爆弾のレビュー・感想・評価
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何はなくとも佐藤二朗
皮を一枚ずつ剥がしていくような謎解きやサスペンスの盛り上げは勿論面白かったが、何と言っても並いる芸達者達を霞ませてしまう佐藤二朗の怪演パワーに圧倒された。
他作では、役柄やストーリーと関係なくその場にいきなり「佐藤二朗」が現れる唐突さが面白いのだが、今回は物語に見事にはまっていて、いつもとは違う楽しみ方ができた。
類家の瞳の変化
原作を二回読んで鑑賞。スズキタゴサクが最初から怪物なのに対し、類家が始めは隠している刃物を時間と共に鋭利に見せる訳だがその展開が当然より分かる。佐藤二朗さんの怪演は予想していたが、山田裕貴さんの類家。想像以上に話が進むにつれ瞳が変わる。落ち着いてきたのでも冷たくなるのでもない。人格が消えていくとでも言えばいいのか。
原作の厚さにカットも多いだろうと思って読んだのだが、全体としてよくまとめてくれたと思う。ただ原作を読んだ分、映画がハイスピードに感じてしまって意識が遅れそうになった。これは再度観て整理しないと。
普通の外の世界が、取調室の黒で一瞬でリセットされる。このメリハリが良かった。他の登場人物も個性的だ。
ああいつもながら尺が憎い!
✳︎佐藤二朗さんのお名前を間違えておりました。修正させていただきます。申し訳ありませんでした。
アングルの変化が絶妙!
役者の力量がものを言う会話劇中心の作品。
こんなハードルの高い映画なのに導入の会話だけで観客を引き込む佐藤二郎さんと染谷将太さんの静かなぶつかり合いが凄い!
人を小馬鹿にした佐藤さんの話ぶりとそれを受け流しながら会話をする染谷さんの掛け合いにひたすら見入ってしまいました。
その後も佐藤さんの快進撃は続くのですが、それを相手取る役者たちの演技も素晴らしいの一言!
佐藤さんと面と向かう方々は勿論、署内外で活躍する面々の動向から目が離せませんでした。
責任の所在ばかり気にする正名僕蔵さんや、お巡りさんを演じた伊藤沙莉さんと坂東龍汰さんが強く印象に残ります。
特にお巡りさん2人によるコンビっぷりが堪らなく、さりげない会話のやり取りだけでお互いの距離感や関係性が手に取るように伝わりました。
素晴らしい方々です。
また、本作の性質上、物語の殆どが取調べ室で進行してしまうのですが、固定した映像の他に手持ちカメラで撮影された映像も使用している点にも感服。
固定されていない映像が混ざる事で臨場感が増しておりました。
観客を佐藤さんの会話に引き込むための顔のアップ以外、狭い現場でカメラは様々なアングルを模索しています。
アングルを変える事で感情の違いや物語のターニングポイントを伝えようとしていますので見応えも充分にありました。
劇場に行けば、取調べしているのか、取調べされているのか、まるでわからない感覚が味わえますよ♪
意外と忘れてる。
種明かしが…ショボい
ある敏腕刑事の不祥事から家族離散、更にはホームレスに迄貶められたその妻と息子が、ホームレス仲間との接点を経て社会への報復に至る話を、爆弾犯の主犯ではないものの社会への怨みだけが募っていた共犯ホームレスが承認欲求を満たす為に警察を相手に仕掛けたゲームのお話。原作はかなり前に読んだのですが中途離脱。取調室でのやり取りでのところで余りのクドさに飽きてしまった為です。今回は映画のお陰で最後までストーリーを追い掛けられましたが、結論を言えば、敏腕刑事の不祥事なるものが余りにも陳腐過ぎて、以後の妻の動機にしろ共犯達の動機にしろお粗末過ぎて全く感情移入できず、警察の各人の頑張りも類家に象徴される現代の若者の焦燥感にも同調出来ませんでした。とは言え、佐藤二朗初め、各役者達の頑張りには敬意を評します。原作が陳腐だった事が映画の低評価になったと言わざるを得ません。
ハラハラ
正名僕蔵さん、好きになりました!
2億点の佐藤二朗を味わう
これは……これは凄い(語彙力)。
所謂"いつもの佐藤二朗"のテイストを確かに残しつつも
そこに不気味さ、不快さ、下品さ、プライドの高さ、何者かになろうとしているだけの卑屈さ、ただの個人的な怒りと愉悦、
あらゆる要素が確かな重みを持って過不足なくブレンドされたスズキタゴサクという人格。
3人の刑事の取り調べを経て、これらの要素が多層の皮を剥いていくように露わになる過程。
取調室や警察署という狭い空間の中で延々とヒリつく駆け引きが続く様には一瞬の中弛みすら無かったと思う。
他のキャスト、特に染谷将太・山田裕貴・渡部篤郎の熱演も十分素晴らしいものだったと思えるがその上であえて言える。
『この佐藤二朗を観る為だけに劇場に行く価値がある』と。
【追記・考察】
そこそこ話題になっているスズキタゴサクの素性について。
もちろん確証を持てる描写はないけど
取調べの担当が代わる度、対話が進む度に少しずつタゴサクの態度が変化しているのは分かる。
九つの尾の問答の辺りから少しずつマウントを取りにいくような文言が増え、同時に(言い方は悪いが)「ありがちな底辺層の理屈」を主張し始める。
類家が担当になってからが露骨で、状況は有利なはずなのに明らかに余裕のない煽りを繰り返すようになる。婦警の乱入が無ければあそこでもう話は終わっていたかもしれない。
月並みな結論だけど類家に対するほとんどの言葉がブーメランなんだろうな、と。
同族(タゴサクが勝手にそう思っただけかもしれないが)嫌悪というか、タゴサク自身が「周りは皆バカだと思いながら生きてきた人間」っていう。
元々それなりに頭は回るがそれ以上のプライドを持っていて、そこから路上生活者にまで身を落とす経緯も「ありがちな話」におさまる程度のもの。
石川に対するややこしい感情の向け方からして
学生時代の話にはいくらか真実が混ざっていそうな感じもする。
……ここまで書いておいてアレだけどこの作品、というかタゴサクを「日本のジョーカー」みたいに表現する人らには怒られそうな考察である。
ヒースとホアキンぐらいの違いだしまあええやろ。
佐藤二朗の顔アップこんなに観たの初めてだった
結構前から予告編を観ていて楽しみにしていた作品。山田裕貴と佐藤二朗が共演という事なので、かなりのコメディじゃないかと想像しながら着席。まずは自販機破壊の罪で捕まった佐藤二朗演じるスズキタゴサク、刑事と話してると、爆弾の場所と時間を霊感から話し始める。それって超能力者じゃないの?って思えるくらい凄かった。犯人を探すっていう展開じゃなくて、ずっとスズキにヒントをもらう流れ。とにかく佐藤二朗のセリフが長くて凄かった。それにしても都内で、あんなに爆発事件が起こるなんて信じられないくらいだった。山田裕貴以外の警察官、染谷将太や伊藤沙莉など、みんなとても良かった。最後は犯人分かったっぽい展開。少し長めなんだけど、とても楽しかったです。
エンタメ映画としては一級品
爆弾ではなく、「爆弾」である意味
前評判通りとても面白い映画です
呉勝浩のベストセラー小説を実写映画化。
都内に“爆弾”を仕掛けた自称スズキタゴサクと、クイズ方式でヒントをだすスズキとの交渉に挑む刑事の攻防。
この事件の背景はとても複雑。
不祥事を起こした刑事は電車に投身自殺をスズキタゴサクする。その家族や周囲の人間が複雑に絡むが、これ以上はネタバレになるので原作を読むか、映画を観て下さい(笑)
スズキタゴサク(佐藤二朗)、爆弾捜索に奔走する巡査(伊藤沙莉)とその相棒(坂東龍汰)、スズキの過去を探る刑事(染谷将太)、尋問する刑事(山田裕貴)その上司(渡部篤郎)、スズキの見張り役を務める刑事(寛一郎)等、出演している俳優陣の演技が光ってます。
緊迫感があって、怪演を堪能できるのは良かったが、ミステリーの結び方としてはイマイチ納得できない部分が多かった
2025.10.31 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(137分、PG12)
原作は呉勝浩の同名小説
ある酔っ払いの戯言に付き合わされる捜査官を描いたミステリー&スリラー映画
監督は永井聡
脚本は八津弘幸&山浦雅大
物語の舞台は都内某所
飲酒後に自販機を破壊し、店員に暴行を働いた自称「スズキタゴサク(佐藤二朗)」は、所轄に逮捕され、野方警察署に連行されていた
取り調べにあたることになったのは刑事・等々力(染谷将太)で、滞る事なく終わると思われていた
だが、スズキは記憶がないの一点張りで身元を明かさないどころか、意味不明の供述を始めていく
「霊感がある」と言って、「22時に何かが起こる」という
すると、秋葉原にて爆破事件が起こり、さらに23時には東京ドーム周辺で爆破事件が起こってしまう
スズキが事件に関与している可能性が浮上し、捜査本部が設置され、捜査一課強行犯係の清宮(渡部篤郎)と類家(山田裕貴)が等々力の代わりに尋問を行なっていく
スズキを確保したのは所轄の警察官・矢吹(坂東龍汰)と倖田(伊藤沙莉)だったが、矢吹は巡査長に昇進し刑事となった伊勢(寛一郎)に対抗心を燃やしていた
彼は手柄を横取りして出世した伊勢を恨んでいて、少しでも早く貢献し、刑事になりたいと考えていた
物語は、等々力からバトンを受けた清宮が対峙する前半があり、3つの爆破事件を経た後に類家との後半戦が待っていた
スズキは「9つの尻尾」という心理テストを清宮に対して始めるのだが、その話の中で次に爆発する場所と時間を伝えていた
類家はスズキの残したメッセージから「無邪気な答え」を探していくのだが、スズキの方が一枚上で爆破を止められない
そして、代々木の件にて失態を犯すことになったのだが、それはまだ序章であり、スズキは3回戦まであると言い出すのである
映画では、1回戦は清宮の完敗だったが、2回戦は類家が五分五分の戦いへと持ち込んでいくように描かれていく
だが、環状線全ての封鎖というものを維持できず、各所で爆発が起こってしまう
そして、スズキによる動画がSNS上で公開され、安全なのは「野方署だけ」となり、市民がパニックになって押し寄せてしまうのである
映画は、スズキVS捜査官の心理サスペンスになっていて、清宮を翻弄した後は、類家との知能勝負へと展開していく
予告編だけ見ると「VS類家のみ」に見えてしまうので、いつ出てくるんだろうという感じになっていた
最後の爆弾は見つかっていないし、持ってきたはずの明日香(夏川結衣)が事件に関して否認しているみたいな説明セリフで終わってしまうのもなんとも言えない感じになっていた
おそらく続編はあると思うのだが、この事件に関してはほとんど何もわからないまま取り調べを終えているので、裁判で何を争うのかは見えてこない
結局のところ、一家離散の目に遭った息子・辰馬(片岡千之助)の計画をスズキが自分の事件にしようとしたと推測されているが、それを立証するのは困難だろう
かなり大規模な爆破事件となっているが、爆弾自体を作れないスズキが秋葉原と東京ドームに設置したというのは無理があると思う
長谷部の事件を知って、彼の家族の存在を知っていくと、この事件の外殻というものが出来上がるので、あとは心理的に誘導して「事件を起こさせる」というところに行き着くのだろう
この心理誘導に関してはスズキは長けている部分もあるので、どの駅に設置したかわからないからクイズにできなかったとか、爆弾犯の素性を知る男からのリークで秋葉原は爆破しないと思うみたいな雑な推理はナンセンスであると思う
その辺りも踏まえて、辰也に接近し「爆弾テロの筋書きで洗脳」、その準備が整ったところで「仲間を毒殺」、ここまで進んだところで「明日香に暴露」して「辰也を始末」させ、それによって洗脳状態の明日香に最後の仕上げをさせる、という流れの方がしっくりくる
一連の事件によって、2度目の人生が終わった娘・美海(中田青渚)が本当の最後の爆弾に関わっている、というのが筋で、それが次作に繋がる、というのでも良いのだろう
そして、映画のポストクレジットあたりで「大きなカバンを持つ謎の女」を描いて、それがどこかに向かいつつ、「スマホで何らかの指示を受けている様子」を描けばスムーズだったように思えた
いずれにせよ、原作準拠だと思うのでこのような終わり方をしているのだと思うが、映画単体と続編への匂わせという意味では微妙なラインで終わっているように思えた
スズキの異常性を堪能する分には良いと思うが、「引き分け」の意味もわからないし、ぶっちゃけ「警察の大敗」みたいな感じになっている
この「引き分け」はスズキなりの類家に対する最後の爆弾のヒントだと思うが、それに反応する類家を描かないのは微妙だと思う
そう言った意味でも、ちゃんと終わった感がしなかったのは微妙かな、と思った
面白かったが、第2ラウンドから失速気味。
ペットボトルの爆弾は、自動販売機から購入したので爆発したように見えたが、
それでは都合良く同時刻帯にあちこちで爆発するのだろうか?
何かタネ明かしは、こじつけぽかったのが残念。
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