「佐藤二郎に何もかも翻弄されて取りつかれる。」爆弾 ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤二郎に何もかも翻弄されて取りつかれる。
酔った男が酒店の自販機を壊す。警察に連行されて取調室。名前はスズキタゴサクと名乗り、それ以外は忘れたと証言。スズキは霊感で刑事の役に立つと言い「10時ぴったりに秋葉原方面で何かが起こる」と予言、秋葉原で爆発事件が起きる。そしてスズキは「ここから3回、次は1時間後に爆発する」と言い出します。警察から問いただされるが「私が爆発を起こしたわけじゃない。霊感が働いただけ」と持論を展開。そこから早期の爆弾発見と犯人特定に焦る警察。単独か複数かそもそもスズキタゴサクとは何者か。
取調室での警察とスズキタゴサクのやり取りが不気味で陰湿な展開となっていきます。
佐藤二郎の魅力全開といったところです。
特筆する点は、翻弄されているそれぞれの刑事、警官が様々描かれています。スズキタゴサクに共感していく等々力と類家、制度と建前を守ろうとすろ清宮、出世欲のみの矢吹、仲間を想う倖田。それぞれの立場で事件に翻弄されながらも取り組んでいく群像劇的が描かれる点です。よくできた作品です。そして肝心の真相となります。邦画でありがちの実は純愛、人間愛、家族愛といった感動物語なのかと思いました。ところが見事にうらぎられ振り切った真相となっていました。
スズキ「生きて行くのが嫌にならない?馬鹿に囲まれて嫌では?私って悪ですか?」
類家「そうだ、うんざりしている。この世界が滅んじゃえと」
後半のこの会話が、ラストシーンのトイレにいる類家の背中で終わる意味に繋がっている。
真相にたどり着いたがスズキタゴサクは消えない。
満足度の高い作品でした。
原作は続編の裁判展開があるようですが、続編があれば期待できると思います。
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