劇場公開日 2025年10月31日

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「こんな選択の迫られ方はいやだ、な一作」爆弾 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 こんな選択の迫られ方はいやだ、な一作

2025年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作はほぼ間違いなく佐藤二朗の代表作の一つになるであろうと確信させるほど、彼の演技、存在感が際立っている一作です。原作の人物像はさておき、映画作品としてはちょっと彼以外の俳優が思い浮かばないほど。

妙にへりくだったり無邪気っぽい表情を見せる時の、「なんか腹立つわー」て思わせ方も巧いんだけど、その直後にスッと目に光が入って、あ、やば、絶対なんか企んでる、と一歩引かせるという、観客の感情の誘導の仕方がすごいです。演技で視線をくぎ付けにするんだけど、といって過剰にのめり込ませもしないというか。

映像は、ちょっとやりすぎなんじゃ?と思わせるほどに照明を絞り込んでいて、取調室の閉塞感や寒々とした無機質感を一層際立たせています。そういった場所が醸し出す威圧感を一向に意に介していないように見えるからこそ、スズキタゴサクの不気味さが一層際立っています。

これだけ暗所が多いと、今後配信となった時にモニターで視聴すると映り込みなどが気になるはずで、そういう意味でも映画館での鑑賞を強くお勧めしたい作品です。

密室劇のような取り調べ場面と対照的に、爆弾がさく裂する場面は、その一瞬前の街並みがとても日常的に撮られているだけに、一層衝撃が倍化しています。場面としてはほんの一瞬だけど、それだけで十分、と思えるほどの迫真性、作り込みです。

爆弾を巡る駆け引きや時間との勝負といったサスペンス要素ともう一つ、作中では繰り返しスズキタゴサクが謎解きの形で突き付けてくる「選択」の問いが投げかけられるのですが、これが意外に重く、佐藤二朗のどアップと共にしばらく心から離れそうにありません!

yui
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