「とてもよかった」爆弾 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
とてもよかった
佐藤次郎の迫力がすごい。渡部篤郎もとてもいいし、何より警察が無能じゃないところがいい。取り調べの様子をリアルタイムチャットで会議室に報告している。爆発シーンもとてもえぐくて、迫力がある。
没入しながら最後まで面白かったのだけど、後から振り返るといくらか気になるところがある。
自殺した刑事が、事件現場でシコったからというのが解せない。始末書くらいで済みそうなものだ。暴露されて恥ずかしかっただろうけど、だとしたら染谷将太が悪い。『バットルーテナント』を先日見たばかりなので、もっとひどい刑事の様子と比べると全然問題じゃない。
佐藤次郎がお母さんの代わりに犯人役を買って出るのが、理由が分からない。そこまでの関係性とは思えない。恋心を抱いていたのだろうか。だとしたら、それはそれできつい。
シェアハウスでスクリーンでお父さんの告白動画が大写しでリピート再生されている。よほどの映画マニアか。場面として映えはするけど、そんなことをする人だと思うと人物像がゆがむ。
愚鈍なホームレスだと思っていると、佐藤次郎はとんでもなく頭がいい。たまに東大卒のホームレスがいるなどと言われているのだけどそのタイプだろうか。
ホームレスみたいな男が取り調べでこれから起こる爆発事件について語る、というアイディアを成立させるために後付けで作られた物語という感じが否めないし、実際そうなのだろう。だからこそ、その後付け感を払拭できていたらなおよかった。演出も演技もとてもよかっただけに気になった。
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