劇場公開日 2025年10月31日

「既視感満載+嘘つきがヘタ」爆弾 ひぐまさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 既視感満載+嘘つきがヘタ

2025年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

 最近はやりのミステリー。Fテレビが製作に絡んでおり公開前の宣伝も盛ん。前評判も高かったため1日の夜に近くのシネコンで鑑賞。客足は好調なようで安心している。内容が良いから客が入るとは限らないんだけれどな。
 期待と不安ないまぜ。で、今回もまた不安が的中してしまう。「地雷映画」とまではいかないけれど、サービス料金とはいえきちんとカネを払って見たわけだから、その分は言わせてもらう。

 最初の10分か15分くらいで勝負はついてしまった。
 第一印象として「これ、どこかで見たかも」があった。どうにも既視感が勝ってしまいスジに新鮮さが感じられない。どこで見た映画か…そもそも映画ではなくTVドラマかもしれないし、どの程度まで似ているのかの説明もできない。ここは本当に申し訳なく自身の老化を恥じるほかないが、とにかく「真犯人と思われていた人物が真犯人ではない」という点において昨今のミステリードラマのトレンドは突いている。これは昨年の「ラストマイル」に近い。
 しかしながら事件の発生と真実への接近については「爆弾」と比較すると圧倒的に野木脚本(ラスト)に軍配が上がる。あちらは昨今の社会問題も練りこまれており訴求力も強かった。他方「爆弾」はスジの進み方も描き方も粗くご都合主義が満載。ひとつ例を挙げると、これが「最初」にあたる。午後11時の爆破のシーンだ。すぐさまニュース速報が流れる。あり得ない。5~10分くらい時間の経過を描いてからであればハマッたのに。以降、真面目に見る気がパチンと失せてしまった。ああオレは作りごとを見に来ている。小さな真実を積み重ねて大きな嘘をつくという基本中の基本ができていない連中だこの製作陣はなんだテレビ局じゃねぇかよそりゃ仕方ねぇな連中は(略
 それでもかろうじて自身を椅子に止めていた理由は無論、真犯人は誰か? である。繰り返すがタゴサクが真犯人でないはわかっていた。とすると、果たして誰が真のキーマンなのか。実は前半でほんのチョイ役で出てくる。どの模倣作品でも必ずこういった出し方をさせる人物が怪しい。今回のケースではオレ的に珍しく(笑)当たってしまった。ヒントとしては本スジとは違うテーマのストーリーが挟まっていることだ。え~あの人が犯人かよ。動機は何なんだよ。それ薄いんじゃねぇか。そんなんで罪もない人々をふっ飛ばすのかよ。それに誰でも作れるチンケな爆弾のはずが、傷害者多数でしまいには死者も生んでしまう。これで完全に冷めた。駅のシーンは新守谷ですね。JRはロケできないもんね…なんて余計なことも考えるに至った。この時点でもはやオレは映画鑑賞者ではない。だからラストシーン近くはまったく集中して見ていない。
 原作は読んでいない。作家の名前自体知らない。聞くところによるとどうも育ちが良くなかったようだ。作者の育ちの良し悪しは作品の優劣には影響しないと思われるが、今回の作品は余りに稚拙としか言えない。
 最後に役者陣。佐藤二朗は普通の佐藤二朗。あのくらいはいつでもできる。ゆえに主要キャストは全員マル止まり。山田裕貴くんの芝居も悪くはないのだが、あまりに簡単に正解にたどり着きすぎる。ひとつふたつは時間をかけてもっと苦悩するシーンとか入れればよかったのに…。褒められるのは爆破シーン。当然VFX多用にしろ煙がたくさん出たのが真実味があった。シロウトが作る爆弾なんてそんなもんだ。エキストラの皆さんお疲れ様でした。

 鑑賞時間中はカネ返せ時間を返せとまでは思わなかったためこの評価。少なくともこの監督とホンとプロデューサーはブラックリストには入れておこう。

ひぐまさん
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