人の駆け引きを描いたクライム・ミステリー。
原作は呉 勝浩による同名小説。原作は「このミステリーがすごい!2023年版」国内編、「ミステリが読みたい!2023年版」国内篇1位。
監督は『帝一の國』(2017)、『キャラクター』(2021)の永井聡。脚本は『神さまの言うとおり』(2014)の八津弘幸と、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)の山浦雅大。
【ストーリー】
10月5日、21時45分。東京都中野区の野方警察署にて、酒に酔った勢いで自販機を破壊し、酒屋の店員に暴行を働いた容疑で「スズキタゴサク」と名乗る身元不明の男の取り調べが行われていた。名前以外の記憶を忘れていると語るスズキは、取り調べを担当する所轄刑事・等々力(染谷将太)と伊勢(寛一郎)が提案する酒屋への示談金10万円すら払えそうにない。
すると、男は示談金の代わりとして自信の持つ霊感で警察の捜査を手伝うと申し出る。
「10時ぴったり、秋葉原で何かあります」
すると、秋葉原のラジオ会館前で謎の爆発事件が発生。幸いにも死者は出なかったが、等々力達は呆然とする。スズキは続けて「ここから3回、次は1時間後に爆発します」と、更なる爆発の発生を匂わせる。
23時。今度は東京ドーム付近にて爆発が発生。
先の発言から、スズキの言葉が嘘ではないと感じる等々力達だったが、取り調べは警視庁捜査一課の清宮(渡部篤郎)と類家(山田裕貴)に引き継がれる。
スズキの取り調べを担当する事になった清宮だったが、スズキはのらりくらりと話を変える。やがてスズキは、「“九つの尻尾”というゲームをご存知ですか?これから9つの質問を通して、あなたの心の形を明らかにします」と、清宮に様々な質問を繰り出していく。類家は、それらが爆弾の位置を示すヒントだと確信し、スズキの言葉に隠された爆弾の在処を探っていく。
爆弾の捜索現場には、野方警察署沼袋交番勤務の倖田(伊藤沙莉)と矢吹(坂東龍汰)ペアが参加し、伊勢をライバル視する矢吹はこの事件を出世のチャンスとして精力的に挑む。
やがて、事件の裏には、4年前に野方署の元刑事・長谷部(加藤雅也)の起こした不祥事が関係している事が明らかになっていく。
【感想】
私は原作未読。
シンプルでキャッチーなタイトル、山田裕貴と佐藤二朗の目を引くポスタービジュアル、密室での会話劇による駆け引きを予感させる予告編に、個人的にかなり期待を寄せていた。そして、本作はそんな期待値を遥かに上回る傑作だった。
原作の力による所も大きいと思うが、これ程までに硬派で骨太なクライム・ミステリー作品が邦画で描かれる事に、素直に喜びを感じた。
俳優陣の熱演は勿論、序盤から周到に張られる伏線の数々、取り調べ室と現場それぞれで展開される駆け引き、派手さよりリアリティを感じさせる爆発描写の恐ろしさ。それらが137分の尺の長さを感じさせず、最後まで観客をスクリーンに釘付けにさせる。
予告編からは、取り調べ室という「密室」での会話劇がメインとなる作品かと思っていたが、実際には取り調べ室で「スズキタゴサク」を取り調べる刑事達と、爆弾の在処や事件の背景を捜査する所轄の刑事達、「静」と「動」、それぞれの立場を交互に映しながら、それぞれの駆け引きが展開されていくスケールの大きなエンターテインメントだった。
次々と爆発していく各所に仕掛けられた爆弾、そして、その被害に遭う者達。テレビ局が製作に参加していながら、流血や欠損等の容赦ない描写の数々は非常に力が入っている。本作はPG-12作品だが、余裕でR-15指定でもおかしくない程の攻めの姿勢に賞賛の拍手を贈りたい。
事件を通して描かれるのは、「絶望的な現代社会において、一線を越えるべきか」「今ある平凡な日々を愛おしく思うか」。物語の結末は、若干の尻すぼみ感があるが、その尻すぼみ感こそがリアリティだとも言える。
【若手・ベテラン、個性派・演技派、個性豊かな俳優陣の究極の演技合戦】
本作最大の魅力は、豪華俳優陣による演技合戦の数々だろう。主演から脇を固める俳優まで、それぞれが個性的なキャラクター性も相まって非常に魅力的。
その中でも、やはり特筆すべきは、「スズキタゴサク」役の佐藤二朗による圧巻の演技だろう。普段は福田雄一監督作品、所謂:福田組の常連としてコミカルな演技を披露している印象が強く、それ以外の作品では強面の印象を受ける。本作では、上手くそれぞれの良さを引き出して演じ分けつつ、掴みどころの無いスズキという巨悪を演じ切っている。時に剽軽に、時に理知的に、かと思えば怒りを露わに怒声を張り上げ、早口で捲し立てる事もある。何が目的なのかはクライマックスまで分からず、のらりくらりと捜査を撹乱する姿は、本当に彼が犯人なのかすら疑わしく思えてきてしまう程。
そして、その話術で類家や清宮達登場人物は勿論、我々観客にすら善悪の境界線を曖昧にさせる「スズキタゴサク」というキャラクターは、“和製ジョーカー”と言っても過言ではないくらい魅力的な悪役だ。
「他人の手柄を横取りする奴は許せない」と語り、正に他人の手柄で出世したと思われる伊勢を、「ミノリちゃん」という嘘の昔話を交え巧みに操る姿は、類家の言うように「せこい真似するね」と思わなくもない。終盤では、彼自身もまた、他人の犯罪計画を乗っ取って自らの存在を知らしめようとした小悪党だという一面も明らかにされていく。
しかし、彼は世間から認知されない存在、ラストの類家によるナレーションにあるように、スズキは最後まで「身元不明」のままだ。それはつまり、彼はこの日本という国において、国や行政から「存在しない者」の烙印を押されている事に他ならない。彼の犯行計画は、そんな自らの存在を抹消した社会への絶望と、抗議なのである。その為ならば、自らの嫌う「他者を欺いて利用する事」も厭わない。その塩梅は非常にリアルで恐ろしくもある。
それに負けじと対抗する、主演の山田裕貴の熱演も光る。類家のキャラクターも魅力的で、表向きは猫を被って穏便に済ませようとする。しかし、内心では退屈な日常に飽き飽きしており、本当は自らの高い知能を試す相手を探していたのではないかと思う。そんな彼にとって、スズキはまさに絶好の好敵手だったのではないだろうか。
スズキからの容赦ない問いに、臆せず本音を語る姿は、非常に好感が持てた。また、怒りを露わにしつつも、機械オタクらしい素振りから、高価なガジェットを叩きつけるまでには至らない姿には、彼の人間味が見える。
相手の神経を逆撫でする事に長けたその知能は、スズキの言うように「似た者同士」でもある。だからこそ、スズキは一種の同族嫌悪によって類家の名前を口にしようとしないのではないだろうか。両者の明確な違いは、類家は「一線の内側で踏み留まる者」、スズキは「一線を越えた者」それだけなように思えた。
等々力役の染谷将太も確かな演技力を披露する。彼の演じた等々力は、結果的に事件の真相に最も近い距離で接する事になる。尊敬する先輩の長谷部が、「事件現場で自慰行為をする事に快感を得る」という性癖の持ち主である事を目撃してしまい、彼に秘密を守る条件として、カウンセリングを受けるよう促す。しかし、そのカウンセラーが小銭欲しさに週刊誌に長谷部の奇行をリークした事によって、彼は世間からのバッシングを受け、自ら命を断つまでに至ってしまう。等々力の中には、長谷部や家族に対する罪悪感もあった事だろう。
そして、彼は長谷部の醜聞が世間に晒された際、「分からなくもない」として、唯一彼を擁護する。何故そのような台詞を吐いたかは、彼自身にも分からない。しかし、尊敬する先輩のこれまでの刑事としての働き全てまでが世間に貶される事は我慢ならなかったのだ。
その他にも、大ベテランの渡部篤郎の愚直なベテラン刑事・清宮の姿も印象的だし、伊藤沙莉演じる倖田と、坂東龍汰演じる矢吹ペアのバディ感も魅力的。スズキに絡め取られる伊勢の人間的な未熟さを見事に体現した寛一郎の演技も外せない。偉そうにしつつ、実は事件解決に何ら寄与してしない鶴久役の正名僕蔵の憎まれ役も短い出番ながら印象に残る。
とにかくありとあらゆる俳優陣が、見事な演技のアンサンブルを奏でているのだ。
【誰の中にも“爆弾”はある。善悪の境界線、その内側で踏み留まれるか】
「最後の爆弾は見つかっていない」
ラスト、類家のナレーションによる、本作の締めの台詞だ。
これは、「スズキタゴサク」という怪物が、作中の登場人物達に仕掛けた「善悪の境界線を越えるか否か」という問いこそが、彼らの中に時限式の爆弾を仕掛けた事を示唆しているように思う。
優れた悪役というのは、同時に作者の分身である事も多く、だからこそ、時に主役以上に魅力的に燦然と輝くのである。そして、本作におけるスズキは、まさにその1人だったと思う。
かつてホームレスとして生活していたスズキは、長谷部の不祥事により一家離散となり同じくホームレスとなった石川明日香と出会った事で、恐らく人生において僅かばかりの希望を手にしていたはずだ。しかし、明日香が息子・辰馬の恐るべき犯行計画を知った事で彼を刺殺してしまい、彼は助けを求められる。実際に2人の間でどのような言葉が交わされ、明日香は何を求めてスズキに相談したのか真実は分からない。あれはあくまで、類家の推理だからだ。
だが、スズキは明日香との一件で完全に世間に絶望し、「もう、どうでもいいや」という思いに至ったからこそ、石川辰馬とその仲間達の犯行計画を乗っ取り、自らの手でアレンジを加えて凶行に出た。しかし、スズキは心から「もう、どうでもいい」と思っていたわけではないのではないだろうか。
本当に「もう、どうでもいいや」となったのは、実は自殺した長谷部である。スズキは絶望と諦観を匂わせつつも、自らを抹消した世間に対する復讐心を忘れてはいない。善悪の境界線、命の重さの概念を越えて、清宮や類家に問い掛け、事件を面白おかしく「消費」しようとした若者達を恐怖させ、無差別に世間を攻撃する。
彼は全く「どうでもいい」なんて思っていない。「どうでもよくない」からこそ、彼はそれだけの犯行をやってのけたのだ。例えその計画自体が誰かの計画を乗っ取ったものだとしても、その根底に込めたメッセージは、彼自身が人生において経験して形成してきた価値観、彼自身の「存在証明」に他ならないのだ。
彼が“読まされている”としてネットにアップロードしたメッセージ動画。そこで語られる台詞は、辰馬が事前に撮影しておいたものをそっくりトレースしたのだろうか?辰馬の目的は、尊敬する父を辱め、晒し上げて貶し、息子である自分にも牙を剥いた社会に対しての復讐心のはずだ。ならば、あんな文言になるとは思えないのだ。あの長台詞全てに、スズキタゴサクという人間の全てがあったように思えてならない。
そんなスズキの狂気に、類家や等々力は「一線の内側で留まる事」の意義を答える。
類家は斜に構えて世間を見つめつつも、「世の中はまんざら捨てたもんじゃない」と、人間の善性を信じようとする姿勢も持っている。「壊すなんて誰でも出来る。壊すのを食い止める方が難しいし、やり甲斐がある。だから踏み留まる」と、スズキの考えを唾棄する。
等々力もまた「(平凡で退屈な日々を)それも悪くないよ」と、今ある幸せを取り零さないように生きる事を肯定している。
誰の中にも“爆弾”はある。その導火線に火を点けるのか。それを抱えつつ、尚も「生きる事」を投げ出さないのか。
「最後の爆弾は見つかっていない」
【総評】
豪華俳優陣の圧巻の演技合戦、魅力的なキャラクター、息をもつかせぬ怒涛の展開、邦画実写の限界に挑むが如きスケール感と残酷描写。
本作は間違いなく、超一級のエンターテインメントだ。
これほどの作品が劇場で観られる事を喜ばしく思う。
俳優陣の演技が圧巻!
俳優陣の演技がとにかく素晴らしかった!
それぞれキャラクターの人間性を的確に演じていて痺れた!
単なる個人的な好みだが、必要な物語をあとちょっと丁寧に描いたらもう一歩深い「何か」を観客に訴えられたのではないかと。役者陣の迫真の演技があまりに光っているだけに、少しだけ勿体なさを感じた。
終盤のシーン
染谷将太さんが演じる刑事が、絶妙な表情を湛えて放つ
「案外…幸せですよ」
という台詞が、滅茶苦茶刺さった。
スズキタゴサクにも最も強烈にダメージを与えた一言ではないかと感じた。
サイコスリラー的な展開、刑事と爆弾魔の密室劇を支えた佐藤二郎の怪演は観る価値あり
序盤は、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン両氏出演の傑作、SEVENばりのスリラーの名作がついに邦画に誕生か!? と期待し始めたものの、途中から違うジャンルだと判明。では、一体どうなるのか、展開に興味津々!!という流れに
特に、中盤までの展開が読めないストーリーには引き込まれます!!
密室(取調室)での、刑事と容疑者の心理戦は次の展開が読めず、見応え十分。これを支えているのはひとえに容疑者役の佐藤二朗さんの演技の賜物かと
(やっぱり、福田組作品なんかでむ◯つ◯しさんとふざけている彼よりずっといい)
犯人が警察に捕まった状態から始まるこの物語は、取調室を中心とした密室劇(会話劇)と、犯行現場や捜査・テロ対策活動、マスコミやSNSなどの外の世界のストーリーが並行して進行するスリリングな展開となり、メチャメチャ盛り上がります
さて、肝心の作品全体としての印象ですが。
犯罪捜査モノ、特にシリアス系というと、どうしてもプロットやリアリティに目が行ってしまいます。セリフやアクションも大事ですが、やっぱりその場面設定で起き得る出来事が起きるかどうか、が大事です
と、考えると、流石に事件の中身が明らかになってくる終盤以降のストーリー展開の無理やり感が凄くて、途中からちょっと引いてしまったのは事実
ヒーローモノとかSFではアリだと思うんですが、シリアスな警察モノにご都合主義が入り込む余地はないと思っています
ネタバレ、というかクチコミに作品に描かれる具体的な出来事を記録することに意味は無いので、細かく書きませんが、あり得ない"不自然な"設定や出来事、登場人物の行動がやたら目につきます。特に、主犯やそれを取り巻く人物達(犯罪者側)の動機や行動に「?」が散見され、違和感がジワジワ広がる感じに
捜査する警察側の行動にも同様に不自然さが目立つ。映画のストーリー上、観る側を欺く展開を作るためにやむを得ないところはあると思いますが、史上屈指の名作、の域に達するには少々プロットの雑さが目立つかと
もし、この事件が実際に起きたら、違う意味で事件解明は相当難しいでしょうね。色々辻褄が合わないので、犯罪動機に説得力がなく、自白がなければ(検察側の立場で)裁判が難しそうです
二朗さんはF田組卒業された方がいいかも!(あくまでも私見です!)
これは面白い!二朗さん劇場でした。なんだ、こんなシリアスな役どころ大丈夫なんだ!地元愛知県出身の二人、山田裕貴さんとまさにドラゴンズ対決!息を呑む頭脳戦展開と怪しさ満開のタゴサクさん。(宮舘さんの怪しさとは別物でしたが)2時間半近くの長さが全く気になりませんでした。
自信家で上司より自分の方が優ってると自負している類家(山田裕貴さん)!かつての部下にもこんなヤツいたよな、なんて思い出しながら、今思えば若い頃の自分自身もそうだったかもなんて今更反省したりして。ある意味シンドラーにも通じるものがあったりして。
この作品でもネットの大罪が見えてましたが実のところネット犯罪も蔓延している今日この頃、考えさせられます。冷静に語るタゴサクには腹が立ちますが一方彼の言い分には納得させられる部分さえあり清宮(渡部篤郎さん)と同じく苦々しい気分になります。(関係ないけど日ハムの清宮、痩せましたよね!?)
山田裕貴さん、伊藤沙莉さんの熱演は安心の域で見られましたが『死に損なった男』で見事な幽霊の国語教師を演じられてた正名僕蔵さんの昭和の上司像、素晴らしかったです。50代半ばと意外にお若いことに感心したりして!
タイトルにも書きましたがF田監督の作品に欠かせない感のある佐藤二朗さんですが、個人的にはあまり笑える作品に出会えてないためそろそろ離れられた方がいいような気がしてなりません。こんなに素晴らしい演技なので。それってあなたの感想ですよね?!はいその通りです!
佐藤二朗さんの「面白いから信じてください」は本当だった!
前情報無しで佐藤さんの言葉を信じて見に行ったがめちゃくちゃ良かった!自分の好きな映画ベスト4「羊たちの沈黙」「セブン」「ダークナイト」「ジョーカー」の要素をギュッとして煮詰めた作品が邦画で撮れるとは!佐藤二朗さんの演技には日本アカデミー賞どころか本家のアカデミー主演男優賞をあげたい(どうせ日本アカデミーの主演男優賞は吉沢亮だろうから)脇を固める山田裕貴、渡部篤郎、伊藤沙莉の演技も素晴らしい。他にもあまり名前と顔を存じ上げない役者さんが主要キャストにいたので名前を知りたくてパンフを買った。スズキタゴサクはホームレスになる前何をしてたのか分からないがとにかく不気味。(飄々としているように見せ掛けているが頭が切れ、人の心理を支配するのが上手いレクター博士のようなクセモノ)
スズキタゴサクについての描かれていない部分をも想像させる含みのある佐藤さんの演技が素晴らしい。原作にはスズキが裁かれる法廷がテロリストに占拠される続編があるようだがこの事件にもスズキが絡んでいるのかも。きっとこの作品は口コミでヒットするだろうから続編に期待したい。ちなみに佐藤二朗さんの主演映画次回作は佐藤さん自身が原作脚本を務めている「名無し」でこの作品でも坊主頭の名無しの連続殺人犯「山田太郎」役!「スズキタゴサク」の次は「山田太郎」での怪演がまた見れるのが楽しみだ。佐藤さん出演の作品は「宮本から君へ」以降特にシリアスな役を演じるようになってからの作品がどれも素晴らしい。完成披露試写会で渡部篤郎さんが昔自分の主演作品で脇を固めていた佐藤さんの主演作品で脇を固めれた事に感極まって涙していたが作品中の渡部さんと佐藤さんの演技合戦を見ると「お前、ここまでの凄い役者になったんだな」という渡部さんの気持ちが伝わってくるようだなと思った。あとVFXやエキストラの人達の演技も相まって爆発シーンがどれもリアルで恐ろしく、緊張感が凄くて映画館を出てからの帰り道も「今どこかで爆発が起こるんじゃないか」と恐怖の余韻に浸ってしまった。とりあえず映画好きの知り合いには「爆弾、良かった、オススメ!」と伝えようかと思う。
無邪気な怪演
佐藤二朗さんの化物っぷりが
嫌らしいほど凄まじい。
汚れた歯、荒れた指先がより恐怖をあおる。
相手をおちょくりながらの爆弾知能合戦。
ヒントをあげつつ謎解き映画としても成立。
静と動を上手く組み込んでくるなぁ。
スズキタゴサクは論理観を揺さぶり、ぶち壊して
精神に踏み込んでくる。
人間の本質にある醜い悪意を絞りだし
心の蓋を抉じ開けていく。
憎たらしい犯人だが魅力もある人物。
俳優の方々も演技派揃い。
演技合戦で見応えあり。
キャラクター一人一人が個性もあるので
一人でスピンオフも出来る感じ。
欲望まじりの願望に心の闇。
無邪気で邪悪で空っぽな人間が
おぞましい。
下手なホラーよりスズキタゴサクの方が
恐怖である。
安っぽいサスペンスドラマ
音が大きく大画面映えをねらっているが
内容は陳腐、本筋?の理由が浅いとしか思えない
不幸そうな主婦が項垂れるのは本当に勘弁してほしい
役者達に助けられて映画が成立したとしか思えない
なんだかスッキリしない
とりあえず自販機で飲み物買うのは怖いな〜と思いました。それと。。イマイチ事件の全容がよく分からないというか。
終盤に説明は一応ありましたが、
母親が息子の危険な計画を知った、同居人も息子が殺したと知って、これ以上この計画を進めて爆発を起こさせるのを止めようとするだけでなく、
自らそれで息子を殺せる?いや、殺すまでして計画を止めさせないと、と思い詰めたにせよ、
正面から突こうとした時に、大人になった息子が母親に簡単に刺されるか?母親の腕なんて止めて終わりでしょう。
しかもあれだけで致命傷になるのか?体力のある青年が?
そして自ら殺めたとして、気が動転してたとしてもホームレス時代に知り合っただけの他人の男性にこの秘密を打ち明けるか????こちらの秘密を知ったその男性が何故爆弾事件の真犯人の罪を被ってくれるなんて期待したのか??
逆にこの秘密で一生脅されてもおかしくない。
息子を殺めてしまったとしても、いきなり他人に打ち明けるという母親の行動が全く理解出来ない。
タゴサクの、自分が犯人のような、いや霊感があるだけで真犯人じゃありませんのように警察を惑わす言動も意味不明。
注目されるのが楽しい?それだけで真犯人に間違われてもずっとゲームが続けられるから?こんな言動をし続けるのか???
。。。で、この作品は何が言いたかったのか。
映画として何を表現したかったのか。
そこもよく分からなかったです。
山田裕貴さんの演技は良かったですけど。。「映画」としてはあまり刺さらなくて残念でした。
ずーっと佐藤二朗、最後に染谷将太の映画
原作は未読。終始、佐藤二朗、最後に染谷将太が締める映画でした。
佐藤二朗さん演じるスズキタゴサクと山田裕貴くん演じる類家の対話では、二人が合わせ鏡のように見えます。それぞれがそれぞれに社会に対して厭世的。
でも最後の最後、本当にスズキと合わせ鏡なのは染谷将太さん演じる等々力のほうなんだと思いました。
類家は明日香が最初からスズキを利用するつもりはなかったのではないかと話します。それはそうかもしれない。でも(その時点ではスズキも類家も知らないけれど)、実際のところ明日香は罪を認めない。娘もいるからさもありなん。類家の捉え方はまだロマンチストなんですよね。それにスズキは答えない。
それに対して、取り調べ室を出た後、等々力と対面したスズキの言葉に等々力が「でもなスズキ、俺はそれを不幸せだとは思わないよ」(とかなんとか)と答えたときは、「なるほどです」(だったか)と発話します。等々力は類家よりも社会への厭世が深く、でもそれを受け入れている。彼のほうがスズキに近く、その上で違う選択肢を取った、それがスズキに響いたのだと捉えました。
この作品は観客に結構なもやもやを残す作りです。
満を持してスズキに対面する類家は、挑発的な言葉で言うほどスズキに迫れていない。
爆発は防げないし、最後の爆弾も見つからない。動画でスズキが言ったように爆発は10年後かもしれない。動機だってスズキ自身の言葉では語られない。
類家はああ言ったけれど、明日香はすべてをスズキに被せて逃げ切ろうとする(例えば、犯人が自らの小さな救いとなった誰かをかばうという点で共通項のある「容疑者Xの献身」のようなカタルシスがない)。ついでに言うと長谷部もえん罪とかじゃない。
何も解決していないし、報われないし、わからないままです。結末がもやもやとフェードアウトしそうなところ、あの等々力のセリフで締まったと思いました。あれをこざっぱり決められる染谷将太、素晴らしい。山田くんも頑張ってたけども、染谷が持ってった。あれがあるからあの役は彼なのだと思うほど。
あと良かったのは渡部篤郎、坂東龍汰。
渡部篤郎さんは自分の力不足を突きつけられたところで部下の能力を認めて任せられる、部下を肯定して類家の代わりに即座に「悪人だ」と断言できる、すごくいい上司で、一組織人として「あんな上司ほしい」と思いました。
坂東龍汰さんは、上手ですね。なんてことないシーンをあんなに自然にできるの、本当に力のある俳優さんだと思いました。ついでに言うと彼の演じる「きのう何食べた?」のタブチくんも大好きです。
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