「中々尖った作りに痺れる “佐藤二朗”日本アカデミー賞助演男優賞ノミネート間違い無し」爆弾 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
中々尖った作りに痺れる “佐藤二朗”日本アカデミー賞助演男優賞ノミネート間違い無し
物語の幕開けは、酔った勢いで自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された一人の謎の中年男・・・。
「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスでも、「セブン」のケビンスペイシーでも無い、佐藤二朗であって佐藤二朗で無い“スズキタゴサク”は必見!
2025年後半の一作をあげるとしたらこの「爆弾」をあげたい。
原作未読、映画脚本と原作は別物と思ってるが、久々に原作を読みたいと思わせる中身の濃い“本”。そして、何よりつかみどころがない様で恐ろしさの欠片も見せない佐藤二朗の怪演に圧倒された。
原作は当然“スズキタゴサク”=“佐藤二朗”という訳では無かったであろう、そんな事を思うとあまりにも運命的な出会い、この出会いを見ない手は無い。
そして、話しが良くできてる。
『このミステリーがすごい! 2023年版』堂々1位はだてじゃ無い。
映画「天国と地獄」の身代金シーンも社会的な影響は大きかったが、この作品を見て模倣するやからが出るのでは無いかと、リアルに一抹の不安を思わせる顛末に引き込まれた。
一つ残念と言えば、佐藤二朗の怪演に食われて主演山田裕貴の存在が薄くなってしまった。羊たちの沈黙で言えばジョディ・フォスター演じるクラリス・スターリングなのだが、結末がぼやけたのはこの辺りの詰めが甘かったからかもしれない。
渡部篤郎演じる捜査一課交渉人を打ち破った“スズキタゴサク”、続いて対峙する真打“類家”に繋がる伏線にもう一捻りあったら、一級のミステリー映画になった。
とは言え、冒頭からの展開、伏線の張り方共に中々尖った作りは面白かった。
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