「他の人はどう思うのかを知りたくて生まれて初めて書きます」爆弾 らさんの映画レビュー(感想・評価)
他の人はどう思うのかを知りたくて生まれて初めて書きます
元々個人のメモとして書いたものの、同じものを観た他の方々はどう思うんだろう?というのをどうしても知りたくなってしまって投稿しました。
原作未読なので読んだ後で感想が変わるかもしれません。
◾️全体について
映画なのにミステリ小説を読んでる時みたいな早くページを捲りたくなると同時に登場人物の細かな描写も逃さないようにしっかり全描写を拾いたくなるあの感覚があった。
これは原作や俳優陣がすごく良いってことな気がするから原作を早く読みたい。
ストーリーや俳優陣の演技の素晴らしさはもちろん、それ以前にエンターテイメントととしてとっても面白かった。
緊迫感、疾走感、次の展開への期待感、エンターテイメントを楽しむ時間、登場人物への自己投影と観客が自身の内面を反芻する時間、、いろんな要素のバランスがすごく良かった気がする。
↓ちょっと引っかかったシーンについて↓
◾️もっとやってくれタゴサクについて
タゴサクもっとやれ、やるなら全部壊してくれって思ったんじゃないですか?って等々力を通してスクリーンのこちら側に言ってくるシーンだけ、ちょっと蛇足に感じた。
このシーンの時には既にもっとやってくれって気持ち(タゴサクの破壊行為が遂行されていく気持ちよさ)よりも、なんとかタゴサクを止めてくれ(踏みとどまれる世界であってくれ)っていう気持ちが上回ってたからあんまり響かなかったんだと思う。
社会への投げかけ的な要素、これって自分のことなんだってヒヤッとする要素はタゴサクの動画投稿の一連のシーンで十分すぎるくらいだったと思う。
パンフレット見てから思ったけど、あの満足感はワンカットだったからっていうのも大いにあると思った。
他の登場人物の感情とかが乗っからず、タゴサクの呼びかけ(自分達がどこかに抱えてるはずの社会への憎悪)と観客自身が一対一で向き合う時間がしっかり取られてたから、タゴサクと警察の攻防っていうエンタメを観客として見るぞ〜ってスタンスが、自分の中や社会で今起こっている攻防に向き合うってことか…ってスタンスに切り替わりきっちゃったのかも。
つまり演技と演出力が凄すぎて後のシーンが蛇足になっちゃったってことなのかも。
◾️動画視聴者の属性について
タゴサクの動画視聴→逃亡者として描かれてたのが若者と主婦に偏ってる感じがして、そこがなんだか現実世界への近さを追求した作品の割にステレオタイプすぎてちょっとつまらないなって思った。
現実だったら、「そういう」ことをしそう(浅はかな行為をしそう、犯罪への距離が近そう)ってラベルを貼られがちな属性の人っていうよりも、犯罪どころか悪いとされるような言動とも無関係だと思われてるようないわゆる普通で真面目そうな人(年齢性別職業とかの属性は全く関係なく)の方が、生まれて初めて目の前に犯罪、しかも大量殺人への加担っていう背負えるわけがない重罪を突きつけられて必死にこれまで築いてきた外面を取り繕おうとして自分は無関係だってことにしたくてアカウント削除したり履歴削除したりセコい真似をするんじゃないかって思った。私がそういう人間だからかもだけど。でも、「うわー、最低。私なら絶対こんなことしない」って純粋に思える人っているのかな?
若者等が強調されてても私のことを言われてるんだって感じはしたけど、もっと観客全員に近い描き方をして欲しかったかも。
↓考えすぎてしまったシーンについて↓
◾️みのりちゃんについて
みのりちゃんの事件、あれは事実だったんじゃないかって感じた。
なんでそう思ったのかは分からないけど。
本当にあった事件だけど、それを嘘とすることで「みのりちゃんの事件なんかなかった、嘘つきの言葉にまんまと騙されて間違った判断をして他人も自分が築いてきたものも大きく傷つけて失ってしまった」と伊勢に思い込ませて喰おうとしたんじゃないかと思った(ほんとは嘘じゃないのに)。
みのりちゃんと目が合うシーン、パンフレットではあの事件は嘘だったことが判明するシーンとして明記されてるけど、私の中では伊瀬(と観客)がみのりちゃんの事件は嘘だったとタゴサクに理解させられた(と思い込まされた)シーンなのかも?と感じた。
タゴサクは自分以外の人間に関する話では嘘をついてないからそう思ったのかな?
催眠術にかけられて記憶がないとは言うけど、全くの嘘や作り話は言ってなかった気がする…これも原作読んでちゃんと確認したい。
でもそっか、みのりちゃんの事件が本当にあったらそこからタゴサクの身元が割れるはずだから本当に嘘だったのかな…考えすぎかな…
◾️催眠術が解けたら…と引き分けについて
そういえば、「引き分け」だから催眠術は解けなかったのかな?
類家が勝って石川明日香(以下、石川)もしくはこれまで受けてきた社会からの仕打ちがタゴサクにかけた催眠を解いてたらタゴサクは本当に全てを話したんじゃないかって気がする。
でもきっと名無しの権兵衛に対しては誰もそんなことはできない。相手がすごく近しくて大切な人だったとしてもこれまでの人生がその人にかけた催眠を解くなんて多分できないから。
だからタゴサクの催眠は永遠に解けないのかも。
◾️タゴサクの「友達」について
タゴサクの中で友達になりたいってどういう意味だつたんだろう。
どんな意味にせよ、伊勢と友達になりたいとは全く思ってないはずそれは分かる。
もし伊勢がタゴサクとの「友達としての約束」を守らなかったらシェアハウスの爆発は防がれてタゴサクの計画はおじゃんになったかもしれないから。
うーーーん、ほんとにそうかな?もうちょっと考えてみたい。
もし伊勢がタゴサクの話を秘密にしなかったら、機動隊等が厳戒態勢でシェアハウスに向かっていたはず。
そしたら息子の遺体は爆破されず、他殺と断定できる外傷が見つかる。
刺したのは誰か、椅子に縛り付けて爆弾を設置したのは誰かの捜査になる。
少なからず石川明日香に辿り着く時間が早まる。
最初から容疑者として強く疑われ、息子殺害がほぼバレてしまった状態の石川は駅爆破について口を割るかも?
………
何の可能性を考えたかったかというと、みのりちゃんの話を秘密にすることがタゴサクが伊勢と友達になれるかどうかの試し行為だったのかも?という可能性。
伊勢がタゴサクとの約束を破ることでシェアハウス及び駅爆破を防ぐこと(タゴサクとしてはそっちよりも石川が動機だと知られることの方が重要そうだけど)になったとしたら、タゴサクが言う友達(自分を暴いてくれる人間?)に伊勢はなったのかもってちょっと思った。
でもやっぱり最後まで名前呼ばないとこととかからも、タゴサクが本当に友達になりたかった(同じ人種ってことにして安心したかった?)のは類家なんだろうなぁ。
うーーーん、タゴサクが言う友達ってなんなんだろう。
なんか色々考えてしまったけど、純粋に一緒に長く遊べる人って意味な気もしてきた。だとしたらほんとに類家なんだろうなぁ。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
