「消化不良感」爆弾 noooousさんの映画レビュー(感想・評価)
消化不良感
佐藤二朗の演技はすげーと思った。飄々とした態度と激情の起伏、声の緩急と抑揚の表現、サイコ特有な笑い方。ただ、画面がずっと暗くて見づらかったのが少々残念
構成、脚本に関しては難しい、厳しいというのが正直なところか。この映画はスズキの逮捕と予言までの導入、ゲームによる爆発の場所と時刻の推理および清宮の欺瞞と選択、2回めの爆発とスズキの身元および過去の署内の事件との関連性の捜査、最後の爆発とスズキおよび関係者の動機の推理およびスズキによる哲学的な投げかけという構成になってる
爆発による衝撃と推理、サスペンスといったエンタメ要素がかなり尻すぼみ的。THE BATMAN的ななぞなぞは最初だけで、ここは類家の推理が光るが、スズキの動機の推理に関しては、なるほど、そういうことかというカタルシス感がない。事件関係者の事情は把握できるが、なぜそのような行動に出たのかという動機が結局よくわからない
カタルシス感に関わることだが、全体的にかなり説明が少ない。スズキの発言から署内の事件と関係者の調査が始まるが、一体何があったのかが初めに説明されないので、推理がぬるぬる進行していっていつの間にか最後に繋がっている
最後にスズキの哲学的な疑問提起と刑事達の価値観、生き方、社会は残酷で誰も自分を救いも求めもしないのに、なぜそんな世の中で自分を欺き欲望を抑圧しキレイごとというメッキを塗り実行を我慢してまで現実を受け入れて生きているのか?的な疑問に対する答えが語られるわけだが、登場人物のバックボーンがわからんすぎてすごい淡白。白身魚。鱸。っていうかスズキお前、■■人じゃねえじゃねぇか。しかも、真■■に対する同情でもないよね?え、あれ全部■技だったんですか??ピエロが兵隊とか■■わりじゃだめじゃない???
要するに、なんか、最初、やべぇやつキター!!と思ったら、あれ、やっぱそんなことなかった――か?みたいな肩透かし感、消化不良感が残る映画。せめて、スズキが葛藤の中で世の中理不尽なんだからぶちこわしてええやろ的な哲学へ闇落ちするきっかけがあったりとか虚実がごちゃごちゃでスズキの行動の本当の動機と関与の範囲は不明みたいなオチだったらもっとよかったかな......
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
