爆弾のレビュー・感想・評価
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【"様々な人達の心の形”今作は佐藤二朗の役に憑依した如き刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品である。】
<Caution!一部、内容に触れています。鑑賞後に読んでください。>
■冒頭はスズキタゴサク(佐藤二朗)と名乗る冴えない短髪の小太り中年男が、酔って酒屋の自販機を蹴り、止めに入った店員を殴り微罪で警察の取調室で、調書を取られる所から始まる。
最初は所轄の刑事、等々力(染谷将太)が取り調べるがスズキに”気に入られ”最初の秋葉原での爆破を”霊感”により”この後、次々に東京都内で爆発が起きる”と告げられる。
刑事は相手にしないが、次に後楽園の傍で爆発が起き、本庁のベテラン刑事清宮(渡部篤郎)が交代するが、彼はスズキの言葉に翻弄され、件((くだん):未来を予言する、凶時に現れる人の顔と牛の身体を持つ化け物。)とタンの話をされ爆破は”九段下”と推測し、新聞配達のアルバイトの申し込みに免許も無いのに行った新聞配達店の爆破を、所轄の警官矢吹(坂東龍汰)と矢吹の相棒、倖田(伊藤沙莉)と阻止するが、それはタゴサクの引っ掛けで、その後保育園を狙うと示唆したタゴサクの言葉に翻弄されるが、実はホームレスが大勢住む代々木で爆発が起き多数の死傷者が出て、ついには頭が更に切れる類家(山田裕貴)が、取り調べを始めるのである。
□今作の一番の魅力は、この濃密な”密室劇”と呼んでも良い、スズキタゴサクと次々に彼に翻弄される、三人の刑事達との取り調べシーンである。
特にスズキタゴサクを演じる佐藤二朗の、幼児の様な喋りをする姿からの時折見せる、狂気性及び薄笑いを浮かべる表情との対比演技が凄いのである。
又、演出としては、タゴサクの汚い歯と唇と、彼が一本、二本と立てる汚れた指がアップになる映し方が秀逸である。
タゴサクが”中学時代に、ある女子生徒の事が好きになって後を付けていたら、その生徒が先生に殺されて大変だったんですよー。”と言った後にその雪の上に血にまみれて女子生徒が倒れているシーンが映され、更にその後に、その女子高生がニヤッと笑いながら起き上がるシーンを入れる演出も”スズキタゴサクの言葉の何処までが本当で、どこからが嘘なのか?”を上手く表現しているのである。
・一方で、且つて等々力が尊敬していた刑事、長谷部(加藤雅也)が心を病み、犯行現場で自慰行為を行っていた事がリークされ、彼の妻である明日香(夏川結衣)と息子辰馬(片岡千之助)、美海(中田青渚)の家族が、彼が列車に飛び込み自殺をしたために家族離散になる様が、暗喩的に示され、家を失った明日香が同じくホームレスだったスズキタゴサクと過去に接点があり、又、辰馬が荒れたシェアハウスで、仲間達と共にまるで父の仇を打つが如く、”実験”を行っていた過程が明らかになって行く様にも、引き込まれるのである。
・所轄の警官である矢吹が、刑事の伊勢(寛一郎)に且つて手柄を取られたが故に、伊勢は刑事に、矢吹は警官のままであるとか、矢吹の相棒、倖田と共に、新聞配達店のバイクの爆破を阻止するシーンや、二人が功を焦り矢吹がタゴサクのトラップに嵌る姿なども恐ろしいし哀しいが、爆破の混乱を密室劇と並行してこのようなシーンも入れている事で、今作は膨らみを増しているのである。
・そして、辰馬とその仲間が仕掛けていた一次、二次、三次の”爆破”計画が、明日香により阻止され、更に明日香にシェアハウスを紹介されたスズキタゴサクが辰馬の計画を”乗っ取って行った”と思われる物語進行が、先読みが出来ないために、上質なミステリーを観るが如く、グイグイと引き込まれて行くのである。
・明日香がバッグに”爆弾を抱え”スズキタゴサクが聴取をされている多数の人が押しかけている所轄警察に乗り込んできて、タゴサクと共に爆死しようとするシーンなども、緊迫感が尋常ではないのである。
<今作は佐藤二朗の役に憑依した如き、三人の刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと、徐々に明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品なのである。>
■エンドロールで流れる、エレファントカシマシのヴォーカルである宮本浩次の「I AM HERO」も、スズキタゴサクの”心の形”を、暗喩しているように感じてしまった次第である。
佐藤二郎が無双しすぎた・・・
全ての★を佐藤二朗さんに
佐藤二朗はちょっと苦手。 無邪気な犯罪者って感じでもない。 邪気が...
佐藤二朗はちょっと苦手。
無邪気な犯罪者って感じでもない。
邪気がある。
でも謎解きのような2人のバトルは見応えあった。
山田裕貴はいろんな役ができる。
ブルージャイアントの時も上手く声優をこなしてた。
この役も普段のとぼけた感じとは打って変わってとても良かった。
最後の余韻を残した感じも良かった。
頭脳犯vs 刑事モノと言えば
25年11月8日に2度目の観賞。
登場人物の関係性やストーリー展開が頭に
入っているので、より中身に集中して楽しめ
ました。残念ながら星4点のまま変わりませんが
これはきっと後編が作られるに違いないと
思いましたね。タゴサクとルイケのバトルを
ぜひもう一度観戦したいですね!
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真っ先に思い浮かんだのは名作「羊たちの沈黙」
と「セブン」でした。タゴサクが一体何者なのか
よく分からないままストーリーがどんどん進行
していき、徐々に背景が明らかになって行きます。
初見だとなかなか追いつくのが厳しいですね。
原作を読んでから本作を観た方が、案外面白いかも
しれません。
取調室で繰り広げられる頭脳戦、心理戦は見応え
十分で緊張感が続きます。得てして、この手の
悪役は人間の本心(本音と建前のギャップ)を
説きますが、本作でも色々考えさせられるセリフ
が多く出て来ます。
機会があればもう一度、観てみたい映画です。
その時は⭐️4.5になっているかもしれません。
取調べ室の攻防
気になる点が無かった訳じゃないが、そこを補って余りあるストーリー。...
普通におもしろい
原作が先か、映画が先か?タゴサク劇場
原作未読で、映画好きな方には、原作は後をおすすめします。
ミステリーはラストを知っていると、どうしても
映画のワクワク感が減りますよね。
逆も言えるので、読書、映画好きのジレンマです。
原作を読んで、映画との違いを楽しみたいと言う方は、原作先でも良いかも。
大抵、映画が先で面白ければ原作と言うパターンなのですが、今作は原作を先に2回読んでからの映画でした。
それくらい面白いです、原作。
で、映画。
キャスティングや演技など、素晴らしいです。
映画としての演出や色々なシーン、音楽等も
とても良かったのですが、細かい心理戦とまではいかなかったようで。
結構、グロいシーンもあります。
二郎さんは、とにかくピッタリのハマり役ですね!
人を不快にさせる達人、スズキタゴサクのヤバさ、不気味さ、怖さを遺憾無くはっきしています
類家も、山田裕貴さんは個人的に変人キャラが良いと思いますので、これもまた良しです。
伊藤沙莉さん、夏川結衣さんの圧倒的少数の女性も光っていました。
伊藤沙莉さん、良いですね、ピッタリ。
染谷将太さんは、あの役には若過ぎかと思っていましたが、疲れた感じがとても良かったです。
渡部篤郎さん、加藤雅也さんも渋いです。
原作の良くできたダイジェストになってしまう作品が多いのですが、特に映画オリジナルストーリーも無く、原作に忠実ですが、映画として完成しています。
もちろん全部原作通りではありませんが。
難を言えば、スズキタゴサクvs類家をもっとバッチバチな対決にして欲しかったな、で、マイナス0.5。
ちょっと、うーん?なのがエンドロールの曲です。
宮本浩次さん、嫌いじゃないですが、劇中の音楽が抑えた感じでしたので、最後にどかーんとロックというのは、狙ってだったのかも知れませんが、合わないかもと思ってしまいました。
個人的には、ハードロック大好きです。
映画と原作、どちらもおすすめです。
佐藤二郎さんあっての映画
引き込まれる
前半は面白かった
原作は読まなくても大丈夫。噛み砕いて分かりやすく全て映像化されているから。
原作は二度読んだ。単行本が刊行されてすぐと、映画化後に文庫本で。「このミス」国内1位はダテではなくもちろん面白いのだけど、それなりに瑕疵もあるなと思った。
映画では出てこない細野ゆかりという登場人物がいる。原作はこの人物への記述から始まり、この人物の記述で終わっている。他の登場人物とは全く関係しない。一箇所だけ彼女の行動が全体の筋に影響をもたらすキーポイントがあるがそこ以外はほぼ筋にも関係しない。傍観者なのである。細野ゆかりは、情報が瞬時に入手でき瞬時に拡散されるこの社会を代表している。自分の姿が他者に視える場所では意見は表明せず、匿名の誰かとしてしか世界と積極的に関わらないようにしている。細野ゆかりはあなたでありわたしでもあるわけで、それが原作のいわば裏テーマである。だから、この「爆弾」という作品は細野ゆかりが傍観者として抱えた世界の中にすっぽり収まっているというメタ構造になっているのである。
残念ながらこの作者が仕掛けた構造はほとんど読者には伝わっていない。それはひとえに筆力のなさに起因するのだが、いささか登場人物が多すぎてブロットが複雑すぎるところにも由来する。筋に目を奪われ、強引すぎる展開に気を取られているうちに、せっかくの構造的な仕掛けは印象薄くなってしまった。直木賞が取れなかったわけである。
さて、映画の話である。先ほど原作の強引すぎる展開、と書いたが、その最たるものは、むやみに動き回る倖田沙良という警官だろう。交番勤務の制服巡査でありながら広域の捜査に参加するという無理筋の設定でしかも直情径行の性格から事件に様々な波風を立てる。原作は彼女に紙幅を割きすぎてバランスが悪くなった。映画では伊藤沙莉がやや抑え気味の演技で全体の筋運びを壊していない。先ほど書いた細野ゆかりが登場しないところを除き(彼女の大学の金髪の先輩は何箇所も出ているが)それ以外の主要な筋は原作通り。でも原作の過剰なところ、回りくどいところはキレイに整理された上で再現されている。
撮影や空間表現はいかにもテレビドラマ的だけど「ラストマイル」とかと比べればはるかにマシ。
これで十分です。原作を読む必要はない。原作者には続編を期待するけど。
非常に惜しい出来
下半期見た中だとかなり上位。一番面白かったかもしれない。なによりもミステリーとしてよくできている。さらにみなが褒めるようにスズキのキャラクター造形が素晴らしい。特に伊藤沙莉が取調室に飛び込んで来た時、彼が吐くセリフ「ワタシ、〇〇しました」には感心した。
とまあ褒めてきたわけだが、なんというのか大枠としてはよくできているだけにディテールの詰めの甘さがかえって目についた。
①冒頭、若手刑事が過去のレイプ事件を聞かされる場面。なんであれを上に報告を上げないのか。手柄が欲しかったってこと? どうやって手柄になるのかわからないし、それについて何も行動しないのはなぜ?あれで身元が判明したかもしれないのになんで報告しないのか理解不能(その後、あれが嘘だというのは関係ない。あの時点でという意味)
②ラストの警察署に「アレ」を持ってくる夏川結衣の動機がさっぱりわからない。隠蔽してもらうために依頼してたんだよね。だったらなんでわざわざあんなことするの? あれで狙い通り殺せたとしてもだよ、またしても残された娘には酷いバッシングが待ってるだろう。娘のために隠蔽を依頼したんじゃないのか?
③若手刑事が単独でシェアハウスに同僚刑事を行かせる動機がわからない。手柄が欲しいってこと? あれって自分の手柄になるか? 爆弾で人が死んでるんだよね、だったら上に報告を上げて大量に人員を動員するだろう。
あと細かい事言うと、現代の捜査で刑事が被疑者に手をかけたりしないよなとかいろいろあった。
繰り返しになるが、これがグズグズのつまんない話だったら、こういうところは気にならない。よくできた話だけに気になってしまう。非常にもったいない仕上がりだと思った。
追 染谷将太の言う「気持ちはわかる」ってセリフ、納得できた? 捜査に必死になるあまり、何かやりすぎる(犯人殴っちゃうとかね)なら、まだわかるよ。だけど現場で〇〇するのに共感するってどういうこと?自分もあんなことしてたってこと?
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