劇場公開日 2025年10月31日

「会話劇 心理戦」爆弾 AMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 会話劇 心理戦

2025年11月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

久しぶりに会話劇を堪能させてもらいました。
ベテランと若手が入り混じって、取調室という狭い空間でで容疑者と対峙し、心理戦を繰り広げる。アニメやドラマではこうした心理劇によくある「心の声」は一切使われず、シリアスな仕上がりになっているのが好感持てる。
だいぶ設定は違うが、松山ケンイチと長澤まさみが対峙した「ロストケア」を思い出した。あちらも画面効果をうまく使って、心理戦を盛り上げていたが、本作は余計な描写を排除していたので、役者頼りの劇に仕上がって面白かった。まあ、ストーリー的には掘れば脆いところは出るかもしれないが、それを圧倒する話運びがされていくのが、痛快で良い。少し長めの映画だが、時間はあっという間であった。

佐藤二郎がハマっている。底知れないサイコパスなのか、人を食った言動が、よくわからないが憎らしい容疑者役。この人しかいないという見事な演技。それに対峙するのが渡辺篤郎。「外事警察」の時を彷彿とさせる、年季の入ったクールな交渉役が、これまたカッコいい。そのバディとなる山田裕貴は、天才肌のネゴシエイターという役どころ。
染谷将太が、最初に容疑者を取り調べる刑事だが、髪を目の上まで下ろしていたのがツボに入った。大河ドラマで毎週見ているデコ出し姿に馴染んでいたので、最初は違和感あったが、このヘアスタイルもなかなか気に入った。

都内に仕掛けられた爆弾が、次つぎ爆発していき、取調室に拘束された容疑者が出すヒントを解かなければ、爆弾が爆発して被害者が出るという仕掛け。レクター博士ばりに心理戦をしかけ、それを元に捜査本部は右往左往し、交渉役は容疑者だけでなく時間と組織と闘わなければならない。ありがちな設定ではあるが、それを会話劇で見せ場を次々作り、ラストまで楽しませてくれる。

後半理屈っぽいところが出てくるが、あまり先読みしたりして頭を使わず話を追っていたので、そんな塩梅が良いのかもしれない。伏線回収など考えていたら、バタバタして忙しい物語に見えたかも。

ともあれ、役者陣の会話劇を楽しめた。続編つくるようならまた観たい。

AMaclean
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