「佐藤二朗を軸とした極上の密室劇」爆弾 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤二朗を軸とした極上の密室劇
連続爆破事件の話だが、舞台は、ほとんどが警察署の取調室。この狭っくるしい舞台で繰り広げられる爆破予告犯と取調官間のバトル。そして、浮浪者が行き交う炊き出しの現場、シェアハウスに出没する重要人物。
外界の爆破と、密室の心理戦、そして見え隠れする真実。自分が幼少の頃住んでいた野方の警察署が密室劇の舞台というのも心動かされる。
捜査官の誰が、爆弾予告犯の独壇場を阻止するのか。そこに興味が注がれる。
圧巻は、佐藤二朗演じる爆弾予告犯と山田裕貴演じる取調官の一騎打ち。
山田の信条は、「助けられる命は全力で助ける。とりあえず目の前の事件を解決して、腹いっぱいめしを食うだけ」。いまどきの割り切った若者の言いぐさが胸をすく。しかし、佐藤はそんなシンプルな若者の信条さえも容赦なく破壊しようと、穏やかに詭弁を弄する。
佐藤の役は、最後まで正体がわからない。事件の全容はわかっても、この男と他の事件の容疑者との関わりがいまひとつ見えてこない。そこが本作の不思議な魅力。
この極上の密室劇を見逃す手はない。
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