爆弾のレビュー・感想・評価
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まず第一に脚本が見事である
❶相性:上。
➋時代:現代、2020年代。
❸舞台:東京。
❹主な登場人物
①スズキ・タゴサク(✹佐藤二朗、55歳):
謎の中年男。酔って暴行を働き逮捕された。取調室で名前以外のすべての記憶は失っていると主張し、霊感で刑事の役に立つことができると申し出る。爆破予告とクイズを繰り出しながら、刑事たちを翻弄していく。知能犯。
②等々力(とどろき)(✹染谷将太、32歳):
野方署の刑事。スズキタゴサクを初めに聴取する。なぜかスズキに気に入られ、爆発に関する予言を打ち明けられる。予言が現実となる中、スズキの秘密を探っていく。
③清宮(✹渡部篤郎、56歳):
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事。スズキタゴサクと交渉する。スズキが仕掛けるゲームに粛々と付き合い、対話を深めながら情報を引き出そうと試みる。
④類家(るいけ)(✹山田裕貴、34歳):
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事。清宮の部下。もじゃもじゃの天然パーマに丸メガネの野暮ったい見てくれながら、ギラリとした鋭い観察眼と推理力を持つ。正攻法の清宮がスズキに敗れた後を引き継ぎ真相に迫る。
⑤倖田(✹伊藤沙莉、30歳):
沼袋交番勤務の巡査。先輩の矢吹と常に行動を共にする。スズキタゴサクが問題を起こした酒屋に臨場し、野方署へ引き渡す。猪突猛進な行動派で、爆弾捜索に奔走する。
⑥矢吹(坂東龍汰、27歳):
沼袋交番勤務の巡査長。伊勢をライバル視しており、交番勤務を卒業し、刑事になるチャンスとして野心をみなぎらせながら爆弾捜索に打ち込む。
⑦伊勢(✹寛一郎、28歳):
野方署の巡査長。取調室でスズキタゴサクの事情聴取につきそい見張り役を務める。スズキを観察しながら、その自虐的で不気味な発言に不快感をにじませる。
⑧鶴久(正名僕蔵、54歳):
野方署の刑事課長。
⑨長谷部有孔(ゆうこう)(✹加藤雅也、61歳):
警視庁捜査一課のベテラン刑事だったが、4年前、職務中に不祥事を起こし、スキャンダルとなり、鉄道自殺する。
⑩石川明日香(✹夏川結衣、56歳):
長谷部有孔の妻。夫のスキャンダルでマスメディアとSNSの餌食にされる。更に、夫の飛び込み自殺で莫大な損害賠償を求められ、一家離散し、ホームレス状態になる。
⑪石川辰馬(片岡千之助、24歳):
長谷部有孔と石川明日香の息子。父親の自殺を機に会社を退職し、シェアハウスに住みながら、密かに爆弾テロを画策する。
⑫石川美海(中田青渚、24歳):
長谷部有孔と石川明日香の娘。スタイリスト。
❺考察:命は平等ですか?
①警察の必死の捜査にも関わらず、幾つもの爆発が起き、死傷者が出る。一般の巻き添え被害者も出る。
②二つのトラップ事件では、スズキは「子共」と「ホームレス」のヒントを出すが、警察は児童施設のみを捜査し爆発を防ぐ。しかし、炊き出しに並んでいたホームレスとボランティアの人たちが爆発に巻き込まれる。
③これに関し、スズキが清宮刑事に問いかける:「命は平等ですか?」
④スズキは二律背反のゲームを用意していて、清宮の正義感を傷つけたのだ。激怒した清宮はスズキの指を折ってしまう。組織に忠実な清宮にとっては他に選択肢がなかったのだが、清宮はゲームから脱落し、類家と交代する。
⑤「正義」に関わる二律背反問題は、幾つもの傑作映画に描かれている。
⑥ジョー・ライトの『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017英)』では、最高責任者のチャーチルが、ダンケルクで孤立した30万人のイギリス兵を救う為に、カレーの守備隊の4千人のイギリス兵を犠牲にする重い決断をしている。
⑦クリストファー・ノーランは『ダークナイト/ The Dark Knight(2008米)』の中で、人命に関わる2つの決断を描いている。
ⓐバットマンと共に、ゴッサム・シティを立て直そうとしているハービー検事と、2人が恋するレイチェルが、ジョーカーにより誘拐され、どちらか1人しか救出出来ない。結果はレイチェルが犠牲になる。
ⓑジョーカーが、市民の乗った船と、囚人の乗った船の両方に爆弾を仕掛けた上で、片方が爆破されればもう一方は助けると宣言する。結果は、市民と囚人の双方が相手を殺す事を拒否する。
⑧社会派シドニー・ルメットの『未知への飛行/Fail Safe(1964米)』は、東西冷戦下のアメリカとソ連が舞台。アメリカの爆撃機が誤情報によりモスクワを核攻撃してしまう。米大統領はソ連の報復による全面核戦争を回避するため、米空軍により、ニューヨークを核攻撃させる。史上最大の究極の選択である。
⑨ハーバードのマイケル・サンデル教授は、『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学(2010)』の中で、「正義と公正」について、重要な問題を分かり易く提起している。
ⓐ「1人の命を犠牲にすれば5人の命が助かるなら、1人の命を犠牲にすることは正しいのか?」。
ⓑジェレミー・ベンサムの功利主義に関しては、「最大多数の最大幸福が正しいのか?」と問う。「最大多数の最大幸福」は、少数派の不幸を認めることでもあるのだ。
ⓒそして、「自分が生きるために人の命を奪うのは正義か?」、「命に値段をつけられるのか?」、「愛国心と正義はどちらが大切?」等に関して、具体例を挙げて議論している。
ⓓこれ等は、「正義」をめぐる哲学の問題である。社会に生きる上で我々が直面する、正解のない、にもかかわらず決断を迫られる問題である。
❻まとめ
①本作は、東京のどこかに仕掛けられた複数の爆弾を巡り、知能犯スズキ・タゴサクと警察官たちとの取調室での心理戦と、都内各地での捜索模様が、同時進行で描かれるリアルタイムの謎解きサスペンスであり、終始ハイテンションで見応えがあった。
②まず第一に脚本が見事である。犯行動機、実行計画、仕掛けられたゲーム、警察の対応、知能犯による警察の取り崩し等々、エンタメとして上出来である。原作未読だが、原作の長所を生かしていると思われる。
③もう一つは、役者の演技。中でも、クイズ形式でヒントを出し、警察を翻弄する犯人を演じる佐藤二朗に迫力がある。冷酷・冷静に、時にはユーモアを交えて、早口でまくし立てる様に舌を巻いた。助演男優賞は固いと思う。対する山田裕貴他の警察の描き方も勝るとも劣らぬ出来栄えであった。
④全体としては、上記❺に示した問題提起がなされていること。これにより、本作の厚みが増している。
⑤更には、無責任なマスメディアやSNSへの警鐘もある。
⑥一方、短所もある。
⑦一つは、犯人側のスズキや石川明日香と辰馬の人物象が希薄であること。これについては、既に原作の続編が出版されていて、そこで詳細が語られるようなので、いずれ映画化されるだろうパート2を待ちたい。本作の興行成績が良さそうなので、時期は遠くないと思われる。
⑧もう一つは、多数の死者が出ること。犯行が爆弾テロなので、死者を出すことが必須なのかも知れないが、善良な一般市民が犠牲になるのはやりきれない。
残酷からも綺麗ごとからも逃げない
犯人は腹立たしいが、いったい何がそうさせたのか、問いかけて見てみていました。常に感情に働きかける緊張感が維持できました。ふと、「ジョーカー(格差社会)」「踊る大捜査線(組織と個人)」「月(無差別殺人)」を想起してました。後半に類家の放った「残酷からも綺麗ごとからも逃げない」は一つの希望あるメッセージとして受け止めました。そして、タゴサクの思春期の件と、犯行の動機について深堀したいので原作を拝見します。それにしても、日常の傍にある爆弾という設定だけに、まあまあ心臓に悪かったですよ(笑)。仮に、爆弾こそが心の象徴(タゴサクのいう「形」?)としたら、どうやって解放したら良いのだろうか。
これは原作から読まないとダメ。
密室劇の面白さ、タイムリミットのサスペンス、ド派手な爆破アクション…、こういった要素が散りばめられて、特に佐藤二朗の演技が光っている。
…と、ここまでは誰でも書けること。問題は物語の収め方。
終盤に来て急に4番目の被疑者登場でワーッと盛り上がってきた所で『編集上、タイムアップです』と言われたかのように、ダダダッと話を詰めてしまう。
コレでは観覧者の頭と心がついて行けないと思う。かく言う自分も原作未読だったので、終盤の話のまとめるスピードに息絶えだえに付いていったような感じで終幕。
キャスト的には《映画映え》を気にし過ぎていて、勿体ない使い方をしている。これだけのキャストを使って、この尺で物語をまとめよと云うのは、いかにも酷な話。
原作も続いているようだが、これは先に原作を読んでから出ないと、観客は物語に追いつけない。
と云う意味でフジテレビさん頑張ったけど、詰め込み過ぎちゃったねという感じか…。佐藤二朗の実力を見せつけた作品ではあったが、惜しいが評価は下がる。
時間の使い方、若しくは前後編にするぐらいの思い切りの良さを見せるべきだったかと。
山田くん初め演者さん達に罪は無いが、肩透かしを喰らったような残念な作品。
面白かった
最初から終盤手前にかけてのドキドキがやばかった
終わりに近づくにつれて正直下がり気味に感じました
でも冷静になって考えてみれば、ムカつく大学生やカウンセリング医者とかいつ爆発してくれるのかワクワクした自分がいて、最後に残り一つの爆弾が見つかってないって言葉にゾッとしました
最後の爆弾って俺の今の感情かもしれない
ドキドキで怖くて考えさせられた面白い映画でした
あと佐藤二郎さんのことナメてました
すみません
心理戦と黒幕の真意。
爆弾がバーンというアクションみたいな作品かと思ったら、心理戦で取調室の1シーンのみか、と思うほどの取調室でのやりとりがほとんど。
尊敬していた刑事の先輩がスキャンダルで失墜したのがすべてのきっかけとなっているが、もう少しそのあとの家族のことも丁寧に描いて欲しかったな。そういえば、リークしたとされるカウンセラーが出てこなかった。
あと、心理戦ができるほどの知能と駆け引きができるのに、ホームレスなのはなぜなんだろう。そこも気になった。
面白かったけど分かりにくい
佐藤二郎演じる スズキタゴサク と取調官の頭脳戦。
話が進むに連れて、事件はタゴサクの単独犯ではないと判明。
ある人物達が計画していた爆破テロに乗っけられてしまったタゴサクの哀愁と世間への憎悪。
これが一回観て明確に分かった人は洞察力が凄いです。
私は 4番目の同居人が出て来て 秋葉原の犯行は違うと証言していた意味を2回見て初めて理解出来ました。
上映時間は長いですが話の展開は早いのでよく観て聴いてないと分からない話です。
タイトルなし(ネタバレ)
原作は未読。
何を演じても「佐藤二朗」にしかならない印象の佐藤二朗さんの演技が超不気味。確かに今作も「佐藤二朗」なんだけど何かが違う。
物語も先が読めない、動機だってわからない、過去に有った刑事の不祥事が絡んでいそうなのは分かるんだけれど佐藤二朗さんにどう繋がっていくのかは分からない。
爆発事件現場なんかの描写はリアル寄り、薄暗く物が溢れかえったシェアハウスなんかも不気味で、「スピード 」や「セブン」なんかが頭をよぎった。
佐藤二朗さんを前に優秀な刑事が次々と敗れていくんだけれど、誰よりも優秀だと思われていたシンガリの刑事が言葉遣いだけで意外と変化が無く期待外れだった。
ただ全編通した心理戦は凄まじく、活字なら、より詳しく描かれているのかなと思うと結末が分かっている今からでも原作は楽しめそう。さっそく読んでみる事にします。
圧巻の演技
俳優たちの圧巻の演技に見ごたえ抜群です。
不気味なサトウタゴサクを演じる佐藤二郎
オタクのような大人しい見た目ながらも頭の切れる類家を演じる山田裕貴
個人的には渡部篤郎、染谷将太の存在感が好みでした。
類家が主役のようですが、上記二人が演じるキャラに支えられているな、と感じました。
第一回目のゲームで清宮(渡部篤郎)がタゴサクと対面をして類家(山田裕貴)が話を聴きながら推理をする、方が綺麗な形だったなと思います。
役割分担、適材適所というやつですね。
渡部篤郎さんのオーラ、存在感からして、タゴサクに感情的に揺さぶられて暴行してしまうという清宮の役は少し合わない、もったいないかなと感じました。
等々力(染谷将太)に関しても、タゴサクの性格を子供っぽい、無邪気と性格にプロファイリングしている点、現場で足を動かしながら核心部分の捜査を行っている、自動販売機の爆弾を特定した点、など等々力がいなければ類家一人では解決は難しかったのかなと思います。
(★-1.0の理由)
タゴサクの人物像
他の方がおっしゃっているように、タゴサクの動機や人物像がよくわからなかった、という点。
シェアハウスでの殺人が起きてからの数日間で爆弾を用意して、謎解きを用意して、とかなりIQが高く仕事ができる能力の高い人間だなと感じる。それなのにホームレスをしているのはどんな理由があるんだろうか?
その部分にかなり興味を持った。どう演じれば警察相手に自分の不気味さを伝えられるのかすべて計算され尽くしているような頭の良さがあると思う。ぜひそこの部分の深堀をしてほしかった。
動機に関しても、罪を被りたいのであれば、事件の核心に触れる人物の名前を出さない用がよかった。
そう考えると事件を解決してほしいのか、真犯人と思わせたいのか、どこに向かっているのか目的がわからない。
サイドストーリー
・みのり(?)という女子高校生が殺害された事件
・現場でG行為をしていた不祥事を起こした警察官、また彼と等々力の関係性
上記二つに関してよくわからなかったため。
総評としては俳優陣の高い演技力に目を奪われていい時間になった。
佐藤二朗か…
面白かったやん。
最近ぐだぐだアドリブでふざけたじじい役しか見てないから、そっちがちらついて集中できねえよ、佐藤二朗が悪役じゃよう~
って思ってたけど、すごい俳優さんだったんだった。
ほぼ出づっぱりなのに文句言えるとこ何一つない。
おふざけ、おちゃらけって感じのシーンもあるのに、アドリブ放置されてる時のふざけた感じが一切ちらつかねえ。すげえ。
あと脚本も良かったです。
原作が良いのでしょうが、命の選択とか親切にしてくれた唯一の女性に裏切られて...とか、ほーん、はーん、マジか、えーって感じで見れました。
まあ、地雷踏んだら爆弾解除してくれる人が来るまで耐えて待とうね。とか、裏切られたショックにしては遊びすぎやろ。とかね、まあね、思わないとこはがないわけではないですけど、見てる時は「あーーーーどうして!」って夢中だったので引き込む力は一級品だったかと。
オススメ!
農夫、田舎者の蔑称
田吾作というのは人名ではないんですね。なんとなく漫画やドラマのセリフで悪口なのかとは思ってましたが。
佐藤二朗さんをはじめとしたキャストの皆さんの力量がすごいです。目を見張ります。シナリオもなかなか。その分、構成や演出にハッとするものがなかったかな、とも思いましたが。
あと、個人的にリビドーの要素が強いのが好みでなかったかも。
ジョーカーやレクター博士的な展開とかないでしょうか?そこまでの企画力は邦画にはないかな?
悪いことはよくない。でも「悪いこと」って何?
原作読んでないですけど、原作なしでも十分楽しめました。いやー、えげつない。
これでもかと世間体とか良識とかを知ったふりをした、何食わぬ顔をした者どもを徹底的に揺さぶりにきてます。
スズキタゴサクだけかと思いきや、類家の台詞の端々にも表れている。
観た直後で印象に残っているのは、
・スズキが類家に「世界のどこかに爆弾を落とすことができるスイッチがあるとする。押すと莫大な賞金がもらえる。あなたは絶対押すはずだ。なぜなら市民が死んだって何とも思わないから。」と語りかけるところ。人間は所詮自己の保身に走る。演じる佐藤二朗さんの緩急自在の演技も相まって、思わず頷いてしまいました。
・スズキが爆破予告の動画を公開した場面。野次馬根性丸出しの大衆は後先考えず拡散。ところが再生回数・拡散の数が爆弾の起爆の引き金になることを明らかになると、慌ててブロックしたり削除したり。挙げ句の果てには動画を真に受けて、スズキが勾留されている署に押し寄せる始末。見事に踊らされている様子に笑ってしまいました。
ネットやSNSに翻弄されている現代人の滑稽さや愚かしさを端的に表してますね。
上記の現代の有様を冷めて見ている私からしたら、スカッとしてしまいました😅
スズキの話が必ずしも真相とは限らないことを仄めかしているのも、いいですね。これも人物造形がしっかりしているから陳腐にならないんでしょうね!
いやー面白かった☆
期待のハードルを上げすぎた?(原作未読)
各方面において「邦画のレベルもここまで来たか!」「今年の邦画No.1かも!?」と絶賛されていた本作を最寄りの映画館で観てきました (国宝を観ていたのでどっちが面白かったか自分の中で比べてみたかったのもあった)
観終わった時、最初に心の中で思った感想としては (期待してたよりはイマイチだったな…) でした。
勿論良かった点も多く挙げられるのですが、良かった点は他の方のレビューでも多く挙げられているので自分のレビューの中ではイマイチだった・納得のいかなかった点を挙げていきたいと思います。
【“スズキタゴサク”の動機】
正直、イマイチに感じた点のほとんどはこれに尽きると思います。
緊張感のある取り調べを2時間近く没入しながら観届けた結果、動機の背景に"明日香"という存在が関わっていたと知った時には (えぇ…) となってしまいました。
実際スズキ自身に動機がなかった訳ではなく、社会に対する鬱憤や自己顕示欲など様々な感情があったと思うのですが、溜めに溜まった引き金がたまたま出会ったホームレスの女性によってなし崩し的に引かれるというストーリーがなんとも…
「誰にでもあるかもしれない事だなぁ…」と受け取るか、「しょうもないなw」と受け取るかは人それぞれだと思いますが、見終わった後の自分は圧倒的に後者の方の感情が占める割合の方が大きかったですw
【存在価値が意味不明なサイドストーリー】
観終わってみればこの部分も意味不明でした。
加藤雅也演じる“長谷部有孔”が事件現場で射精するシーンはかなり衝撃的な場面だった割にはスズキの動機にはほとんど関わってこなかったし、“倖田”と“矢吹”の現場捜査シーンも振り返ると蛇足だったような気がします。
“スズキタゴサク”のキャラクターを掘り下げて欲しいのにそこには触れられず、代わりにどうでもいいドラマパートに時間が割かれているという点が非常に勿体なく感じました。
原作があるのである程度致し方ない部分もあるのかもしれませんが、長谷部だの倖田だの他のキャラクターのドラマパートは一切カットして、その部分をスズキ自身の過去を掘り下げるパートや取り調べの時間に充ててくれた方が個人的には好みでした。
【兎にも角にもアホすぎる警察】
実態が分からないので的外れな指摘かもしれませんがここもかなりイラつきましたw
警官が思いつきで推理すれば見つかるレベルなのに見つけられてなかった販売所の爆弾、勝手に避難指示を解除して甚大な被害を生んだ阿佐ヶ谷の爆弾。
極め付きは推理を途中で切り上げた結果、大量の死傷者を出した代々木の爆弾。
「推理を途中で切り上げた結果、起きた被害なのに“命の選択”もクソもあるか!!!」と言いたくなってしまうくらいには取調室外の警官が無能ばかり。
あくまでこの映画のメインは“取り調べ”。余計な部分でイラつきたくなかったというのが本音です。
原作がある作品なので映画自体にどうこう言うのも間違っている話かもしれませんが、映画に対する感想は
「余計なドラマパートが多い割に“スズキタゴサク”の掘り下げは特になく、素性に対してもあまり納得することが出来なかった」
こんな感じにまとまりました。
他作品の名前を出すのも失礼ですが、この作品を見て改めて「今年のNo.1邦画は『国宝』」という思いが強まりました。
悪魔を憐れむ映画
サイコパステロリストと戦う刑事たちを描くノンストップアクションかと思ったが、尋問する刑事が交代して以降、何人もの捜査官がそれぞれ持ち場で事件を深掘りしていく刑事ドラマ要素が加わる。しかも刑事たちそれぞれが闇を抱えており、警察そのものが事件の原因に関わっているという社会派要素もじょじょに追加。「スピード」と「セブン」と「LAコンフィデシャル」をまぜたら訳が分からなくなると思うのだが、絶妙に面白いのがすごい。神業的構成に圧倒された。
で、ここまでは計算された部分。
結局スズキタゴサクがぜんぶ乗っ取ってしまう。
くっだらないギャグが、悪への誘いの言葉に変質して、最後に堂々と悪の教典を成立させる有り様が耐えられないほど恐ろしい。
で、エンタメ的にラストは悪の理由付というのがなされて、タゴサクは理解できるところまで整理されるのだが、意外に映画評では不満が多い。
つまり観客はスズキタゴサクが正体不明の悪のカリスマであることを望んでいるのだ。
だいたいの人間は人生幸福なのは母親のお腹にいるときだけで、がっかりを繰り返して、黒く歪んだ何かに変質した自分から目をそらしつつ、人生は終わる。
せめて、創作の中だけでも悪が自由に振る舞うのをみて、タゴサクのいうように「解放」されたいのではないか。これは個人的な感想でもある。
タゴサクはジョーカーよりも誰か分からないという意味で「セブン」のジョン・ドゥに近いかも知れない。ジョン・ドゥとは名無しのことでタゴサクも名前ではない。私たちはほとんどが名無しの者で、誰もがいつでもタゴサクかジョン・ドゥになり得るのだ。
ストーリーの良さ、演技の良さが光る
何も知らずに視聴。
まず初めの感想といえば、ただただ怖い。
人間の怖さ、狂気さを佐藤二朗が上手く演じている。サイコパスぶりが伝わってきてゾワッとする。
ストーリー展開も分かりやすく、段々と解けていく謎に、モヤが晴れてスッキリ。それぞれの人の思惑や過去、色々が混ざって並行して進むけれどその塩梅がちょうど良くて楽しめた!また想像と違う展開に驚きもあり!
類家VSタゴサクの話からは特に目が離せなかった!
天才と狂喜者は紙一重というのがわかるような、、、。
言っているとこにも、一理あるような人の深いところに入り込んでくるような本当にいい意味で嫌な気持ち。
リアルでありそうなのが、良くも悪くも、、、。
本当に最高で最低で最悪でした!
後味の悪さという所まで完璧。
こういう作品はこうであるべきって所が完璧。
映画館で見たことにすごく後悔し、見れたとこを後悔していない。
この矛盾をひたすらに感じる作品でした。ずっと集中して展開を想像しながらビクビクと見ることが出来た!
色々な人に1回は見て欲しいと思える作品。
見応えあり、でも消化不良…
佐藤二郎ショーの様に言われるが、他の俳優陣もとても良かったと思う。誰かしらの演技で興醒めする事なくハラハラドキドキ出来たのも確か…
何だけど原作を未読なので映画と同じ様に進んで行くのか分からないが、例えば94年のブローン・アウェイ/復讐の序曲をベースに犯人のなぞなぞをクリアする同じの94年のスピードに95年のセブンを足した感じ…
何処となく爆弾を題材にするとその映画の絵がチラついてしまう。
取調室で佐藤二郎ともっと心理戦で周りをあまり映さず何がどうなっているのか分からない感じで進んで行く、ヒリヒリする絵が見たかった。
謎解きも最初は良かったのに途中からあまり謎解き関係なくグイグイ進んで行くのもどうかと思う。
佐藤二郎の変顔ショーがある程度抑えられていたのも良かったし、途中から心が折れて行く渡部篤郎や山田裕貴の暖簾に腕押しだが、熱い気持ちを持った一課のエリートも好演だったが…なんか消化不良。
スズキタゴサク氏は何者か…?
ストーリー展開と役者さんたちの演技力に圧倒され映画の評価としては★5は間違いないのであるが、
鑑賞後、考えてみると
スズキタゴサク氏についてなにもわからないまま物語はおわっている
ワードを織り交ぜた謎掛けができる弁舌、長男氏が遺したであろう爆弾の設置、Xデーにきちんと捕まる周到な演技力(スズキタゴサク氏の)、など、かなりのスキルの高さであるのになぜうだつの上がらなそうな中年男になっていた?
記憶喪失のフリをしながら警察や社会にこれほど報復したくなる何ごとが彼の身に起こったのであろうか
続編があるのであれば、スズキタゴサク氏目線で生い立ちから実行に至るまでの経緯を描いてほしいと願う
それはよくあることだ
等々力(染谷将太)は世間や警察組織が自殺した先輩刑事・長谷部(加藤雅也)を「恥さらし」と切り捨てる中で「彼は怪物ではなく、ただ弱かっただけの人間だ」と擁護した。
タゴサク(佐藤二朗)は「お前らは偽善者だ」と指摘することで優位に立とうとしたが、類家(山田裕貴)は自分の弱さを認め開き直られたことで、スズキの攻撃(見えない爆弾)は不発に終わった。
タゴサクのドラゴンズの帽子を捨て、「怪物」へと完全に変貌するスイッチが入つたシーンはとても切なかった。
想像していたラストとは違った
・ミノリは実在している
・染谷将太は冤罪で捕まった教員の息子
・教員を冤罪で捕まえたのが加藤雅也
・週刊誌にリークをしたのは染谷将太
・加藤雅也息子を誘拐して加藤雅也にセリフを読ませたビデオを撮影した
・加藤雅也息子の死体をバラバラにしたのは夏川結衣にまだ生きていると思わせるため
・佐藤二郎はミノリの父親
・ミノリの後ろをいつもストーキングしていた真犯人は類家
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