「佐藤二朗という才能」爆弾 aokihiさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤二朗という才能
観終わった後の一番の感想が「佐藤二朗・・・!!!」だった
コメディ俳優としての面白さ、親しみやすさが裏を返すとこんなにも得体の知れない怖さを醸し出すのかと驚嘆しました・・・イケメン俳優が揃っていながら、最後にこびりついて離れないのは、「佐藤二朗」という唯一無二の演技をする俳優さんの名前
サスペンス映画をあまり観ないので、この話の筋と終わり方はかなりヘビーだった。
佐藤二朗のしかけた(と思われている)爆弾が、爆発を阻止できたりできなかったり、と最初は面白かったが、最後の一番ひどい被害が出た爆発を止めることができなくて、同時多発的に爆弾が爆発するシーンはリアルすぎて目を覆いたいほどで、奔走する警察官たちの努力は報われず、無力感を感じる終わり方だった。
ベテラン刑事の心さえも折ったタゴサクを攻略しようとする山田裕貴が、タゴサクに元々自分と同じく世界に倦んでいることを見抜かれ、ダークサイドに落ちてしまうのかハラハラした。最終的にタゴサクに心を「喰われた」かどうか分からないところも、「最後の爆弾」が存在するのかしないのか闇の中なところも、すっきりとしない後味の悪いストーリー。
自分的に、「石川明日香(だっけ)は全ての容疑を否定して、『全部スズキタゴサクがやった』と供述した」というナレーションが地味にショックだった。
人間の善性を、これでもかと否定する。
タゴサクと反対の、ルールの中で生きている警察官たちも、「この世は捨てた物じゃない」という言葉に説得力はほとんどない。
多分原作者は爆弾の爆発を阻止して大団円にするつもりなどさらさらなかったんだろう。
「人間はどこまでも身勝手な生き物」ということが最後に伝えたかったことで、多分原作者もタゴサク側の人間なんだろうと思うから。
それにしても佐藤二朗という役者の底知れなさよ。もっと好きになりました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
