「期待した自分が悪かった」爆弾 エカシムロさんの映画レビュー(感想・評価)
期待した自分が悪かった
ナゾナゾをミステリーと言い張るの、本当に止めてほしい。「伏線回収〜」と言いたいためだけの無意味な設定や展開も、本当に嫌い。
口コミ採点でフジテレビ映画に期待した自分が悪かったのだ。たしかに信頼できる映画人たちからの評判は聞こえて来ていない。
先に断っておくが、本作を楽しんで褒めている方々と私とは単に感性が合わなかったに過ぎない。
・映像と俳優について
出だしから気になったのはやたらと薄暗い警察署内。蛍光灯で明るい部屋だとノッペリした画面でTVドラマっぽくなる、ということなのかもしれんが、個人的にはいきなりリアル感を削がれた。
暗い画ばかりで面白い画がほとんどなく、基本は役者の顔芸を頼むことになる。
果たしてその要となった佐藤二郎、あのくどい演技を2時間もアップで見せられるのは流石にキツい…中盤には対する渡部篤郎もこれまたコッテリした演技をするタイプなので、正直見ながらペヤング超大盛りを食べたような胸焼けがしてきた。
主演扱いの山田裕貴の演技そのものは良かったとは思うが、いかんせんスーツの上からでも隠しきれない筋肉をしている。大学柔道部あがりの警察官にしか見えず、天パー猫背のオタク系警察官僚にはそもそもがミスキャスト。他の警察関係の登場人物もみな記号のようなクリシェばかり…
あ、取り調べシーンでの眼線を追うような細かい編集だけは良かったと思うけど…良いと思えた点はそこだけだった。
・ストーリーについて
断っておくと原作は読んでいない。なので部分的には脚色が下手だった可能性はあるが、しかしどうかと思うところが多過ぎた。
まず前半、「子供っぽい犯人だから」という言い訳をしながらの、本当に子供騙しのナゾナゾを謎解きとして展開するのには呆然とした。おいおい、名◯偵コ◯ンを見にきたんじゃないぞ。
最近の本屋を覗くと、何やらおどろおどろし気なクイズでミステリーを気取るような平積み本が目立つが、これもまたその類の様だ。
しかも中盤の「命の選択だー!」のパート、ナゾナゾだけならまだしも2025年にもなって未だにダークナイトの不出来なパクリを見せられるとは思わなかった…もういいよ、そういう悪役…いつまで日本エンタメ界はジョーカー・シンドロームに浸ってるんだ…。
何より終盤、「伏線回収〜!!」と言いたいためだけの展開が酷い。だから髪型が整ってたんだ!とか本当にどうでもいい。こんなモノを世間は巧い思うのか?
全てが“伏線回収”のためだけに書かれてるから、真犯人?の行動も全く意味が分からない。なんであそこで爆弾持って現れるのが当然なのか、何度考えても分からない。
最悪なのは後半、爆弾が怖いと警察に押し寄せ、同時に爆弾があると警察が調べている場所にもに殺到する群衆。いくらなんでも大衆をバカにし過ぎ。いや、はてなるほど、これはひょっとして本作に満足する世間を批評しているのかしら。だとしたら皮肉が効いてるね。
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