劇場公開日 2025年6月13日

「韓国映画と言えるかどうかすら微妙(本文参照)」ラブ・イン・ザ・ビッグシティ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5韓国映画と言えるかどうかすら微妙(本文参照)

2025年6月13日
PCから投稿

今年143本目(合計1,684本目/今月(2025年6月度)6本目)。

 物語の大半がフランス語で話されるので、フランス(のパリなりどこか)が舞台かなと思ったら、どうも韓国のソウルの仏文科が舞台で別に「国外には出ていない」ようです(この点後述)。

 この意味で「フランス映画らしい」部分は多少見られ(完全に、ではない)、結末は自分で考えてね、というようなフランス映画あるあるな展開はまま見られます。一方で取り上げられる展開は2020年以降に主張されるようになった人権等、隣国である日本でも取り上げられるような事柄が大半なので理解はしやすいですが、「実体上」フランス映画枠とも思えるし(実際、大学なりは描かれても、韓国国内のどこかに行くとかという話は出ない。フランスなりどこなりのいわゆるコリアタウンが舞台と考える方が出てもある程度合理性はある。なお、公式サイトにはちゃんと「ソウルが舞台」ということは書いてある)、この点微妙かなぁ、といったところです。

 こういった事情なので、一般的な韓国映画でいうアクションものではないし、どちらかというとフランス映画枠の扱いに近く、大阪市でいえばテアトル梅田さんやキノシネマ心斎橋さん(旧シネマート)等が好んで流しそうなタイプの映画です(どちらとも放映予定には入っていない模様)。

 展開はどうしてもわかりやすいし、2020年以降に取り上げられている人権問題等、大人であればだいたい理解できる点はほぼ取り上げられているし、韓国特有の事情もほぼないので、隣国であるところの日本からでは理解はしやすいかな、というところです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/韓国映画かフランス映画か微妙)

 下記に述べますが、韓国には「韓国映画を各映画館ともこれだけ流しなさい」という法律、取り決めがあり(スクリーンクォータ制という)、確かに韓国映画ではあるものの実体はフランス映画というようにとれるので、韓国国内(あるいは、スクリーンクォータ制を取る国)の事情を知らないと、「なんでこんな展開にしたんだろう」が読み取れず詰んでしまうかな、というところです。
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 (減点なし/参考/スクリーンクォータ制について)

 日本でも第二次世界大戦終了までは「映画法」という法律があり、「国内の映画をこの割合で放映せよ」というようなものがありました。この割合を決める制度を「スクリーンクォータ制」といいいます(クォータには「割り当て」の意味がある)。もちろん第二次世界大戦のときには日本だけでなく各国で取られ、それは主に自国産業の保護は裏にはありつつも「みんなで一致団結して戦争に勝ちましょう」という趣旨のものでした。

 日本では第二次世界大戦後、クォータ制度はなくなります。韓国ではまだ韓国映画が世界内で知られるようになるまでクォータ制度が存在しましたが、1990年以降に「73日」(毎日営業している場合を想定。毎週●曜日が休みなどの場合、縛り本数はそれに応じて割合的に減る)の制度は韓国には「今でも」残っています(違反した場合、不足数に応じて注意や警告のほか、映画館の(足りない日数に対応する)使用禁止というような制裁もあります。ただ、文化の保護というのが目的なので、注意警告というほうが普通)。ただ、韓国映画は2000年以降に一大発展を遂げて世界内でも一つの分野として認知されるほどになったため、クォータ制度は今も存在はしますが、実態的に意味を持たず形骸化されているにすぎません(せいぜい、韓国国内の道徳的な映画を放映しましょう、みたいな子供向け映画を想定した制度の枠として実質無意識に消費されているに過ぎない)。

 ひるがえってこの作品を見ると、映画はどうみても韓国映画ですが、実態としてフランス語がどうだの文学がどうだのといった、かなりフランス映画寄りな発言をするので、まぁ2025年時点で「スクリーンクォータ制」をかいくぐることに意味がないのは確かですが(いくらでもヒット作が出てくるのでそうそうに73本なんて超えてしまう)、ちょっと趣旨がわかりにくいな、というところです(先進国の中でスクリーンクォータ制を取る国としては、韓国があげられます。フランス、スペイン等は昔はありましたが、現在では廃止されています)。

yukispica
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