劇場公開日 2025年10月31日

「ダークなエンタメとして一級品」爆弾 ケージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ダークなエンタメとして一級品

2025年11月1日
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鑑賞方法:映画館

興奮

ドキドキ

ほぼ取調室と容赦ない爆破シーンのみで2時間超えの尺を緊張感持続させ見せ切りエンターテインメントとしてお見事。
カッティングの妙など永田聡監督の演出力も見事だが、何と言っても役者陣の素晴らしさが絶大だ。
その中心はもちろん佐藤二朗がクローズアップされるわけだが、懐疑的な面が無いわけでなく熱演とはいえギリギリのラインの表現で、その内面の深い闇のような恐怖までは体現できていない表面的なものに感じた。
むしろ対峙する山田裕貴、渡部篤郎、染谷将太、寛一郎、伊藤沙莉が彼“スズキタゴサク”の闇を浮き上らせる訳で、この映画の魅力はこの部分に集約されていると言って過言ではないだろう。
実際のところ犯行の真実、動機、謎のミステリー部分は全く腑に落ちないし、「なるほど!」「そうきたか!」と思えないもので、正直、加藤雅也や夏川結衣パートをバッサリ無くすぐらいの大胆な原作改変があっても“無し”とは言えないぐらい、映画的な部分と小説的な部分の難しさを感じた。
いかにも今どきな言葉遊び的で空虚な論破煽り合戦と無是非で容赦ない爆破シーンだけで充分に成り立っているので、謎解きはスズキタゴサクの謎だけがより深まるだけのシンプルなもので映画としては良かったと思う。
どうせなら山田裕貴の類家の描き込みを深め、天才vs怪物のバチバチした対決感をもっと膨らませるべきだったのではないか。

あと最後に素晴らしい役者陣のなかで、個人的に1番輝いて見えたのは正名僕蔵で、まさにキレッキレの何時もながらの怪演であり、なんなら彼がスズキタゴサクを演じていたらどうなるだろうと夢想するぐらいだ。

ケージ
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