「佐藤二朗の演技につきる」爆弾 aliasさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤二朗の演技につきる
本作における佐藤二朗の演技は、観客を引き込む素晴らしいもので、まさしく「怪演」という言葉がぴったりです。それだけでも一見の価値があると思います。
ただし、それ以外の部分については、残念な点がいくつか見受けられました。
まず、このような犯人と刑事の知恵比べを描く作品において、周囲のキャラクターが無能だったり、行動に必然性がなかったりすると、せっかくの頭脳戦が台無しになってしまうと常々感じています。
例えば本作では、聞き取り役の刑事が犯人の言葉を真に受け、他の刑事には内緒で知り合いの警官に指示を出したり、その警官も勝手に行動したりする場面がありますが、「普通そんなことしないでしょ」と思わずツッコミを入れたくなります。
また、一般市民が爆弾が仕掛けられているかもしれない駅に押し寄せたり、犯人が「そこは安全だ」と言った場所に集まったりする描写も、リアリティに欠けていて残念でした。
さらに、自動販売機の中の商品に仕掛けられた爆弾についても、いつ誰が購入するかわからないはずなのに時間指定がされている点など、設定に矛盾を感じてしまいます。
極めつけは犯人の動機で、「なぜ爆弾犯になりすまそうとしたのか」という核心部分があまり描かれておらず、この手の作品では重要なオチが弱く感じられたのは残念でした。
冒頭にも述べたように、佐藤二朗の演技が素晴らしかっただけに、取り調べ以外のパートについても、もう少し丁寧に描き込んでほしかったです。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
