「非常に惜しい出来」爆弾 水原秀策さんの映画レビュー(感想・評価)
非常に惜しい出来
下半期見た中だとかなり上位。一番面白かったかもしれない。なによりもミステリーとしてよくできている。さらにみなが褒めるようにスズキのキャラクター造形が素晴らしい。特に伊藤沙莉が取調室に飛び込んで来た時、彼が吐くセリフ「ワタシ、〇〇しました」には感心した。
とまあ褒めてきたわけだが、なんというのか大枠としてはよくできているだけにディテールの詰めの甘さがかえって目についた。
①冒頭、若手刑事が過去のレイプ事件を聞かされる場面。なんであれを上に報告を上げないのか。手柄が欲しかったってこと? どうやって手柄になるのかわからないし、それについて何も行動しないのはなぜ?あれで身元が判明したかもしれないのになんで報告しないのか理解不能(その後、あれが嘘だというのは関係ない。あの時点でという意味)
②ラストの警察署に「アレ」を持ってくる夏川結衣の動機がさっぱりわからない。隠蔽してもらうために依頼してたんだよね。だったらなんでわざわざあんなことするの? あれで狙い通り殺せたとしてもだよ、またしても残された娘には酷いバッシングが待ってるだろう。娘のために隠蔽を依頼したんじゃないのか?
③若手刑事が単独でシェアハウスに同僚刑事を行かせる動機がわからない。手柄が欲しいってこと? あれって自分の手柄になるか? 爆弾で人が死んでるんだよね、だったら上に報告を上げて大量に人員を動員するだろう。
あと細かい事言うと、現代の捜査で刑事が被疑者に手をかけたりしないよなとかいろいろあった。
繰り返しになるが、これがグズグズのつまんない話だったら、こういうところは気にならない。よくできた話だけに気になってしまう。非常にもったいない仕上がりだと思った。
追 染谷将太の言う「気持ちはわかる」ってセリフ、納得できた? 捜査に必死になるあまり、何かやりすぎる(犯人殴っちゃうとかね)なら、まだわかるよ。だけど現場で〇〇するのに共感するってどういうこと?自分もあんなことしてたってこと?
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