劇場公開日 2025年10月31日

「【"様々な人達の心の形”今作は佐藤二朗の役に憑依した如き刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品である。】」爆弾 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 【"様々な人達の心の形”今作は佐藤二朗の役に憑依した如き刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品である。】

2025年11月5日
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鑑賞方法:映画館

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<Caution!一部、内容に触れています。鑑賞後に読んでください。>

■冒頭はスズキタゴサク(佐藤二朗)と名乗る冴えない短髪の小太り中年男が、酔って酒屋の自販機を蹴り、止めに入った店員を殴り微罪で警察の取調室で、調書を取られる所から始まる。
 最初は所轄の刑事、等々力(染谷将太)が取り調べるがスズキに”気に入られ”最初の秋葉原での爆破を”霊感”により”この後、次々に東京都内で爆発が起きる”と告げられる。
 刑事は相手にしないが、次に後楽園の傍で爆発が起き、本庁のベテラン刑事清宮(渡部篤郎)が交代するが、彼はスズキの言葉に翻弄され、件((くだん):未来を予言する、凶時に現れる人の顔と牛の身体を持つ化け物。)とタンの話をされ爆破は”九段下”と推測し、新聞配達のアルバイトの申し込みに免許も無いのに行った新聞配達店の爆破を、所轄の警官矢吹(坂東龍汰)と矢吹の相棒、倖田(伊藤沙莉)と阻止するが、それはタゴサクの引っ掛けで、その後保育園を狙うと示唆したタゴサクの言葉に翻弄されるが、実はホームレスが大勢住む代々木で爆発が起き多数の死傷者が出て、ついには頭が更に切れる類家(山田裕貴)が、取り調べを始めるのである。

 □今作の一番の魅力は、この濃密な”密室劇”と呼んでも良い、スズキタゴサクと次々に彼に翻弄される、三人の刑事達との取り調べシーンである。
  特にスズキタゴサクを演じる佐藤二朗の、幼児の様な喋りをする姿からの時折見せる、狂気性及び薄笑いを浮かべる表情との対比演技が凄いのである。
  又、演出としては、タゴサクの汚い歯と唇と、彼が一本、二本と立てる汚れた指がアップになる映し方が秀逸である。
  タゴサクが”中学時代に、ある女子生徒の事が好きになって後を付けていたら、その生徒が先生に殺されて大変だったんですよー。”と言った後にその雪の上に血にまみれて女子生徒が倒れているシーンが映され、更にその後に、その女子高生がニヤッと笑いながら起き上がるシーンを入れる演出も”スズキタゴサクの言葉の何処までが本当で、どこからが嘘なのか?”を上手く表現しているのである。

 ・一方で、且つて等々力が尊敬していた刑事、長谷部(加藤雅也)が心を病み、犯行現場で自慰行為を行っていた事がリークされ、彼の妻である明日香(夏川結衣)と息子辰馬(片岡千之助)、美海(中田青渚)の家族が、彼が列車に飛び込み自殺をしたために家族離散になる様が、暗喩的に示され、家を失った明日香が同じくホームレスだったスズキタゴサクと過去に接点があり、又、辰馬が荒れたシェアハウスで、仲間達と共にまるで父の仇を打つが如く、”実験”を行っていた過程が明らかになって行く様にも、引き込まれるのである。

 ・所轄の警官である矢吹が、刑事の伊勢(寛一郎)に且つて手柄を取られたが故に、伊勢は刑事に、矢吹は警官のままであるとか、矢吹の相棒、倖田と共に、新聞配達店のバイクの爆破を阻止するシーンや、二人が功を焦り矢吹がタゴサクのトラップに嵌る姿なども恐ろしいし哀しいが、爆破の混乱を密室劇と並行してこのようなシーンも入れている事で、今作は膨らみを増しているのである。

 ・そして、辰馬とその仲間が仕掛けていた一次、二次、三次の”爆破”計画が、明日香により阻止され、更に明日香にシェアハウスを紹介されたスズキタゴサクが辰馬の計画を”乗っ取って行った”と思われる物語進行が、先読みが出来ないために、上質なミステリーを観るが如く、グイグイと引き込まれて行くのである。

 ・明日香がバッグに”爆弾を抱え”スズキタゴサクが聴取をされている多数の人が押しかけている所轄警察に乗り込んできて、タゴサクと共に爆死しようとするシーンなども、緊迫感が尋常ではないのである。

<今作は佐藤二朗の役に憑依した如き、三人の刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと、徐々に明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品なのである。>

■エンドロールで流れる、エレファントカシマシのヴォーカルである宮本浩次の「I AM HERO」も、スズキタゴサクの”心の形”を、暗喩しているように感じてしまった次第である。

NOBU
リコさんのコメント
2025年11月12日

おめでとう御座います㊗️で良いかな💦
お二人で旅行なんて羨ましいです❣️
私はここ何日かは、Wi-Fi設定で汗かいてました😰
どうぞお気を付けてお帰り下さい。

リコ
リコさんのコメント
2025年11月12日

NOBUさん、宮本さんの「I'm hero」改めて聴いてみました。確かにスズキタゴサクが憑依したかの様な歌い方でしたね。怒りだけじゃ無く、言い表せないくらい色んな感情が混じってて切ない感じがしました。

リコ
uzさんのコメント
2025年11月10日

コメント、そして再三のお褒めの言葉、恐縮です。

タイトルに迷うと、作名をもじりがち。笑
今回は結構伝わりづらいかなと思っていたので、ご理解いただけて実は嬉しい…

uz
映画LOVEさんのコメント
2025年11月7日

今晩は^ ^
久々に興奮出来た作品でした♬密室の心理戦…類家の『伊勢、食ったな』に萌えましたw タゴサクマジック恐るべしorz

映画LOVE
おつろくさんのコメント
2025年11月6日

共感ありがとうございます!

全体的に凄く良い作品ですが、警察の不祥事と残りの爆弾が解決されずにちょっと消化不良でした。でも原作に倣って続編があるみたいなので、答え合わせが今から楽しみです。

おつろく
SAKURAIさんのコメント
2025年11月6日

おはようございます!

楽しめたみたいで良かったですね!
私は明日からのプレデターが楽しみすぎてヤバイです!(笑)

明日IMAX鑑賞で数日後4DX3Dで観る予定です。

SAKURAI
ゆり。さんのコメント
2025年11月6日

共感ありがとうございました。どこまでが辰馬がやったことで、どこからがタゴサクの仕業なのかが分かりにくいのがちょっと残念なんですが、倒れていた女の子がパチッと目を開ける演出はすごく良かったです。

ゆり。
トミーさんのコメント
2025年11月5日

共感ありがとうございます。
佐藤二朗は異形の天才としか思えなかったですね、荒れた指とかもリアル。
警察側の手柄欲しい!抜け駆けや監視カメラをわざと倒すとか、ありそうでげんなりしました。

トミー
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