「心の深い部分まで入り込んでいく137分」爆弾 AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
心の深い部分まで入り込んでいく137分
上映開始10分ぐらいから、助走なしにアクセル全開で最後まで進んでいくサスペンスクライム作品。
一言一句聞き逃さないように、放たれた言葉をすぐさま処理して、どこの言葉に意味があって、どの言葉が弄んでいるのか、見ているこっちもずっと脳内処理をしながら見たので、鑑賞後アドレナリンが出た状態でシアターを出た。つ…つかれた。
でもこういう映画体験は嫌いじゃないので、個人的にはすごく面白かった!
結末や真実を知っている状態でもう一度見たら、初回とは違った見方ができて楽しそう。
この作品を見れば、誰もが佐藤二郎という役者のすごさを思い知ることになる。
コメディのイメージが強いけれど「あんのこと」で演じた刑事役も素晴らしかった。
今作ではあの膨大なセリフ量を、取調室という画が変わらない場所で、いかに観客を飽きさせず、惹きつけられるかが肝となる難しい役だ。
しかし、抑揚と緩急、表情や動作で全く飽きさせることなく演じ切った。
彼が演じるタゴサクは、腰は低く、自虐的で、鼻につく感じではないけれど、対峙する人の心を見透かしているかのような言動をする。
あの無邪気な感じは、まるでヒース・レジャーが演じたジョーカーのようだった。
しかし時間が経つにつれて彼の得体のしれなさへの恐怖と不気味さが増していき、バケモノに見えてくる。そのグラデーションも素晴らしかった。
そんなバケモノに対峙して闘う山田裕貴演じる類家もこれまた魅力的。
最初は冴えない腰の低い男かと思いきや、本性を出してからの彼は最高にクールだった。
二人の一歩も引かない心理戦と話術の攻防戦は、見ていてワクワクするしかない。
山田くんは5ヶ月で3作品もの、キャラクターの違う主演3役をやってのけたのは本当にすごすぎる。
きっと誰もが心に爆弾を抱えていて、一歩間違えればタゴサクのように爆発してしまう。
でもその爆弾を抱えたまま、それを爆発させないように生きていくのが人間だ。
でもきっと今もどこかで、爆弾のカウントダウンが始まってる人がいるのかもしれないと思うと、とても怖い。
彼は我々の闇の部分を具現化した生き物なのか。
最後の終わり方もゾワっとした。
是非映画館で体感してほしい。
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