爆弾のレビュー・感想・評価
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期待度○鑑賞後の満足度◎ スズキタゴサクは最近の邦画の登場人物の中ではもっとも面白いキャラだろう。サスペンスの醸成と維持、複雑で同時進行のエピソードの描き分け、どちらも見事。大変面白かった。
*2025.11.24. 《2回目の鑑賞》【ユナイテッド・シネマ橿原】。
①やっぱり面白い。今回は原作を読んでから観たせいか、1回目の時は良く分からなかった○○の○○が良く分かった。原作よりよく分かったくらい(ここは文字で書くより人間が演じることで説得力があったということか)。まあ、単に私の頭が悪かっただけなのだろうけれど。
ともかく、自分の中にもスズキタゴサクがいることが分かってしまうのが、原作・映画共に単に良くできたエンターテイメントで終わらない理由だと思う。
②
《原作未読》
①話に引き込まれて息をつく暇もない面白さとしては最近の邦画の中で断トツの面白さではないか(全ての邦画を観ている訳ではないので私が観た中でと言い替えるべきかもしれないけれども)。
ただ、小説(文字)であれば問題はないが映画(具体的な映像)では上手く描けていない部分があるようにも時々感じた。ラストも劇的衝撃・余韻には少し弱いようにも思う。 (原作を読んでいないので断定は出来ないが)
だが、映像だからこそ文字での描写には出来ない臨場感・衝撃度もある。
何気ない日常を襲う惨劇のショック度は映像ならでは。実写での惨事の描き方には忖度の多い邦画であそこまで描くのはなかなか勇気を感じた。
②佐藤二朗は流石に上手い。佐藤二朗という役者の持つ胡散臭さとスズキタゴサクというキャラの持つ胡散臭さが重なりあったピッタリのキャスティングであったことも本作が面白くなった大きな要因だろう。
惜しむらくは、メディアへの露出が多いのと、他の作品(特にコメディ)でのタイブキャストが多い事で、俳優としてのミステリアスさにか欠けることで損している。(証拠に最初の方はいつもの佐藤二朗かという印象の方が強かった。段々芝居のリアルさと迫力でいつの間にかスズキタゴサクそのものになっていた。)
そうでなけれは現代の邦画を代表する名優と云えるのだが。
山田裕貴は、普通のイケメン俳優だと思っていたが『ベードーベェン捏造』といい少々癖のある役で熱演が多く面白い俳優として俄然存在感を増して来ていると(思う)。
他の俳優陣も適役好演。
染谷将太や伊藤沙莉、夏川結衣も実力に見合わない役かと思いきや成る程と思う展開(これ以上はネタバレ)。
正名僕蔵も相変わらず実に上手い。こういう人いるいる、という役作りは観ていて楽しい。
③エンタメとしては実に良くできているが肝心の○○が説得力が無いのが欠点だが、スズキタゴサクの言動や散りばめられた現代の東京の風俗描写を通して、人間の抱える闇や善悪、寛容と非情、自分に関係なければどこまでも冷淡・残虐になる姿、を抉り出すことが本作に深み・厚みを与えている。
SNS の拡散という、簡単に出来るがゆえに良心の呵責もなく誰かを傷つけているかもしれぬも現代風俗を利用して大聚を知らぬ間に犯罪に荷担させるトリックには素直に唸らされた(犯人を暗示する伏線にもなっている)。
スズキタゴサクがまんま佐藤二朗
取調室での絶妙な駆け引きと心理合戦が面白い
ベストセラー小説を実写映画化したスリルサスペンス。豪華キャスト陣による迫力ある演技合戦が非常に面白く、取調室での絶妙な駆け引きと心理合戦にグイグイ引き込まれた。爆弾魔・スズキタゴサクを演じた佐藤二朗の鬼畜な演技ぶりは本当に素晴らしかった。
2025-162
佐藤二郎の演技に全て喰われる
【原作未読】
一にも二にも佐藤二郎の演技に尽きる。。 怪演過ぎて鑑賞後はそれしか残らないとも言える。別の言い方をすれば、その演技だけを見る為にこの作品を観るのも有りだ!
原作未読なので何とも言えないが、今回の事件の大元となった警察官のスキャンダルが…えっ⁉︎ それっ⁉︎ って感じ。これでは観客は納得しない。逆に観ている者は⁇が増えるばかりである。
また他のレビュアーさんも言っているようにこのストーリーならもっと警察組織に向けて犠牲(大爆発)が発生してもよい筈である。というか警察がNo.1ターゲットの筈。(最後には少しあったが未遂で終わる訳だし…)(また警官1名の負傷はあったが…)
しかしテンポは良かったし他の俳優さん達の演技も良かった。VFX(CG)がやはり日本レベル(テレビレベル)であったが…。ここはやはり映画なのでもっとお金を出して世界レベルに近付けて欲しい。そうすれば日本映画は世界で売れると思う。このまま"邦画"(国内だけでOK)ではダメなのです。アニメだけでは無く実写でも世界を見据えてお金を掛けて制作して欲しい所。
【追記】2025.11.17
最近観たバットランドを"3.7"→"4.0"へ変更しました。そしたらこの作品も"4.0"にしないと不公平と思い変更です!何故ならこの作品も観た後、色々と考えさせられているからです。考えさせられる映画ってやっぱり意識させられるって事で心に引っ掛かりがあるからなんです。よって"4"へ変更です‼︎ (← なんか説明になっていませんがそう言う事です)
この手の映画は映画は演技力に左右されると思える作品
佐藤二郎が演じるスズキタゴサクの人柄や世界観が最高に表現されていて、この映画を面白くしてます。
佐藤二郎のコメディタッチな演技もコメディではない、ギリギリの演技が素晴らしくいいと思います。天才です。
少し残念なのは、山田裕貴さん演じる類家ですね。キャラがイマイチ定まってない感じがあります。そういったキャラなのかも知れませんけど、正統派のキレものなのか、ぼんやりタイプだが実はキレもの?どっち?って感じがしました。そのあたりから、演技がブレブレのような印象があります。
全体的なストーリーは凄く面白いのですが、類家に代わってからの方が爆発が防げてない感じに違和感はあります。
あと、駅のホームに押し寄せる群衆、警戒を解除する警察と駅側の判断、それに乗っかる群衆。いや絶対電車使わないだろ!とツッコミは入れたくなりますが、、、まあ、そこはご愛嬌で。
同時に色々なストーリーが動くのも面白いですね。等々力さんがもっと存在感(第3ステージぐらいで)を出してくるのかと思いました。
印象的なのは、タゴサクが類家の事をずっと「刑事さん」と言って「類家だ」と訂正された続けてのが、最後に「類家」と言ったところですね。この一言でタゴサクが類家以上であると思わせてる感に震えました。
最後に第3ステージの爆弾は映画館にして欲しかったですね。
前半はなぞなぞバトル、後半は喪黒福造合戦
予告を観た時は、その興味深いシチュエーションに強く惹かれた。
日本映画は、観客の興味を引くような状況設定、いわゆる「掴み」を作るのが上手いと感じる。
ただ、多くの日本映画に共通して感じるのは、話が進むにつれて物語の粗が目立ち始めること。
原因としては、まず魅力的なシチュエーションを考え、後付けで「なぜそうなったか」という理由を構築しているからではないかと思う。
そのため、リアリティよりも物語の都合が優先されがち。
その結果、特に日本映画では、後半になるにつれて「そんなわけあるか」と白けてしまうことが多くなる印象。
この作品を観ていて、まさにそんなことを考えてしまった。
話が進むにつれて真相が判明していくわけだが、これに関わった人々の行動が不可解に感じることが多かった。
「あの状況で、そんな行動は取らないだろう」と思うことが多く、納得できず頭が爆発しそうになった。
爆弾犯の思う壺なのかもしれない。
佐藤二朗演じるスズキタゴサクの犯行動機が明かされる場面を観ていて、東野圭吾の小説『容疑者Xの献身』を連想した。
『容疑者Xの献身』は、犯行に及んだ男の動機が丁寧に描かれていて共感できる部分もあったのに対し、『爆弾』の映画版だけ観ているとそのような内面はあまり描かれていない。
そのため、登場人物たちが物語の辻褄を合わせるために都合よく動いているようにしか思えなかった。
スズキタゴサクは『バットマン』のジョーカーのようなサイコパスな犯罪者として描きたかったのだと推測する。
しかし、ああいうキャラは、こちらがハッとさせられるような深層心理を突いた鋭い言葉を投げかけるものだが、スズキタゴサクは人をからかうような言い方で、どこかで聞いたことがあるようなありきたりな鬱陶しい発言をしてくるだけ。
そのせいで、だんだん会話劇が退屈になってしまった。
繰り広げられる会話劇は知的な会話風なだけでたいして中身がなく、雰囲気だけに感じられてきて飽きてくる。
さらに、後半になるにつれて説教くささが増してくるので、観ていてイライラしてしまった。
前半は、スズキタゴサクが仕掛けた爆弾の場所に関するクイズを出してきて、警察が対応していく展開。
このクイズが驚くほど普通のなぞなぞだったことに、逆に衝撃を受けた。
なぞなぞとしては問題が分かりにくく興味が持てず、答えを聞いても「あ、そうですか」といった感じに終わる。
山田裕貴演じる類家がエリート刑事として登場するが、普通の刑事ドラマであれば「誰が犯人なのか」とか「犯人はどうやって犯行に及んだのか」で頭を悩ませるものだと思う。
それなのに、他の大量の警察関係者が事件対応でてんやわんやしている中、類家だけが一人でなぞなぞの答えを必死に考えている姿はなかなか斬新だった。
後半は類家とスズキタゴサクの一対一の取り調べの場面になっていく。
最初は知的な会話のバトルが繰り広げられるものと期待したが、実際はお互いに「あなたの本性はこうだ!!」みたいなことを決めつけで言いあうだけに感じた。
だんだん二人が『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造に見えてきた。
論理的に言っているわけではなく単なる決めつけで言い合っているだけなので、まるで幼稚な人間の言い争いを見せられている気分になった。
事件の発端となる警察の不祥事も理解に苦しむものであった。
あんなことで、不倫芸能人並みに記者が追い回すほどマスコミは暇ではないと思う。
警察の不祥事なら、痴漢、盗撮、パワハラ、横領、不当な取り調べ、情報漏洩、事件もみ消し、証拠捏造などなど、いくらでも世間を騒がせた事例があるのに、なぜあえてそんなことを事件の発端にしたのか、本気で意味不明だった。
原作未読。
最初から、佐藤二郎の演技に惹き込まれたのは確か。ラストまで緊迫感もあった。だけど…(ここからネタバレ)
そもそもの発端となった長谷部の行為に至る背景をもっと深堀りすればもっとストーリーの重厚感増したのに、いうなればただの性癖で済まされてしまってるのが残念。
なんだかんだ世の中に居場所をなくした息子が癇癪起こして爆弾魔になって、母親は手に負えなくなってタゴサクに助けを求めた?
タゴサクなんで助けたの?
あと長ったらしくなりそうだから気になった点。
・渡部さん、途中から威厳どこいった?
・秋葉原、画面上から伝わってくる爆弾威力の割に死傷者少なくない?
あと声を大にして言いたい。
警察関係者、被害無さすぎだろ?坂東さんぐらいは、セオリー的にお涙頂戴殉職すらなく、ラスト見舞いシーンいる?息子は警察には恨みないんかな。あっても良さげだけど。
スッキリしない
原作もすっきりしないが。
ミステリーは映画に向いていない。結局、内容が謎解説になりがちだからだ。
延々と言葉遊びを続けるだけで、なるほどと思わせる内容がない。爆弾犯の動機もこじつけっぽいし、刑事の息子や母親の動機もこじつけっぽい。こねくるための設定にしか思えない。そもそも爆弾犯の正体がただのホームレスというのが苦しい。頭脳的な駆け引きをするのだから、正体不明だが何か過去を匂わすエピソードなり欲しい。
結局、爆弾犯が勝って大量に人死が出るオチはあたりまえだがエンタメとしてはスカッとしない。それはそうで客は最後に爆弾犯をやり込めるのを期待して映画を見るのだから。しかしそれを狙いとしないのであれば、刑事VS爆弾魔の対決として盛り上げるのはインチキっぽい。せめて何か別のカタルシスを用意してほしいところだ。
阿佐ヶ谷駅に爆弾が仕掛けられてるのに、封鎖解除というのもありえない。その時点で秋葉原を皮切りに大事件になってるはずだ。
キャストの演技が緊迫感がありまだ見れるが、一見緻密なようでご都合で構成された内容はいただけない。
まあ、原作がそうだからなんだけど。
消化不良
天才的推理力を持った刑事とIQバカ高の犯罪者が織り成す心理戦を期待しとったので残念。もっと山田裕貴役と佐藤二朗役のパーソナリティを描写して欲しかった。2人とも頭はええのやろうけどその根拠が薄い。
結局山田裕貴君勝てへんかったし事件もちゃんと解決してへんし。
渡部篤郎の役は居らんでもええやろと思う。
どっちゃにしても何やもっと振り切って欲しかった
佐藤二朗の怪演が吉と出た良作
原作未読。冒頭の散髪カットから伏線は張られており最後まで濃密な展開で目が離せない。
佐藤二朗が全編にわたり物語を牽引。佐藤二朗というと福田作品のクセ強キャラというイメージがだったが、今作では主軸を担う怪演を見せ、終盤真相が明らかになると別の感情で揺さぶりにくる。素晴らしかった。
主演の山田裕貴は見せ場が後半に集中。佐藤二朗との演技対決は見もの。
また取調べ1番手の染谷将太と次ぐ渡部篤郎も重要なポジション。寛一郎、坂東龍太も見逃せないが、やはり伊藤沙莉がすごい。
出番の多少に関わらず、全ての役が事件の傍観者という立ち位置ではないので緊張感が途切れることがない。事件の真相も含め間延びすることがなくおもしろかった。
もし続編などがあるなら、類家にスポットを当てたものが観てみたい。
見せつけられた、じぶんの心の形
会話劇なのに退屈しない × 狂気の中の人間味
佐藤二朗さん、山田裕貴さん、染谷将太さん、坂東龍汰さんなど、好みの俳優がそろったキャストに期待していた作品です。
「スズキタゴサク」役の佐藤二朗さんはまさに適役。
言動のすべてが観客を苛立たせるほど圧巻で、「この俳優しかあり得ない」と感じさせる存在感でした。
ほぼ取り調べ室での会話劇でありながら、退屈することなく最後まで見入ってしまいました。
一方で、物語が進むにつれ登場人物が増え、苗字だけの呼び方も多かったため、誰が誰なのか把握しづらい場面がありました。
終盤、スズキが「もじゃもじゃ頭の、類家さんです」と初めて類家の名を口にする場面があります。
狂気の中にふと人間味がのぞく瞬間で、特に印象に残りました。
原作の深みと映画の尺の問題における相克。
まず言えるのはプロの仕事だと言う事である。完璧な出だしと、最後の最後までエンターテイメントに徹した職人技の作品。佐藤二朗の独壇場である。しかしその凄みが最後のエンディングでは纏め切れずコントロールを失ったかのような収束を迎えたのは誠に残念。トップスピードのママ胴体着陸を試みてオーバーランした飛行機の様な終わり方であった。あの全速力感とあの過剰な盛り込みが無ければあの緊張感はあの時間に渡って維持は出来なかったであろうが、それにしてもつくづく映画の持つ2時間の壁という枠組みは大きな足かせでもあり、改めて作品を作品たらしめる偉大なる規範でもあるのだと言うことを思い知らされる。無理して突っ走れば収束せず、上映時間を意識し過ぎた作品にはインパクトは残せない。この二律背反は映画に限らず芸術作品に突き付けられる古くて新しい無視できない問題でもある。
それにしてもあの佐藤二朗演じるスズキタゴサクと言う無垢の視線からの知性や良心良識の持つ規範を凌駕した怪物観をもう少しコントロールして欲しかった。それゆえ原作が今回は強く気になる。読んでみてもいいかもしれないと言う気にさせられたエンディングであった。原作とセットでこの映画の評価がより拡大解釈されるとしたらそれはそれで新たな映画の在り方となる。
⭐︎4.3 / 5.0
これはもう佐藤二郎の作品で佐藤二郎の奇才っぷりにどっぷり浸かる覚悟...
いやー話術って本当に凄いよな。だって人のこといとも簡単に操ることが...
完璧な配役
もうこれに尽きる。
配役が完璧すぎて感動。そのおかげか、話に入り込めました。
佐藤二郎は不気味なところと感情を出すところのギャップが凄く、山田裕貴の淡々としつつ、癖のある演技がよく、染谷将太のあまり感情出さない感じも良いし、渡部篤郎の取り調べシーンの感情爆発するシーンも良いし…
いやー、凄かった。
話も良いですね。徐々に背景が見えてくるのが良く、複数キャラの視点から進むのも話の流れをより分かりやすくしてる。
テンポも良く、バランスが良いですね。
山田裕貴と佐藤二郎の会話をもっと見たいなぁ…
気持ち良く終わるわけではないが、満足度は高い作品でした。
久しぶりにツボに入った良作でした。
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