「なかなか評価は割れそうだ」爆弾 LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
なかなか評価は割れそうだ
原作は読んでいない。
山田裕貴と佐藤二朗が見事だった。
それに免じて2.5としたいところを「3」にした。
山田裕貴は、今年は『木の上の軍隊』『ベートーヴェン捏造』に続いて3作目だが、本当に素質もガッツもある良い役者だと思う。
一方で、個人的にはふだんの佐藤二朗は大袈裟でわざとらしく見える演技ばかりで苦手だし、それしかできない風にしか見えなかった。
しかしこの『爆弾』では変質的な役がハマり過ぎていて、怖いくらい見事だった。以降、かえってこの役のイメージがあとを引くのではないかと余計な心配をしてしまう。
取調室での山田と佐藤の台詞のぶつけ合いは、いろいろ毀誉褒貶があろうが、私はじゅうぶん楽しめた。
爆発シーンも昨今のVFXを駆使して迫力がある。
本格的ミステリーファンからすれば、思いつきのような類家刑事(山田)の謎解きは荒唐無稽過ぎるのかもしれないけれど、私としてはギリギリでエンタメの範囲内だと思えた。
ただし後半の謎解き?伏線回収?をはじめとしたストーリーテリングがグダグダに思えたのは私だけではないようだ。このサイトのレビュアーさんにも共感される方が多い。原作小説のAmazonでのレビューも、二極化して荒れに荒れている。
また、私がどうしても奇異に思えたのは、かつて事件現場で不適切な行為を繰り返していたことでその後自死した刑事・長谷部の心理描写がほとんどなかったので、単なる性的倒錯者にしか見えないこと、その後一家離散した妻が爆弾事件に絡む強い動機とそのケリの付け方のところである。
この部分、ある種グロテスクであるし、人間のドス黒い部分、弱い部分をぶつけられるので気分が悪くなる人もいるかも知れないが、少なくともそれをエピソードとして持ってきている以上は「ちょっと触れました」程度ではなく、きちんと、徹底的に描いてほしかった。
原作では丁寧に描かれているのだろうか? 原作を読んでいないのでわからないのだけれど、映像化するに当たって尺の制限があるならあるで、そこをどう伝えるのかが脚本と監督、ひいては制作の腕では・・・と思う。
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