「この世は理不尽、人間は愚か、それでも抗え。」爆弾 yujin23duoさんの映画レビュー(感想・評価)
この世は理不尽、人間は愚か、それでも抗え。
このミス2023年一位を受賞した作品が原作、「キャラクター」の監督、山田裕貴と佐藤二朗主演。
よく見ている辛口の映画評論家が素直に褒めており、気になっていたので見に行きました。
いや〜〜、ここまでメッセージを上手く組み込ませたエンタメを邦画で見れるとは思いませんでした。
一人の男の狂言回しと翻弄されながらも抗う警察。そして広がり続ける舞台のスケールに、逃れられない理不尽な爆発。
この理不尽の所が重要です。
警察は汎ゆる手を用いて爆弾の在処を突き止めようとする。
しかしながら見つかってもまた別の爆弾が爆発したり、または見つかっても間に合わず爆発してしまったりする。
しかも後半ではダークナイト・ライジングよろしく東京全土を巻き込んだ悲劇が巻き起こったりしてしまう。
そしてこれら様々なことが、愚かな人間の些細な行動によって起こされたと明かされていくのだ。
そんな理不尽な状況を佐藤二朗演じるタゴサクは楽しむ。見てる観客も楽しむ。凄え状況が起きちまったと。もっとぶち壊されて行くのかとハラハラしながらも、ワクワクしてしまうのだ。
そりゃそうだ、今の世の中は余りに問題が多すぎるし、その問題に対して様々な人達は言い争うか関わろうとしない。
もしくはのらりくらりグダグダと責任を誰かに押し付けていく。そしてそれに対し鬱憤が静かに、十分に溜まっている。
そんな世の中がぶっ潰れ阿鼻叫喚になる様にカタルシスがあったりするわけだし、楽しめたりするわけだ。
だが、警察はそれでも抗っていく。本当に、ガチで抗っていく。
"こんな世の中でも抗った方がいいのだ"と。
そんな様が説得力のあるシーンによってダイレクトに叩きつけられて行きます。
秋葉原の繁華街、代々木公園、環状線……様々な所で爆発が起き、本当に人が死んでいく様、それに対し何とか解決しようと奮闘する様、どちらもガッツリ描かれているわけです。
特に警察官コンビのパートは良かったですね。社会に対する愚痴を吐きながら、それでも正義を全うする様は本作のテーマ性を一番的確になぞってたかもしれません。
これは凄い。凄いですよ。それを2時間前後の時間で上手く纏めたのは見事です。
……ですが、これは設定上演じてると言う設定もありますし仕方ないものの、佐藤二朗の演技がちょいと自然じゃないなと感じましたね。
上手いけど、凡百のサイコパスすぎる場面が多いなと、動画の場面は唯一良かったものの。
自然な演技でヤバい奴だと感じれるような演技がどうしても見たかったですね。
ですが見て損は無いので、是非。
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