「驚きの結末とかではない」爆弾 はろさんの映画レビュー(感想・評価)
驚きの結末とかではない
まず、映像としてのルックがいい、と思うシーンが満載。特に冒頭の秋葉原のメイドさんが爆風で飛ばされていくシーン、すごくおしゃれだなと思いました。
あとスズキタゴサクの気持ち悪さが本当に気持ち悪い。映画の大画面に全身全霊でスズキタゴサクの不気味さ、不快さ、リアルさを見せつけてくれた佐藤二朗さん、他の俳優さんには演じられない役だと思いました。
けれどストーリーとしては、期待しすぎたせいか結末が期待外れ。序盤の『仲良くしていたホームレスがいた』と証言するシーンに映る人物、なんとなく石川アスカっぽいな?というのはずっと感じられていたことだったので、意外性もあまりなくそのままのオチになってしまったなという感じ。
連続爆破事件は結局、石川アスカの息子たちが計画したものだということで、スズキタゴサクはのちにその主犯に祀り上げられただけのホームレス。そのただのホームレスが、なぜプリペイド携帯による起爆装置を作り上げることが出来たのか?急に押し付けられたことにも関わらず、なぜ複雑な犯行計画を立てることが出来たのか?結局タゴサクは正体不明のままというオチなので、実は頭脳明晰で凶悪犯罪に向いた人物だったのかもしれませんが、なぜそんな人物がホームレスに?
そのあたりが唐突で説明不足な感じがしました。原作を読めばもう少し理解できるのかな。みのりちゃんのエピソードが結末の伏線になってるのかなと思いきや、本当にただの純粋な嘘でそんなこともなく。愛のない『容疑者Xの献身』って感じの話ですよね。
スズキタゴサクは始終露悪的に振る舞い、人の良心を試すような言動を繰り返しますが、あのままの彼がホームレスになった石川アスカに親切にしていたとは思えないので、恐らく彼は石川アスカに『利用された』と感じた瞬間にあのモンスターになってしまったのかなと思います。そして同時に、石川アスカから助けを求められた時、ただ誠実に自首を勧める彼でいられれば、タゴサクは今もただのホームレスであり、石川アスカが犯罪者になっただけだった。そして彼がそこで『利用された』と感じてしまうような感性を持つに至ったのは、誰にも救われず臭いホームレスとして疎まれ続けたことが原因としてあるのかもしれない。結果、「綺麗事」として、スズキタゴサクの発生を防ぐためには自身に利益がなくとも人を救わなくちゃいけないんだろうなとか、考えたりもしました。
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